甲子園に春夏通算5度出場した私立聖望学園高(埼玉県飯能市)の野球部に所属していた男性が、先輩部員から飲酒を強要されるいじめで精神的苦痛を受けたとして、運営する学校法人や当時の野球部長らに330万円の賠償を求めて東京地裁に提訴したことが6日、分かった。
提訴は7月28日付。10月31日に第1回口頭弁論があり、学校法人は、いじめは偶発的で防ぐのは困難だったと主張。共に被告となった当時の部長や加害生徒らも請求棄却を求めた。
訴状によると、男性は2022年4月に入学し、野球部に入った。部内は「先輩は絶対」という厳しい上下関係があり、野球の実力がある部員には逆らえない風潮があったという。
同9月に部の寮で先輩部員からチューハイやワインを無理やり飲まされるいじめを受け、その後、神経衰弱状態と診断されて転校。当時の野球部長と総監督は黙認し、他の部員から飲酒の申告があった際は「チームが活動できなくなる」などと言って学校に報告しなかったとしている。男性は、学園が安全配慮義務を怠り、悪化した部の環境を放置したと主張している。
飲酒は同10月、交流サイト(SNS)上の匿名通報で発覚。聖望学園は「いじめ重大事態」と認定し、野球部は日本学生野球協会から1カ月の対外試合禁止の処分を科された。学園は取材に「現時点で答えられることはない」としている。