Powered by

アイキャッチ画像
アイキャッチ画像
アイキャッチ画像
Interview column インタビュー&コラム

にじさんじ ミラン・ケストレル様インタビュー 動画投稿/配信活動にアナログ機材を使う価値とは?

動画投稿/配信にアナログ機材を使う理由とは?

YouTubeやTwitch、TikTokなど、様々なプラットフォームでの動画投稿や配信活動において、当然ながら音声は大きな構成要素の一つです。自分の話し声やボイスチャットの音声、ゲームの音声やSE、エフェクト、BGM等々、そのチョイスや質は動画や配信コンテンツのクオリティを左右しかねません。

そうなると直面するのは音質の問題。まずはマイク、そしてインターフェイスと揃えていくものの、音を良くする、ないしは理想の音に近付くための選択肢は沢山あります。特に配信や放送、録音用のアナログ機材は無数に選択肢があり、価格から機能まで千差万別。そもそも何のための機械なのか、何を選べばよいのか、そして自分には必要なのか…。コンテンツの内容や企画など、考えるべき事が他にもたくさんある活動者にとって、録音/配信用機材が解決したくても解決できない、大きな悩みのタネとなる事も少なくありません。

そこで今回はにじさんじ所属のVTuber、ミラン・ケストレルさんにインタビューを実施。Chandler Limited RS660などプロフェッショナルなアナログ機材を実際に愛用しているミランさんに、アナログ機材の遍歴や使用している理由や用途、それらがどのように活動に貢献しているのかについてお聞きしました。是非最後までお読みください。

ミラン・ケストレル

ANYCOLOR株式会社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属するVTuber。2023年11月のデビュー以来、精力的に様々な配信活動を行っている。音響機材に対する強い熱意や知識から「にじさんじ」に所属する他ライバーから相談に乗ることも多く、「音質向上委員会」と呼ばれることも。

【公式紹介文】怪しげな工房に住む、妖しげな時魔道士。1日中魔術の研究に明け暮れており出不精。魔術以外の様々な分野の学問にも興味関心を示し、しばしば本職を忘れがち。

  • YouTubeチャンネル(@MilanKestrel)
  • Xアカウント(@Milan_Kestrel)
  • キッカケはプラグインによる遅延と環境ノイズ

    現在ハイエンドな環境を揃えているミランさんも、最初はUSBマイク1つの環境から始まったとお聞きしました。そこから機材を買い足していく最初のキッカケは何だったのでしょうか?

    最初のキッカケはプラグインによる遅延と環境ノイズでした。

    友人とオンライン上でTRPGを遊ぶために初めてマイクを買い、その中で演出に合ったエフェクターを掛けたいなと思いまして…。最初はソフトウェアでエフェクトをかけて、エフェクトが掛かった音をモニターしながら喋っていたのですが、ソフトウェアで起きる遅延で舌がもつれるんですね。

    そこで、「どうやったらモニターしつつ、喋りにくくならないか」という問題を解決するために機材を導入し始めた、というのがきっかけですね。

    Roland VT-4を使っていたとお聞きしたのですが、まさにこの声へのエフェクトという目的だったのでしょうか?

    そうです!丁度その時の海外アニメにラジオボイスで話すキャラクターが居て、そのラジオボイスを出したいな!と思っていまして…

    あとはマーダーミステリーとかだと登場人物が決まっていて、女性の役をやったりすることもあるんです。もともと声が高くほんのちょっとエフェクトをかけるだけでそれっぽくなりますし、凝り性なものでございますから、ピッチが変えられるものを探していた、というのもありますね。

    ありがとうございます。ここからインターフェイスを買い替えてBabyface Proを手に入れたとお聞きしたのですが、ここに至るまでにマイクはどのような製品を使われていたのでしょうか?

