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【コラム】資料編:ワイマール憲法第48条全文和訳

【コラム】資料編:ワイマール憲法第48条全文和訳

副題:悪質なる印象操作の種明かしの為の資料
【コラム】報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万

先ず、目的であるワイマール憲法第48条の全文和訳を掲げる。

<ワイマール憲法第48条>
○もしも、国家が混乱に陥り、国家責務である公共の安全・秩序の確保に失敗した場合には、ドイツ国大統領は、憲法または国法に則り、政府機能の回復を命令することが出来る。
その場合、軍隊等を回復行使に使用することが出来る。
○もしも、ドイツ国内に於いて公共の安全及び秩序が 深刻な妨害または脅威にさらされている場合、ドイツ国大統領は公的な安全を回復するために、必要な手段を取り、命令することができる。その場合、必要があるならば、軍隊の支援を得ることが出来る。
また、この目的の為に以下の条文に列挙される基本的人権の一部または全部を一時的に中断(停止)することができる。
第114条、第115条、第 117条、第118条、第123条、第124条及び第153条。
○ドイツ国大統領は、この条文の第一段落又は第二段落の規定に基づき発せられた総ての措置を、直ちに、国会に対して通知(コミュニケート)しなければならない。
これらの措置は、国会の要求がある場合には、廃止されなければならない
○もし遅延することが危険を助長するのであるならば、各省庁は自身の担当領域の範囲で、第二段落に記載された一時的措置をとりことが出来る。ただし、ドイツ国大統領又はドイツ国会から要求がある場合は、これらの措置は廃止されなければならない。
○本条の詳細な規則については法律でこれを定める。

以上である。
今回は資料編としてワイマール憲法第48条の全文を提示するものである。
これは、以下のコラムで論評をしている報道ステーションでの「ワイマール憲法をダシにした詭弁と印象操作」でテレビ視聴者を間違った方向へと誘導する悪質なる特集に対する説明の必要上からの記事投稿である。

2016/03/20投稿:
【コラム】報ステ「ワイマール憲法」の笑止千万
< http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-366.html 

報道ステーションでの「ワイマール憲法」をダシにしたものは、あたかもワイマール憲法の緊急事態条項(第48条)の存在が間違いであったかの様なネジ曲げをしているので、その条文をブログ読者各位に見てもらい、各位に判断して欲しかったのだが、ネット検索をしてもワイマール憲法第48条の全文はヒットしない状態だった。

仕方ないので、当方が若い頃に収集やらメモをした古い資料を用いて同条文の全文を紹介しようとしたのだが、残念ながら、直接的にはその資料にあったメモは提示資料としては役に立たなかった。その理由は、字が汚くて判読不能な箇所が幾つもあったからだ。(笑)

To:二十歳のオイラ <字は丁寧に書きましょう!>
From:還暦のオイラ

その時点で自身の前頭葉に叩き込んだ知識は役に立っているのだが、他者に提示するだけの質的レベルを確保する為に、別途のアプローチを取った。
それは、原文からの和訳を当方自身が実行するとの方法なのだが、ワイマール憲法はドイツ語で書かれており、大学で第二外国語の授業をサボリまくった当方は、日本語と英語以外はわからないのである。仕方ないので以下の英文資料からあらためて和訳をすることとなった。

Wikisource(WeinarConstitution)
< https://en.wikisource.org/wiki/Weimar_constitution 

「英文資料からの和訳」とのワンクッションが入っているが、各位が判断する上での和訳文としては充分であろうとの想定で実施したものである。
また、本ブログでは「一次資料を提示して、それに基づき、各位が良識に従い判断する」との原則を堅持しているので、所謂カタカナ表記「サヨク」が常用する和訳詐欺は絶対にしない。その証明として、本巻末に今回の和訳のプロセスを明示した。
一文節毎に直訳を明示した上での直訳を活かした意訳をしたプロセスである。
異議ある方いれば、具体的箇所を明示のうえ、より相応しい和訳案をご提示いただきたい。
異議は、本ブログのコメント欄にご記入いただければ幸である。

