第4回医学部地域枠からの離脱要件 9都府県が事前に受験生の同意得ず
地方の医師不足を解消するための「地域枠」という制度がある。医学部卒業後、指定された地域で9年以上診療すれば、都道府県からの奨学金返済が免除される。だが、9都府県が、離脱できる要件を受験生向けの募集要項に記載せず、入学前に同意をとっていないことが、朝日新聞の調べでわかった。
情報不足のまま契約、国「要件は事前に示して」
介護や結婚といったやむを得ない事情が生じ、奨学金を利息とともに返済しても、要件を満たさなければ、都道府県が離脱を認めない現状がある。受験生は十分な情報がないまま入学を決めて、後からトラブルになるケースが後を絶たない。
大学医学部に地域枠がある47都道府県に、朝日新聞が7~9月にアンケートを実施。新潟県を除く46都道府県から回答を得た。
都道府県の回答一覧は、記事末尾にあります。
地域枠は、地方に医師を確保するために、大学医学部卒業後に9年以上、枠をつくった都道府県で診療することを条件とした入試枠。類似の枠も合わせると、全国の医学部定員の2割を占める。
今回、調査対象としたのは、地域枠のうち、各都道府県が大学医学部に要請し、国の許可を得て医学部定員を臨時に増やした枠。医学部定員の約10%にあたる。一般枠とは別に、高校推薦などによる選抜試験があり、卒業後、枠をつくった都道府県で9年以上診療する「従事要件」が課される。基本的には学部6年と合わせて計15年以上をその地域で過ごすことになる。
青森県を除くすべての都道府県が、入学時に奨学金を借りることを必須とし、義務を果たせば返済を免除している。
一方、途中で家族の介護や結婚といったやむを得ない事情が生じ、奨学金を利息とともに返済したとしても、都道府県の同意がないまま離脱すれば、医師として重いペナルティーがある。このため、離脱したくても相談できないという医学生や医師の声は少なくない。
厚生労働省は、入学後のトラブルを防ぐため、受験生と保護者に離脱要件を示し、志願時に書面で同意を得るよう都道府県と大学に求めている。
■離脱を認めるのは「死亡」「…
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