    最初はClassic ProのUSBマイクで、そこからVT-4を手に入れた後に1万円ぐらいのmarantz Professional MPM-1000Jを買いましたね。その後、ちょうどBabyface Proを手に入れたタイミングで、マイクとインターフェースのバランスを考えてAT4040を購入しました。

    Umbrella Company / Active Mic Cable

    今回はインタビューにあたっていくつかアンブレラカンパニー取り扱いの製品もお試しいただきました。まずUmbrella Company Active Mic Cableに関してご感想を伺いたいと思います。配信ではSHURE SM7Bなどを使用している方も多いかと思われますが、Active Mic Cableはそういったダイナミックマイクのサウンドを改善できるケーブルです。感触はいかがだったでしょうか。

    今はダイナミックマイクを持っていなかったのでリボンマイク(TONEFLAKE TR1)でテストしました。普段のケーブルと比べると芯があるというか、下支えがあって肉厚さや安心感が増すような感じがありまして。普段のケーブルの方だと弱い、物足りないなって思いましたね。

    ゲインブースターだと大きく音色が変わってしまいますが、これはそのままの音色で力強くなるのが魅力的で、ブースターを使用せずマイクプリアンプで音量を上げる場合は積極的に使いたくなるケーブルですね。これは1本持っていたい…。

    Active Mic Cableはバッファー回路をプラグに内蔵することで、ダイナミックマイクの音質を大幅に向上させる。

    ソフトウェアではなくハードを選ぶ理由

    ここまでである程度の音質が担保できる録音環境が揃い、ここからアナログのアウトボード(コンプレッサーやマイクプリなど)を揃えていったとお聞きしました。そこでまずはコンプレッサーに関して、プラグインなどソフトウェアを使用する選択肢もある中で、なぜハードウェアを選択したのでしょうか?やはり先述の遅延の問題があったのでしょうか?

    遅延の問題もそうですし、ソフトウェアではあんまりコンプレッサーというものを体感できなかった、録ってみて聞くと確かにかかっているけど、強くかかりすぎていたり、逆に弱かったりで…。プラグインをマウスで操作すると複数のコントロールを同時に動かすことができないこともあり、掛かり具合を確認することが困難に感じて、「私はやっぱりアナログの方が良いのかなぁ」っていうところがありましたね。

    やっぱり手で触って自分の耳で聞いてみると(効果が)分かる気がして。コンプレッサーに関しては、プラグインだとなかなか違いが感じにくかったですね。当時使っていたプラグインが、というのもあるかもしれませんけどね。

    次にマイクプリアンプに関して、「インターフェイスに内蔵のプリアンプで別に良い!」と思う方もいらっしゃるかと思います。ミランさんがマイクプリアンプを購入したキッカケはありますか?

    一番はルーティングの問題で、私が当時一番無くしたかったのが環境ノイズだったんです。空調のノイズって消したいじゃないですか。エアコンを消すしかないんだけど、それだと夏は暑いので…。どうすればいいか調べた時に、一つはプラグインで、もう一つが「アナログ機材でノイズを消せるものも無くはない」っていうことだったんですね。

    そしてプラグインだとやはり遅延があるなと感じて、アナログ機材の方を探した時に候補が二つありまして。一つがDrawmer DS201、もう一つがROCKTRON HUSH PRO。そしてこれらを導入するために、インターフェイスに入る前にライン信号に変えておく必要があった、というのがマイクプリアンプを導入するキッカケでした。

    なるほど…そしてこのタイミングでマイクプリとしてWARM AUDIO WA-73EQやKLARK TEKNIK 2A-KT、76-KA、そしてEQ-PKを買われたかとお聞きしたのですが、まず2A-KTと76-KAをチョイスした理由は何だったのでしょうか。

    やはりうまく音声を処理する上で、そのモデルになるのはスタジオですよね。ナレーションであったり、レコーディングであったり、歌であったり。そういったものを録る場面で使われているものと同じ操作感のものを導入すれば、ネットのどこかに設定などの知見が転がっているはずと。そういう考え方でした。

    そこでまずコンプレッサーというものについて調べたんですよ。「コンプレッサーをうまく使うにはどうしたらいいんだろう?」と思って調べたら、コンプレッサーにはよく定番と言われるものが二種類あり、一つが光学式コンプ、もう一つが76系であるということを知りまして。

    さらに、76系にはドクターペッパー設定という定番の設定があることも知りました。そこで、LA-2Aの薄い掛け取りとのコンボであれば人の声を滑らかに乗せることができるんじゃないかと思い、それぞれのクローンを探したという感じですね。

    Q.WA-73EQに関してはいかがでしょうか?

