東京在住の女性Ｎ様から「どのくらい前かわからないくらい前から坂爪圭吾さんの叫びを毎日読み戦慄し感電して生きてきました。いつもは３人のこどもたちにまみれているのですが、明日明後日は、７月に離婚した元夫がこどもたちと自分の実家に帰るため、18年ぶりぐらいに自由になる時間があります。明日は空いているお時間があるでしょうか。またどこにいらっしゃるでしょうか」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。合流すると、Ｎ様は「忘れないうちに」と封筒を差し出した。そこには購読料と書かれてあった。

Ｎ様は言った。元編集者の女性が書かれた本が好きなのだが、旦那が病気になり、絶望した彼女は死ぬことを考えた。だけど「私は本が好きで、たくさんの本からたくさんの力を貰ってきた。それなのにこんなことでへこたれるだなんて、自分が好きになってきた本に対して失礼じゃないかと思ったら、生きる力を得た」と書かれてあった。私にとっては、坂爪さんがそれです。坂爪さんから力を貰って、離婚を切り出すことができた。自分にもそんな力があるのかとびっくりした。結婚していた時は子育てに精一杯で「旦那のケアをできなくて申し訳ない」と思っていたけど、離婚をしたら元気になった。嫌いな人と一緒にいると、それだけでエネルギーを奪われることがわかった。

素晴らしい。女は、男のケアセンターではない。女は、自分と子供のケアをする。男は、女のケアをする。男は、女のケアをすることが自分自身のケアをすることに繋がる。それによって循環が生まれる。故に、女に「俺のケアもしろ」と求める男はザコ。威圧的な男はザコ。支配的になる男はザコ。マザコ（マザコンのザコ）とは、別れて正解。自由になって正解。女は、男のケアセンターではない。だが、男は、女のケアセンターである必要がある。それが男の器量である。厳しいことを言う時もあるが、根底にはしっかり愛がある。男をザコにしたのは、女側にも責任がある。役に立たなきゃとか、良い奥さんにならなきゃとか、成長神話を信じると、男はどんどんザコになる。

私は最悪な男だが、私の読者は優しい人が多い。自分より他人を優先して、疲れている人が多い。そんなあなたに、最悪なアドバイスを贈りたい。居心地がいいのは自分の手柄。居心地が悪いのはひとのせい。一回、全部ひとのせいにするのだ。自分が未熟だからいけないのだと思うのではなく「お前が退屈な男だから退屈な人生になっちまったじゃねえか」と、啖呵を切る。優しい人ほど、言い返すことができない。相手の言うことを真に受けてしまって、心も体も固くなってしまう。故に、何をしても相手に主導権を握られてしまう。はっきり言おう。役に立つ必要はない。自分が幸せに生きる姿を見て「君のそんな姿を毎日見ていられることがいちばんの幸せだよ」と言わない男は全員ゴミ。ゴミの居場所はゴミ箱。そんな男はあなたの人生に要らない。ゴミの日に捨てろ。あなたが捨てないと、あなた自身がゴミ箱になる。

真に受ける力をポジティブに使おう。信じたいものを信じるのだ。川本真琴を信じた私は「神様は何も禁止なんかしてない」という言葉を信じた。成長しないって約束をする。冗談だらけで猛ダッシュをする。イケナイことでも経験をする。カラダで悟る。何かをやる時に、いちいち許可を取らない。いちいち説明をしない。ただ「やりたいからやりました」と言う。自分の責任でやる。誤解を恐れない。身に降る火の粉を引き受ける。文句を言わない。言い訳しない。最悪の復讐は自殺。最高の復讐は「その歌をやめないとぶん殴るぞ」と言われても、自分の歌を歌い続けること。自殺より他殺。刃物で刺したら犯罪だが、言葉で刺したら芸術だ。暗く生きるより明るく死ぬ。被害者になるくらいなら加害者になる。加害者になってゴミを捨てる。神様は何も禁止なんかしてない。