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【最大の敵は運営】トリッカル・もちもちほっぺ大作戦 正式リリース後の感想記事

2025年10月9日、トリッカル・もちもちほっペ大作戦が正式リリースされた。
6月のベータテストを体験した際の記事では「思ったよりガバガバだった」と述べたが、それから約三カ月を経た正式リリースでは一体どうなったのかを書いてゆこう。

先に結論を書いてしまうが、ガバガバさは全くと言っていいほど改善していなかった
Twitterの広報は相変わらず日本語が怪しい上に内容もいい加減だし、ゲーム内の翻訳や仕様、バランス調整の面でも不安定な部分が多々ある。
困ったことに笑えないタイプのミスもかなり多く、日本語テキストの雑さのせいでかなり黒に近い優良誤認が発生していたり、公式のキャンペーンで公認クリエイターが二連続当選、しかも片方はキャンペーン期間後に投稿されたファンアートが特賞を受賞という、意図的でも不注意でも最悪としか言いようのない事件も発生した。
現段階で早期サービス終了が危惧されるほどの状態ではないと思うが、これが改善されなければ長期的な運営は困難なのではないか、と不安になる点も多い。

そのため、本記事は注意喚起と言うか苦言が半分、ネタにして笑うことが半分くらいの感覚で書いている。
まあ、現時点では(基本的に)あまり深刻に考えず、変なゲームの変なエピソード紹介くらいの気分で読んで頂ければ幸いだ。

プロモーション面

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結局広報から紹介はされなかった

まずベータテスト後のプロモーションの話をするが、案の定と言うべきか奇怪な動きが目立っていた。
Twitterの広報が「クレープからのお知らせです!」と言っているくせに結局クレープが何なのかリリースまで何の説明もなかったし、キャラクター紹介はペースが遅い上に人選も謎で、主要キャラクターを差し置いて本編ストーリーに登場すらしない人物が紹介されていた。
公式でスタンプを配布する際の文章のコピペにはほとんど毎回失敗しており、スタンプの対象キャラクターと無関係なバターが何度もぷにぷにされたり、ヴィヴィの次にヨミのスタンプを配布した際にヴィヴィの名前を消すのに失敗し、「ヴヨミ」なる人物が誕生したりした。

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シオンのスタンプ配布なのに後半の名前がバターのまま更新されていない

しかし、リリースが近付いてからは広告に結構力を入れており、東京ゲームショウへの出展、駅や街頭での広告など、Twitterの広報のやる気の無さからは意外なほどに認知度を高めようとする動きは見られた
もっとも、その広告も相変わらず日本語が怪しい、改行の位置がおかしいのは序の口で、実際のゲームの内容と全く関係がない広告や、なぜか該当キャラクターの声優ではなくずんだもんの声に台詞を読み上げさせた広告など、文字通りの粗製乱造と言えるようなものも多々あり、胡散臭さは相変わらずだった。

ちなみに多くの広告で「ガチャ130回プレゼント!」と謳っていたが、この数字はどこから出てきたのかよく分からない。俺は事前登録した上で初日からこのゲームをプレイしていたが、130回分のガチャが明確に配布されることは無かった。サービス開始後のログインボーナス等で配布されたチケットや石を全部合計すればガチャ130回分に届くのかもしれないが、どうにもハッキリしない話だ。

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キャンペーン前のツイートにも無差別に表示されていた

広告関連でインパクトが強かったのはTwitterのハッシュタグに絵文字を表示するキャンペーンだろう。
対象のハッシュタグを使うと自動でバターまたはコミーの絵文字が表示されたのだが、あろうことか#バター#コミーだけで絵文字が表示されるように設定されたため、トリッカルと無関係なバターを使ったお菓子のツイートや、同名の格闘技選手のツイートにトリッカルの絵文字が出るという無茶な事態が発生していた。
一般名詞に設定しようとしたトリッカルの広報もおかしいが、これを通したTwitterの運営も大概だ。

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これもロゴ制作者が日本語に明るくないことが原因か?