    マイクプリアンプというものは沢山あるわけなんですが、ヴィンテージでその頃知っていたのがNEVE系だけだったんですよ。NEVE系というものがボーカルなどですごく好まれているということを知りまして。

    で、程よく安価なもので、クラシックなデザインなものであれば操作感も同じだろうというところで、WA-73EQを選びましたね。

    76系のWesAudio ng76(左上)、LA-2A系のGolden Age COMP-2A(左下)、NEVE1073系のVintech Audio X73(右)

    Golden Age / PRE-73 MKIV, PREQ-73 PREMIER, COMP-2A

    今回はアンブレラカンパニー取り扱いのGolden Age PRE-73 MKIVPREQ-73 PREMIER、そしてCOMP-2Aもお試しいただきました。いずれも初めてのマイクプリ/コンプレッサーとして人気な製品ですが、感触はいかがだったでしょうか?

    特にびっくりしたのがPRE-73 MKIVで、いわゆるエントリー(モデル)に位置付けられていると思うんですけど、正直ナメてましたね(笑)。実際使ってみて、めっちゃよかったです!

    Golden AgeさんのNEVE系プリのラインナップで今回お借りしたのがPRE-73 MKIVとPREQ-73 PREMIERだったんですが、全然キャラクター違いますね!で、配信者目線だと「どっちも良いな」ってすごく思っています。

    PRE-73 MKIVでびっくりしたのが、PADであったり、あとAir EQ。かかり具合が固定値なんだけど、程よく調整されているなと思いまして。弱い設定と強い設定の2つあるのですが、どっちも前に出てきてくれる。ギラつきもあるんだけど、決して痛すぎないって感じで。存在感があって野心あふれる、若いパッションのようなものを感じるカッコよさがあって、とても好きでしたね。入門として後悔は無いと思います。

    PREQ-73 PREMIERはそれよりも一回り年を取ったというか、落ち着いた雰囲気をまとった大人びた感じがしましたね。音にこだわり始めたときにPRE-73 MKIVを触って、 段々と「PREQ-73 PREMIERのこの感触、めっちゃ好みかも」と思い始める人もいるでしょうし、どっちもいいなと思いましたね。

    Golden Age PRE-73 MKIV

    特に配信活動において、この二つのプリアンプはどんなシチュエーションで活躍しそうですか?

    そうですね…ハッキリ、スッキリとさせたい。芯はあって輪郭もあって、大勢の中にいても自分の声がスッと聞こえてくるような存在感を示せるなと思ったのはPRE-73 MKIVでしたね。逆に柔らかい印象というか、落ち着いていて大人びた印象を出したいなと思うならPREQ-73 PREMIERの方が良いなと思いましたね。

    で、今回は試してないんですけど、PRE-73 PREMIERもめっちゃ良いんだろうなってすごく思いました!コレは気になりますね。

    Golden Age PREQ-73 PREMIER

    ありがとうございます。それではCOMP-2Aはいかがだったでしょうか?

    これ、めっっちゃよかったです!いままで配信者の方に「コンプレッサーは何を買うのが良い?」と聞かれた際は、アタックの速さを理由に76系をお勧めしていたんですけど、いまはCOMP-2Aが正解だったかもって思ってます!当時の私に同じ質問をされたとしたら、間違いなくこれを買わせてますね。

    他のLA-2A系も持ってるんですけど、割とビンテージに近いコンディションにしてある分アタックが遅くて、「とてもトークセクションには使えないな」って思ってたんです。でもCOMP-2Aはいい意味でビンテージすぎず、ほどよいアタックとリリース。トークシーンに最高だと気付きました。

    なめらかな質感で、今の環境でも”これも通したい!”と思う、それくらいおすすめですね。配信者に10万以内でコンプレッサーのおすすめを聞かれたら、私はこれをお勧めします。

    Golden Ageさんってエントリー機も、GA ELA M 251Eとかの100万円前後の機材も作っているというところで、信頼のおけるブランドだなって改めて思いましたね。よかった!

    Golden Age COMP-2A

    「もっともっと、突き詰められるところがあるな」

    ここからは現在の環境についてお聞きできればと思うのですが、まずここまでお聞きしてきた機材から、よりハイエンドな環境へと変化していったきっかけはあるのでしょうか?

