メガソーラーに森林の違法伐採…「買われたら手遅れ」専門家が警鐘!北海道で横行する外資の無許可開発
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「北海道庁のガバナンスの問題だと思います」
その倶知安町では、中国籍を持つ札幌市の事業者が約3.9ヘクタールの森林を北海道に無許可で伐採し、さらに許認可を得ないまま建物2棟を建設。森林法や都市計画法などに違反しているとして、事業者は道庁から工事の停止を命じられた。 「倶知安町の件は一言でいえば、北海道庁のガバナンスの問題だと思います。信頼できる筋から収集した情報によると、道庁の職員が事業者に、森林法や都市計画法の申請をする必要がなくなる方法を指南したそうです。 森林法では、開発面積が1ヘクタール(太陽光発電の場合は0.5ヘクタール)以下であれば、林地開発許可の申請は必要ありません。たとえば1.5ヘクタールの林地を開発する場合、悪徳業者は0.9ヘクタールと0.6ヘクタールなどに分けて届け出し、連坦していることをわかりにくくさせて開発していくんです。 議員や組織のトップから業者への配慮を頼まれたり、そのようなサジェスチョンがあったとき、多くの場合、一般の行政職員が法を逸脱しない形でできることは『許可申請しなくて済む方法を伝授すること』と『許可が下りる期間を圧縮すること』の二つです。 役所の職員にとっては人事が全て。担当者は罪にならない程度の配慮をせざるを得ないでしょう。私が役人だった時代と変わっていません。局長、課長、課長補佐、係長のラインの中で、きちんと監視の目が行き届くような組織にしなければダメですね」 森林や農地を取得する側からすれば、役所のガバナンスが緩い北海道はつけ入りやすいのかもしれない。 「過疎化で自治体職員の人員削減が続く大多数の市町村は流されるまま対応し、首長や議員も本来の役割を果たせていません。逆に配慮をするような方向にも流れています。だから、北海道は乗り込みやすいというのはあるかもしれません。 北海道新聞や北海道のNHKなどの報道機関は道内の一つのチェック機関でもあったわけですが、この20年で大きく変わりました。監視する役目のメディアが、スポンサーや中国の意向に引っ張られるようになってしまいました」 北海道では、大阪市の事業者が進める釧路湿原周辺でのメガソーラー建設を巡る問題も起きている。この事業者は、約4.2ヘクタールの民有地にソーラーパネル約6600枚の設置を計画していた。が、森林法違反が発覚し、工事は現在、中止の状態だ。 ソーラーパネルの建設予定地付近は、特別天然記念物のタンチョウや天然記念物のオジロワシなどが生息する場所でもある。今年に入って釧路市は、出力10キロワット以上の事業用太陽光発電所の建設を規制する条例を設け、市内全域を対象に許可制とした上で、希少な野生生物の生息調査や保全計画案の作成を事業者に義務づけることにした。条例は来年1月以降に着工する事業に適用される。 「釧路市は上乗せ条例を作りましたが、適用対象はこれからつくるメガソーラーだけです。過去の事業にまで遡及しませんから影響は限定的です。 それに、メガソーラーの事業を始める企業そのものが、今後はそれほど出てこないでしょう。太陽光発電の買い取り価格は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まった’12年よりキロワットアワーあたり30円以上も下がりましたし。 条例を無駄とは言いません。しかし、遅きに失した感は否めません」 問題となっているメガソーラーの建設予定地が、大阪市の事業者から愛知県の会社を経て、今年3月にシンガポール系企業の日本法人に売却されていたことも10月中旬に判明した。 「地上げや地元対応などの面倒な調整は日本の企業にやらせ、発電が始められるようになったら、それを買い取る事業者が登場する。その事業者は合同会社や特定目的会社である場合が多く、外資かどうか判別しにくい。 これは10年以上前からのやり口で、上海電力などが代表例ですが、釧路湿原の事例も転売されて別の事業者に変わりました」
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