なお、おそらく本作に関して最もTwitterで話題になったのは公式のキャンペーンではなく、タイトルロゴが「ドリッカル」にしか見えないと指摘するツイートだった。
(俺は元々トリッカルだと知っていたので疑問を持たなかったが、言われてみれば初見だとドリッカルにしか見えないと思う)

そんなこんなで色々と怪しいことはあったが 知名度自体は間違いなく上がっただろうし、オリジナルソング「もちょっとトリッカル」の公開なども合わせて、曲がりなりにもリリースへの熱気はそこそこ高まっていたように思う。

サービス開始、そして

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バターはベータテスト時には存在していた

そして波乱に満ちながらも迎えた正式リリース日、俺を迎えたのはリリース前日の生放送に担当声優を招待したエレナが未実装、広告で「豪華声優揃い!」と声優をアピールされていたうちの一人のダーヤも未実装、本編ストーリーの主要人物ネルも未実装、さらにはコミーと並んで広告で全面に押し出されていたバターも未実装という衝撃的なキャラ選出と、スキル画面を操作していると突如画面が崩壊するバグだった。
なお、上記のエレナ・ダーヤ・ネル・バターはガチャ画面の画像には思いっきり描かれているため、まさか未実装だとは思わず彼女たちを目当てにガチャを回した人も一定数存在するのではないかと思う。
訴えられたら負けるんじゃないか?

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真の名を取り戻した

ともかく、ベータテストの頃からの変更点として大きなニュースがある。
彼女の名前がユミミに変更されていたのだ。

改めて書くが、彼女の韓国版での名前は「유미미」だった。これをそのまま読むと「ユミミ」になるはずなのだが、グローバル版のベータテストでは中国語版の名前から二重翻訳でも行ったのか、リュウメイメイという名前になっていた。
それが本来の名前に戻った、というわけだ。
音声の撮り直しまでは間に合わなかったらしくボイスはリュウメイメイのままという片手落ちではあるが、修正する姿勢が見えたのは間違いなく良い情報だった

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フォントにハートマークが入っていないらしい

だが、悲しいことに明確に改善されたのはそのぐらいで、他の翻訳ミスなどは全くと言っていいほどに改善していない
例えば同様に名前の翻訳がおかしいと言われていたギデオンは修正されなかったし、ベルベットの一人称は部分的に修正された箇所もあるものの、相変わらず多くの箇所で「俺」「あたい」が混在している。
テキストとボイスの食い違いや、ボイスの欠落なども相変わらずだ。

ビッグウッドのスキル名のハートマーク(多分)が表示されていないのも直っていなかった。一応、ベータテストの際に欠けていた漢字が追加された部分もあったので一部の漢字はフォントに追加されたようだが、記号までは手が回らなかったらしい。
ヘルプの画像内テキストが謎の記号になっている部分も多数残っているし、キャラクターの口調が安定しない部分も相変わらず多い。
ボイスが付いている箇所は比較的マシだが、ディアナの台詞は「~ですねぇ」の丁寧な口調と「~じゃのう」の老人口調がコロコロ切り替わったりしており、やはり万全とは言い難い。

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月光を見花 っめる

どうも本作のローカライズスタッフは根本的に日本語を理解していないらしく、リリース後最初のイベントのタイトルロゴがこのザマだ。
指摘が多かったのか、ゲーム中のロゴはしばらく後に「月光を/見つめる」で改行されたものに修正されたが、その後もTwitterでの告知の際には古いロゴが使われ続けていた

この程度は日本語ネイティブに軽くチェックさせるだけで確実に防げる問題だと思うし、ベータテストの頃から翻訳の怪しさに関しては散々指摘されていたはずだ。
実際にベータテスト後には広報アカウントが「ローカライズ品質が求められているレベルに達していなかったので、今後改善していく」と声明を出していたので、公式側も問題として把握しているのは間違いない。
それでもなお改善されていない、というのは笑えない問題だ。