    先述のKLARK TEKNIK 2A-KTには真空管が3本くらい入っていて、あと当時使っていたWesAudio LC-EQP(廃盤)にも同じく2-3本くらい入っていたと思うんですが、その時に真空管で音が変わるということを知りまして。海外掲示板のGearslutz、現在のGearspaceを見まくって、Golden LionやMullardなどの真空管に交換して試したときに、「こんなに音が変わるんだ」と思ったんです。

    あとは真空管を交換したときに中の回路を覗いて、「造りという面では確かにもっと上があるな」と思ったんですよね。どうしてもコストパフォーマンスに優れる製品がゆえに、「もっともっと、突き詰められるところがあるな」って思いまして、(ハイエンドな製品も)ちょっと欲しいな、と。

    回路のお話が出ましたが、ハードウェアの部品や回路についての知識はどのような経緯で身に着けたのでしょうか?

    ノイズゲートのDrawmer DS201を中古で10台くらい買ったんですが、その中に1台、ちょっと動作が微妙だけど良さげなものがありまして。その子のパーツを全部自分で入れ替えたんですよ。その時にコンデンサーとか抵抗とかの音質や、「どこのメーカーのものが良い」みたいなのを調べましたね。

    ありがとうございます。それでは早速、現状の機材構成について教えてください。

    マイクの後がRETRO Instruments Powerstripを使ってまして、その後にChandler Limited RS660。その次にRupert Neve Designs Shelford Channelを通していまして、コンプ等はかけてないのですが、色付けとして通してますね。その後にノイズゲートのDrawmer DS201、昔導入したんですが微妙だったのでVUメーターとして使っているLittle Labs LL2Aを通して、最後にEQでoz design OZ-24を使っています。ここではマイクとの距離感やその日の気分や声質によって微調整するために使ってますね。

    その後は、インターフェイスに入る前の音量調整としてMarinairのトランスを使用しているMORG Special Equipments MORG-81。あとは場合によってリバーブであったり、ラジオ効果、テープエミュレーターなどのエフェクトをかけることもあります。そしてAD/DAがCrane Song HEDD 192、I/FはRME UFX II FS (ver.FS)を使っています。

    正直プリアンプとコンプレッサー、I/Fだけで十分なくらいまで作りこんでいるんですが、その間の機材が手放せなくて…超オーバーなことをしているとは思います(笑)。

    ありがとうございます。かなり夢のあふれる機材群かとは思うのですが、まずはRETRO Instruments Powerstripについてお聞きできればと思います。ミランさんといえば真空管のイメージがありますが、このPowerstripはどういった経緯で導入されたのでしょうか?

    Powerstripはプリアンプ部しか使用していなくて、もともとはRETRO Instruments 500Preを使用していました。それより前はShelford Channelのプリアンプを使用していて、これも決して安くない、ローンを組んで買うような夢の機材だったんですが、自分の電源環境ではサウンドが少し落ち着きすぎているように感じまして…。

    ちょうどその時に評判が良いと聞いていた500Preを試したところ、そこで500Preの詳細な音というか、粒立ちがよくて瑞々しい音がすごく良くて。自分の買ったものにRCA 12AT7が入っていたというのもあったんですが、こっちの方が好みだと気付いて変えましたね。

    肉厚な輪郭の存在感と同時に、高嶺の花のような儚さというか、情緒に溢れたサウンドが良いなと思いましたね。

    次にRS660についてお聞きできればと思います。配信でもRS660の良さについてはお話しいただいていたかと思うのですが、改めてこの機材の気に入っているポイントや、導入の経緯についてお聞かせください。

    まず、配信に必要なコンプレッションと歌録りに必要なコンプレッションって全然違くて、特に配信では母音の「あ」と「え」を潰したいんですよ。配信ではYouTube等に乗った時に小さな音にならないよう、音量を稼ぐべく歌録りの設定よりももっと攻めた設定をするんですが、その設定だとエネルギーの大きい「あ」と「え」で簡単に割れてしまうんですよ。

    これをうまく処理できるスピード、喋っていて不自然に波打つことが無いアタックタイムを考えていたときに、放送局のコンプ/リミッターの設定を調べたんですね。そこでアタックを200μsくらいに設定できるリミッターが良さそうだと思い、Fairchild 660系のコンプレッサーを試してみようと思ったのがきっかけでしたね。

    それでRS660を試してみると、パラレルコンプレッションをしているかのような自然なかかり。しかしピークはしっかりと抑えているというまさに魔法のような効きで、出音も決して濁らず、むしろ瑞々しさや煌びやかさがほどよく乗る。それ以来はずっとRS660を愛用しています。

    Chandler Limited RS660は伝説的なアビーロード・スタジオと共同開発された真空管コンプレッサー/リミッター。

    最後にEQに関してお聞きします。最初期からはEQの使い方が変わったとお聞きしたのですが、どのような変化があったのでしょうか?

