勾留請求却下決定に対し検察官から準抗告の申し立てがあった

                決  定

    令和7年11月11日付の勾留請求却下決定に対して検察官から準抗告の申し立てがあったので当裁判所は次のとおり決定する。

                主  文

            本件準抗告を棄却する。

                理  由

  検察官の準抗告理由の要旨は、要するに、被疑者は、ツイッターなどにおいて、被害者に対して逮捕されるのは間違いがない、取り調べを受けているはずだなどの書き込みをして被害者の社会的地位を害したものであるところ、犯罪の嫌疑がないとした原決定には違法があるというのである。

 しかしながら、被疑者のアカウントは、必ずしも閲覧しなければならないものではなく、被疑者から、そのような書き込みをされたからといって、自殺に追い込まれたとは信用できない。

  逮捕および勾留は当然ながら、監獄と呼ばれるコンクリートの床と檻のついた場所に閉じ込める作用である以上、刑事訴訟法60条各号の罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れがあることが逮捕の理由ではなく、逮捕されること自体が、被疑者をすでに監獄の中に幽閉する趣旨も含んでいることから、実際に、被疑者をそのような環境に置くべき必要性がなければ逮捕勾留は許されないものというべきである。

 刑事訴訟法60条は、犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由が必要であるとし、この部分が満たされていることが、被疑者が牢屋に入るべき第一の条件となる。しかしながら、警察が請求している逮捕状請求書における関係証拠は、被疑者のツイッター等における書き込みや魚拓と呼ばれる証拠数点をあげて犯罪を犯したと疑うに足りる理由としているだけである。以上を総合すると被疑者が勾留される要件はないというほかない。

 本件では、同日に発生している別の事件である、兄の首を突き刺したという事件と異なり、被疑者は、ツイッターで、別の議員に対して、2,3件の文言を送信したというのであって、この時点で、牢獄に入る理由、および、出頭確保などの逮捕勾留の必要性がないことは明らかである。

 よって、被疑者の被疑事実に対して、検察官の勾留請求を却下した原決定の判断は相当であって取り消すべき理由がないから、本件準抗告を棄却する。

 

  令和7年11月12日

    神戸地方裁判所第1刑事部

                    裁判官  入子光臣

                       裁判官   金川

                       裁判官   山谷奈々緒

 

                           原裁判官に通知済み