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誤りを誤る

こんなザマなので、本作は既に記載ミスなどに関して何度も謝罪文を出しているのだが、あろうことかその謝罪文が中華フォントで、よりによって「誤り」の字が日本語ではない、という粗が見えていたりする。

なお、何度も謝罪文を出しているとは書いたが実際にしっかり修正の告知を出すことは稀で、黙ってコッソリと修正することの方が多い
Twitterの広報も頻繁に誤字のある告知ツイートを出し、指摘されると黙って削除して再投稿することを何度も繰り返してきたが、ゲーム中でも基本的にこの調子だ。
ストーリー中の誤字修正程度ならそれでも問題はないのだが、本作はスキルやアイテムの性能など課金に直結する部分でも致命的な誤記が多々あり、既に何度か問題が発生している。
上記の画像のヨミの向月葵の花もミスがあったうちの一つで、説明文には「被ダメージを減少させる」と記載されているが実際には被ダメージ減少の効果はなく、魔法攻撃力が上昇する効果があった

流石にピックアップ中のガチャの目玉アイテムを無言で修正して終わりにするのはマズいと判断したのか本件についてはしっかりと修正の告知がされたのだが、その修正の内容は「被ダメージ減少と魔法攻撃力上昇の両方が発動するように修正します」という斜め上のものだった。
リリース直後から全額返金するような事態は避けたかったのだと思うが、今後のゲームバランスを考えると不安になる対応だ。

こうした誤表記は本当に多々あり、特に「敵の被ダメージ増加/敵の防御力ダウン」「敵の与ダメージ減少/敵の攻撃力ダウン」はどちらも別々の効果としてしっかり存在しているのだが、複数箇所で混同されている

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つまり…どういうことだってばよ?

誤記とは別に純粋に効果が読み取れない例もある。
上記のアロマセラピーは「HP治癒量増加」「HP回復量増加」の効果をそれぞれ持つが、どう違うんだよ
しかも、恐ろしいことにこれは一度修正された後の記述であり、当初はアイコンが違うだけで両方とも「HP回復量増加」の記載だった
どうも「治癒量」は与回復量、「回復量」は被回復量を指しているらしいのだが、ヘルプを読んでも記載されていないのでユーザーが自力で検証するしかない状態だ。

ちなみにヘルプの不足は戦闘部分に限った話ではなく、平日農場(ギルド的なもの)では「村長は他のプレイヤーを副村長に任命できる」と記載されているが、副村長になると何が変わるのか一切説明されていない。
PVPでは一定の順位を超えると自軍の防衛編成メンバーを隠すことが可能、ランクが上がるほど隠せる人数が増加し、最終的には全員非表示にできるのだが、その件は一切説明されていない

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最強優良誤認スキル

日本語の不備において最悪だと思うのがベリータのパッシブスキルだ。
これはリリース当時「前列の使徒の与ダメージ量が増加する」と記載されており、初期レベルで40%、最大レベルで84%もの倍率になる。
本作は同属性の味方の攻撃力を最大23%増加させるパッシブが非常に強力と言われているのに、ベリータは最大84%のダメージ増加だ。これがどれだけ異常な数値であるかは伝わるだろう。

しかし、これはどうも誤表記だったらしく、本当の効果は「敵の前列の使徒に対し、ベリータ本人が与えるダメージが増加する」効果のようだ。
通常クエストで戦う相手はモンスターなので効果がなく、これが作用するのはPVPにおける対戦相手の使徒に限られる、極めて限定的な効果だった。

とは言え、そんな効果がこのテキストから読み取れるわけがない。
実際、俺はベリータが最強キャラだと信じて育てたし、彼女のバフを受けられる(と思っていた)クロエやシェイディも育成した。同じように考えてベリータを育成したプレイヤーも何人か確認している。
個人的に、これは限りなく黒に近い優良誤認だと認識している。

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これはフリックルの不良誤認(まだ修正されていない)