    おそらく多くの人が経験すると思うのですが、最初の頃はEQで高域を強調しすぎていたんです。ちょうどそれがにじさんじのオーディションの頃だったのですが、受かった後に提出した動画を見返してみたらすごくシャッキシャキした音で、「あ、私こんな音でオーディション出したのか…」と反省したんです。これがきっかけでしたね。

    当時使っていたマイクがJZ Microphones V67で、そのきらびやかなキャラクターもあったとは思うのですが、まず思い切ってEQを切って低域を大事にする方向にシフトして。その頃にLauten audio FC-387 Atlantisも買ったのですが、これも「艶のある、大人びた音にしたい」というのが理由でしたね。

    今はEQをかけるとしても緩やかなもの、30Hzくらいをほんの少し削って、16kHzをほんの少し持ち上げるくらいで、帯域を全体的に大事にする方向に変わりましたね。

    ありがとうございます。ここからはこの環境全体についてお聞きしたいと思うのですが、機材選びの基準やコンセプト、求めていたものなどがあればお聞かせください。

    いくつかあるのですが、まずはノイズが無いこと。そして個々の役割を明確にして、一つの機材で何でもやろうとするのではなく、特化させて使うこと。そうすることが妥協しないことにつながるかなと思っています。

    あとは、自分の話し声が魅力的に聞こえることですかね。ラジオなどでずっと聞いていたくなるような音が、自分にとっては理想の音ですね。

    ラジオという言葉が出ましたが、ミランさんは配信だけでなくボイスドラマなど様々な活動をされているかと思います。配信と配信以外の活動で、機材の設定や使い方などはどのように変えていますでしょうか?

    ボイスも歌も、後々エンジニアさんが手を加えるので、配信よりはコンプレッサーがかからないようにしていますね。またRS660に関して、配信ではLIMITのモードでTIME CONSTANTは1にしているのですが、歌だったらCOMPモード、TIME CONSTANTは3くらいにしますかね。ローカットもしないかなと思います。

    あとは先に言ったように、配信に関しては人によってはちょっと苦笑いするくらい攻めた音量調整をしているので、ボイスや歌では音量を下げると思います。ただ、家が木造建築なもんでして…(笑)。基本的にはスタジオで録るかなと思います。

    先ほどのご回答でも音量の話題があがっていましたが、配信の際に音量を稼いでいるのにはどのような理由があるのでしょうか?

    配信を普通の音量で録ると、編集済みの他の動画に負けてしまうんですよ。世の中に出ている歌のコンテンツしかり、テレビのコンテンツしかり、すべてMA済みじゃないですか。しっかりと音圧が稼がれていて、なおかつクリッピングしていない。

    それを生配信で、音響に関しては素人の配信者が、同じ音量を稼ぐのは難しいと思うんですよ。でも、それと張り合う必要がある。少なくとも配信を開いたときに、「音小さいな」と思ってボタンを操作しなきゃいけないような状態は避けたい。そのためには、一般的に歌録りなどで設定されている音量よりも大きく録らないといけない、というのがありますね。

    音質にこだわる事で「あなたの魅力を届けられる」

    ここからは少し広げて、「配信の音」についての考えをお聞きできればと思います。ミランさんはご自身の環境構築に加え、「音質向上委員会」として他のライバーの方々の相談に乗られることも多いかと思いますが、そんな中で、「配信の音質」に関する関心は高まっているように感じますか?

    もちろん人にはよりますが、十分に関心はもともとあったと思います。しかしながら、みな探り探りであり、既知の配信周り機材以外の導入が困難だったのだと思います。マイクとインターフェイスまでは調べれば出てくるけれど、特にコンプやマイクプリはそもそも選択肢になじみがなく、わからなかったと思うんですよね。

    そんな中で私のような、機材に首ったけのライバーや配信者の存在によって、その出口が見えたのかもしれません。それも相まってより一層、配信の音質に関する関心は高まっているのではないかと思います。

    ミランさんによる録音環境に関する配信のアーカイブ。このほかにも配信機材に関する配信を行っており、また他のにじさんじ所属VTuberの機材相談に乗ることも多いことから「音質向上委員会」と呼ばれることもある。

    それでは広く配信者にとって、そんな配信の音質を向上する価値はどのような点にあると思われますか?