今回は、ネット検索しても全文がヒットせず、第五段落まである条文の第二段落までしかない和訳のみがヒットしたことが全文を自身で和訳する動機となっている。

それは、上述した様に、ワイマール憲法をダシにした以下の連想パターンが実は成り立たないことを説明する為には、ワイマール憲法の緊急事態条項(第48条)の第三段落及び第四段落での議会承認なき場合の運用停止条項の存在と、実は第五段落での下位法での規定を要求している条項の存在を見せる必要性がある為である。

「ワイマール憲法(自由民主主義) → ヒットラー → 戦争の惨禍」

今回の、この単純化した連想パターンでは、あたかもワイマール憲法の緊急事態条項(第48条)の存在が間違いであった為に、ヒットラーが独裁者となる入口となったかの様なネジ曲げをしている。
しかし、実際のワイマール憲法第48条の条文からは、議会承認なき場合は、いくら大統領が第48条を悪用しても、議会が止めることが可能だとの条文が存在しており、その条文構成は現在の先進各国の緊急事態条項に盛り込まれている三権間での内部牽制条項であり、けしてワイマール憲法第48条自体の欠陥ではない。

議会の賛成があり、議会が廃棄要求をしていないこと、第五段落の下位法をワイマール国会が制定してなかったこと等の事実からは、当時のドイツの国家運営の未成熟がヒットラーを独裁者にした、というのが真実なのである。
報道ステーションの特集の欺瞞性は引き続き論評するが、今回は、各位の判断に資する為にワイマール憲法第48条の全文を紹介した。


【和訳のプロセスの明示】
ワイマール憲法第48条
<第一段落>
If a state fails to carry out the duties imposed upon it by the national constitution or national laws, the President of the Reich may compel performance with the aid of armed force.
 ↓
<当方意訳>
もしも、国家が混乱に陥り、国家責務である公共の安全・秩序の確保に失敗した場合には、ドイツ国大統領は、憲法または国法に則り、政府機能の回復を命令することが出来る。
その場合、軍隊等を回復行使に使用することが出来る。
 ↑
<文節毎の直訳>
If a state fails to carry out the duties imposed upon it
もしも、国家が 国家に課せられた責務を実行することに失敗したならば、

by the national constitution or national laws,
憲法または国法によって

the President of the Reich
ドイツ国(ワイマール共和国)大統領は
※:ワイマール共和国の正式な国号はドイツ国(Deutsches Reich)。従い、これを「ライヒ大統領」などと機械翻訳するのは間違いで、「ドイツ国大統領」との意味に則して訳すべきである。

(President)may compel performance
(大統領は)強要できる・機能を → 大統領は政府機能の回復を命令することが出来る。
※直訳だけでは和文としての意味が不明なので意訳すべき部分であることを明示した

with the aid of armed force.
軍隊の支援を得ること

<第二段落>
If public safety and order be seriously disturbed or threatened within the German Reich, the President of the Reich may take the necessary measures to restore public safety and order; if necessary, with the aid of armed force. For this purpose he may temporarily suspend in whole or in part the fundamental rights enumerated in Articles 114, 115, 117, 118, 123, 124 and 153.
 ↓
<当方意訳>
もしも、ドイツ国内に於いて公共の安全及び秩序が 深刻な妨害または脅威にさらされている場合、ドイツ国大統領は公的な安全を回復するために、必要な手段を取り、命令することができる。その場合、必要があるならば、軍隊の支援を得ることが出来る。
また、この目的の為に以下の条文に列挙される基本的人権の一部または全部を一時的に中断(停止)することができる。
第114条、第115条、第 117条、第118条、第123条、第124条及び第153条。
 ↑
<文節毎の直訳>
If public safety and order be seriously disturbed or threatened
もしも、公共の安全及び秩序が 深刻な妨害または脅威にさらされている場合、

within the German Reich,
ドイツ国内に於いて
※この一文で、この国家緊急権条項の対象が国内であるとの地域性明示するものとなっている。

the President of the Reich
ドイツ国(ワイマール共和国)大統領は

may take the necessary measures to restore public safety and order;
公的な安全を回復するために、必要な手段を取り、命令できる

if necessary, with the aid of armed force.
必要があるならば、軍隊の支援を得ること(が出来る)