ソシャゲの優良誤認騒動として、俺が過去に遭遇したものはパズドラのジーニャ事件がある。この件を要約すると

  1. 元々パズドラにはジーニャというキャラクターが存在し、2014年にサンタ衣装のジーニャが新規実装された

  2. その際のスクリーンショットで、サンタジーニャのスキルは通常ジーニャと同一の名称・効果だったが、スキルの発動ターンが少し短く表記されていた(通常ジーニャは15、サンタは11)

  3. これはサンタのスキルが通常ジーニャより短い強化仕様になっていたわけではなく、後日にジーニャ含む一部キャラクターのスキル調整が予定されており、サンタはその調整後の性能が記載されていた(つまり通常ジーニャもサンタもスキルは全くの同一で、後に通常ジーニャも11ターンに変更された)

  4. しかし、ガチャの開催後に「サンタは通常ジーニャよりもスキルターンが短いと判断させる優良誤認に相当するのではないか」と騒動が起きた

そして、その後プロデューサーの発言が火に油を注いだりして色々と大きな騒動に発展したのだが、重要なのはそこではない。
個人的に、このジーニャの騒動は割と無理筋だったと思っている。
と言うのも、当時から別にジーニャはそんなに有用なモンスターとして扱われておらず、パズドラスレに常時張り付いていた俺でも攻略編成でジーニャが重要視されていた場面なんて見たことがなかった。
サンタジーニャの登場後も別に「これは通常よりスキルターンが短くて強いから引く!」なんて声は全くと言っていいほどに見かけておらず、騒動を起こせばゴネ得で補填が貰えるかもしれないから一応騒いでおく、程度のプレイヤーがほとんどだった覚えだ。

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育てたクロエとシェイディは勿体ないのでPVPで使っている

だが、今回のベリータの件に関しては明確にベリータを目当てにガチャを回したり、ベリータを育てるために課金アイテムを購入したプレイヤーも少なからず存在しているはずだ。
現状ベリータはガチャのピックアップ対象として目玉扱いされていたわけではないので大きな騒ぎになっていないが、正直これは全額返金レベルの騒動になってもおかしくない事例だと思っている。

日本語がガバガバだったのは運営も認識していたらしく、「10月30日までに日本語テキストの最終校正を行う」と予告した上でアップデートが行われたのだが、結局このアップデートでも修正された箇所の方が少ないくらいだった。と言うか、修正されてもなお間違っていたり、不明瞭な箇所が多いのだ。
ベリータのスキルも、テキストは修正された。
その結果、記載は「前列の使徒の与ダメージ量が上昇する」から、「前列の使徒の与ダメージ量が上昇する」に変更された。

これが「前列の使徒の与ダメージ量が上昇する」ならほぼ正確な表現になっていたのだが、「へ」の位置が一つズレたせいで相変わらず正しい効果には全く解釈できない説明となっている
この例も日本語ネイティブに一度でもチェックさせれば間違いなく発生しないミスだと思うのだが、ベータテストの頃からローカライズ品質を指摘され、正式リリース後にも指摘され、ようやく最終校正をすると言ってもなお、頑なに日本語話者の監修を受ける気がなく、今も不正確なテキストが平然と残っている
これは本当に笑えない問題だと思っている。

結局、この最終校正のアップデートでは強力なキャラクターや装備を入手できるチケットの配布もされたので満足したプレイヤーも多かったようだが、本作の未来を真剣に考えているプレイヤーの多くは「補填なんか必要ないから、とにかく日本語話者を雇ってくれ」と願っているのではないだろうか。

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この一人称変化は修正されなかった

これは俺の予想だが、本作は結構な箇所の翻訳をAIに投げているのではないかと思っている。
上記のルポの例はベータテストの頃から指摘していたが、彼女が「あたい」と自分を呼んだ次の台詞では一人称が「僕」に変わっている。
もしも普通に人間が翻訳していたら、多少下手だったとしても同一人物の一人称がこれほど短期間でブレるとは考えにくい。