    配信者の皆さんが意識している大事な要素の一つは、離脱です。そのために皆さん己のトーク力を磨いたり、場を盛り上げたり日々一生懸命に配信されていると思いますし、このコンテンツ力は最も大事なものの一つです。

    しかし、この離脱を防ぐうえでは発声や活舌、そして音質も同じぐらい大事だと思います。

    私が音声コンテンツに初めて興味を持ったのは、アニメのラジオだったんですね。声優さんの声を聴くのが好きだったんですが、皆さんいろんな声の方がいらっしゃって、皆さんに魅力があるんですよ。しかしその魅力を削いでしまう要素っていうのがあって、その一つが音質かなと。

    あと音質の良さは、その人の声の良さを引き出してくれるものだと思っています。実際にあってお話をするとめっちゃ声が良いのだけども、配信だと伝わらない、というのが私は悔しいんですね。音質や音量調整をこだわるだけで、魅力を伝える手段が一つ増える、ひいては離脱を防げる。そういう価値が音質の向上にはあるんじゃないかなと思っています。

    次は「音質」からは離れて、「音色」に関してお聞きしたいと思います。ミランさんのサウンドメイクは、ご自身の声質の魅力的な部分を引き出すように考えられているように感じますが、音色に関して、なにか意識している点はありますでしょうか?

    鮮やかさ、とでも言うのでしょうか。軽やかな感じでプレゼンスを大事にしつつも、中低域にもしっかりと重心があるような音を意識しています。そのうえで、低域がボワつかないバランスを目指していますね。

    あとは性格という点もありまして、私が結構フワフワしている生き物なので(笑)。フワフワした音が取れればいいなとも思っていますね。

    ミランさんのように音質だけでなく音色にこだわる事には、配信者やVTuberとしてどんな価値があると感じますか?

    一つは先に言ったように「あなたの魅力を届けられる」ことがあるのですが、コンテンツに寄り添うことができる、というのもあると思います。

    例えば複数の人と配信するときに一番望ましいのは、自分の声が他の人と分離してちゃんと通ることだと思います。でも、分離する相手がいない雑談配信などの場合は、むしろ落ち着いてしっとりとさせたい方、または逆により明るく盛り上げたい方もいると思うんですよね。

    なので、自分の個性に合った音色の機材で、それでいて場面ごとに合わせられる柔軟性や幅を作れれば、かなり価値があるのではないかなと思います。

    Ohma World / Ohma Condenser

    今回お試し頂いたOhma Microphoneは、まさに個性を表現するために作られたマイクです。使ってみていかがでしたでしょうか?

    面白いな!というのが第一印象でしたね。実はマイクとそのコンセプトについては存じ上げておりまして、「実際どのくらい変わるのかな」と思っていたのですが、変わりますね~。グリルの形って大事なんだなって思いました。

    スクリーンだとWindowsが一番好印象でして、とてもナチュラルで加工もしやすそうな印象でした。それから、「これ配信者特化じゃないかな」と思ったのはStripeです。余分な下のボワつきも少なく、上も痛すぎず、声の一番欲しいところだけが抜けている感じがして、女性配信者さんや少し声が高めの男性とかには良いなと思いました。Holesも低域の存在感が他と違って、輪郭がありつつもドシっと構えている感じもあって魅力を感じましたね。

    大きさや重さという点でも、配信にはとてもありがたいサイズだなと思いました。ただ強いて言うなら直接アームに取り付けるタイプのマイクホルダーなので、ショックマウントなどは必要かなと思います。

    Ohma Micはスクリーンを交換することで、一つのマイクながら様々なサウンドメイクが可能に。

    最後に、配信の音に悩む活動者の方に向けて一言お願い致します!

    一緒に音質向上していこう♪

    関連リンク

  • ミラン・ケストレル公式プロフィール/Xアカウント/YouTubeチャンネル
  • アンブレラカンパニー取り扱いブランドページ
  • Chandler Limitedブランドページ
  • Golden Ageブランドページ
  • Ohma Worldブランドページ
  • SHARE

    Facebook Twitter リンクをコピー