For this purpose
この目的の為に

he may temporarily suspend
彼は一時的に中断(停止)できる

in whole or in part the fundamental rights
基本的人権の一部または全部を

enumerated in Articles 114, 115, 117, 118, 123, 124 and 153.
以下の条文に列挙される 114・・・・

【ご参考】(列挙された条文の紹介及び当方による意訳)
Article 114(非拘束自由の原則)
Liberty of the person is inviolable. A restriction upon, or deprivation of, personal liberty, may not be imposed by public authority except by law.
Persons who have been deprived of their liberty must be informed no later than the following day by what authority, and upon what grounds, the deprivation of liberty was ordered; without delay they shall have the opportunity to lodge objections against such deprivation of liberty.
人の自由は不可侵である。その制限又はその剥奪は、法で規定する場合を除き、公的権力によってさえなされない。
自由を奪われた場合、遅滞なく、その理由、拘束した機関等を告げられ、自由剥奪について反対を申し立てる権利を有する。

Article 115. (住居不可侵の原則)
The dwelling of every German is his sanctuary and is inviolable. Exceptions may be imposed only by authority of law.
別途、法で規定する場合を除き、すべてのドイツ人の住居は彼の聖域であり不可侵である。

Article 117. (通信の秘密保持の原則)
Secrecy of postal, telegraphic, and telephonic communication is inviolable. Exceptions may be permitted only by a national law.
別途、法で規定する場合を除き、郵便、電報及び電話通信の秘密は不可侵である。

Article 118. (意見表明自由の原則)
Every German has the right within the limits of the general laws, to express his opinion orally, in writing, in print, pictorially, or in any other way. No circumstance arising out of his work or employment shall hinder him in the exercise of this right, and no one shall discriminate against him if he makes use of such right.
No censorship shall be established, but exceptional provisions may be made by law for cinematographs. Moreover, legal measures are permissible for the suppression of indecent and obscene literature, as well as for the protection of youth at public plays and exhibitions.
別途、法で規定する場合を除き、すべてのドイツ人は意見表明の権利を有する。それは、口頭、文書、印刷物、絵画等どの様な表現方法によるとに係わらずにである。これら表現行為によって仕事上、雇用上の不利益を受けてはならない。何人も、意見表明の権利を侵害してはならない。
映画表現の検閲特例を除き検閲はこれを実施しない。また、公序良俗を害する猥褻物の公共展示に関しての検閲は許される。

Article 123. (集会の自由の原則)
All Germans have the right to assemble peaceably and unarmed without notice or special permission.
By national law notice may be required for meetings in the open air, and they may be prohibited in case of immediate danger to the public safety.
すべてのドイツ人には、平和的集会を実施する権利を有する。その際は特別な許可なく平和裏に武装解除される権利を持つ。(いきなりの武装解除名目の鎮圧はされないとの理解)
また屋外集会の場合に、緊急的危険性防止の為に別途法律により禁止される場合がある。

Article 124. (結社の自由の原則)
All Germans have the right to form societies or associations for purposes not prohibited by the criminal code. This right may not be limited by preventive regulations. The same provision applies to religious societies and associations.
Every association has the right to incorporate according to the provisions of the civil code. Such right may not be denied to an association on the ground that its purpose is political, social, or religious.
すべてのドイツ人は、犯罪と規定される目的以外の目的での結社の権利を有する。この権利は他の規則によって制限されることはない。この規定は他の宗教団体、共同団体等に準用される。
すべての政治団体、地域団体、宗教団体は民法に規定する権利を持っており、基本法他で制限されることはない。

Article 153. (商業活動の保障・収用対価支払の原則)
Property shall be guaranteed by the constitution. Its nature and limits shall be prescribed by law.
Expropriation shall take place only for the general good and only on the basis of law. It shall be accompanied by payment of just compensation unless otherwise provided by national law. In case of dispute over the amount of compensation recourse to the ordinary courts shall be permitted, unless otherwise provided by national law. Expropriation by the Reich over against the states, municipalities, and associations serving the public welfare may take place only upon the payment of compensation.
Property imposes obligations. Its use by its owner shall at the same time serve the public good.
商業活動は憲法で保障する。その内容と限界は別途法律により規定される。
公共の為に収用される場合は、別途法律に基づいて起こなわれ、その対価は法規定により実施されない場合は、本条により正当な補償を受ける。また、法規定以外で算定された補償額に異議ある場合は法廷へ提訴することは許される。
公共の福祉を目的にした収用に対する対価補償の支払は、州、地方自治体及び協会に対しても起こり得る。
商業活動の義務としては、そのオーナーに対して、同時に公益への提供を実施すること。

<第三段落>
The President of the Reich must immediately communicate to the Reichstag all measures taken by virtue of Paragraph 1 or Paragraph 2 of this Article. On demand of the Reichstag these measures must be abrogated.
 ↓
<当方意訳>
ドイツ国大統領は、この条文の第一段落又は第二段落の規定に基づき発せられた総ての措置を、直ちに、国会に対して通知(コミュニケート)しなければならない。
これらの措置は、国会の要求がある場合には、廃止されなければならない
 ↑
<文節毎の直訳>
The President of the Reich
ドイツ国(ワイマール共和国)大統領は

must immediately communicate to the Reichstag
直ちに、国会に対して通知(コミュニケート)しなければならない。
※Reichstagとはワイマール国会の下院のことである。我が国の場合なら「衆議院と協議しなければならない」との意味になるのだが「国会」と訳した。

all measures taken by virtue of Paragraph 1 or Paragraph 2 of this Article.
この条文の第一段落又は第二段落の規定に基づき発せられた総ての手段(措置)は

On demand of the Reichstag
国会の要求に応じて

these measures must be abrogated.
これらの手段は廃止されなければならない

<第四段落>
If there be danger in delay, the state ministry may, for its own territory, take such temporary measures as are indicated in Paragraph 2. On demand by the President of the Reich or by the Reichstag such measures shall be abrogated.
 ↓
<当方意訳>
もし遅延することが危険を助長するのであるならば、各省庁は自身の担当領域の範囲で、第二段落に記載された一時的措置をとりことが出来る。ただし、ドイツ国大統領又はドイツ国会から要求がある場合は、これらの措置は廃止されなければならない。
 ↑
<文節毎の直訳>
If there be danger in delay,
もし遅延に危険があるのならば、

the state ministry may, for its own territory,
国家の省庁は、自身の担当領域の(範囲で)

take such temporary measures as are indicated in Paragraph 2.
第二段落に記載された一時的措置をとることが出来る。

On demand by the President of the Reich or by the Reichstag
ドイツ国大統領またはドイツ国会の要求に応じて

such measures shall be abrogated.
これらの手段は廃止されなければならない

<第五段落>
Detailed regulations shall be prescribed by a national law.
 ↓
<当方意訳>
本条の詳細な規則については法律でこれを定める。
 ↑
<文節毎の直訳>
Detailed regulations
詳細な規則は

shall be prescribedby a national law.
法律で定める。

以上である。一文節毎に直訳を明示した上での直訳を活かした意訳だと自身では思っている。如何であろう。
これらは当方が「和訳詐欺」をしていないことの証明である。
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Author:歩けない猟師
狩猟免許持ち、鹿・猪猟をやってます。画像はダマスカス鋼の剣鉈と308w弾。憲法論議が本質はずれていると思い、ブログで考えを述べています。このブログの検索ワードは【ホレチケP】。【日本国憲法改正私案α版】 http://samrai308w.blog.fc2.com/blog-entry-183.html への御意見はコメント欄へお願いします。

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