それから、これは証拠として少々弱いかもしれないが、本作は一人称「あたい」や「俺」のキャラクターがやけに多いのだ。
「あたい」のキャラは上記のルポシェイディ、それからベルベットカンナもテキストが「あたい」になっている箇所がある。
「俺(もしくはオレ)」のキャラにはベルベット・イフリート・ルード・ティグが存在する。
昨今の日本のゲームにおいて、一人称が「あたい・俺」のキャラクターと言うのはそんなに頻繁に登場するものではないはずだ。特に一人称が「俺」の女性キャラクターなんて、50人近く女性キャラクターが登場するゲームでようやく一人登場するかどうか程度だろう。
もちろん単なる翻訳者の趣味という可能性もゼロではないが、普段あまり多用されない一人称が不自然なほどに多いのは違和感がある部分だ。
(特にシェイディはあまり「あたい」と言いそうな性格ではないように思う)

俺はテキストAIにエロ小説を書かせて遊んでいたことがあるが、現状のAIは少しでも活発・ボーイッシュな要素があるキャラクターだと、一人称を「あたい」「俺」と認識する傾向が強かった覚えがある。
もしもAIにテキストを書かせているのだとすれば、本来マイナーな一人称がやたらと多用されている現象も納得できる。

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茨の魔女のprickle

それからもう一つ気になった点が、このフリックルの名前だ。
彼女の名前も、まず間違いなく誤訳の産物だ。
どうも韓国語ではアルファベットのPとFを区別していないらしく、これらを取り違える誤訳が韓国製のゲームでは頻繁に発生している。
ラストオリジンでは「フォティア」となるはずの名前が「ポルティーヤ」になっていた例があったし、メイプルストーリーではパーシスト(persist)というスキル名でPとFを取り違えた結果「ファシスト」になるという非常にセンシティブな誤訳が存在したりもしていた。

このフリックルは茨の魔女と呼ばれており、名前の語源は英単語のprickle(棘、チクチク痛む)だろう。
本作はポーションの専門家だからポーシャー、翡翠の竜だからジェイド、ゴールデンディーラーだからゴールディなど、結構そのまんまなネーミングが多いため、まず間違いないものと思う。
このprickleのPとFを取り違えた結果、本来のプリクルではなく「フリックル」が誕生した、というわけだ。
リュウメイメイほど浮いた名前ではないので個人的には「よくあるミス」で済ませていい程度だと思っているが、問題はこれが韓→英→日で翻訳しなければ起こり得ないミスであろう点だ。

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これはロックジャンルのEMOを誤訳した結果おばさん呼ばわりされている例(まだ未修正)

リュウメイメイ(劉美美)ギデオン(基狄恩)は明らかに中国語を間に挟んだことが原因で発生したミスだが、フリックルは逆に中国語を挟んでいたら発生しないミスであるように見える。
単純に翻訳者が違うだけとも考えられるが、別のコンテンツの翻訳ならまだしも、キャラクター名の翻訳を他言語の翻訳者にバラバラに依頼する、というのは流石に考えにくい。
だが、これもAIに翻訳を投げたとすれば説明がつく。例えばchatGPTなどに日本語で質問しても、内部的な思考は英語だ。そのため、日本語で日本のアニメキャラクターの話を振っても、海外名を日本語に再翻訳したものを返してきたりする。

本作のパブリッシャーは中国企業のbilibiliだ。
翻訳に中国産のAIを使ったとすれば、内部思考を中国語で行ったせいでリュウメイメイギデオンが誕生し、一方では韓国語を英語に直して取り違え、フリックルが誕生した……なんてことが起こっても不思議ではない。

まあ、どれも明確な証拠はない。単に無茶苦茶な翻訳者に雑に翻訳を投げ、それを確認せずに放り込んでいるだけの可能性もある。
ただ、いずれにせよ日本語テキストがローカライズ失格レベルで低品質であること、それを修正する能力が現在の運営に無いことはハッキリしている。
今からでも運営替えてくれないか?

ゲームとしての問題点

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精神世界などの表現ではない

ここまでローカライズ面の問題を多く語ってきたが、そもそものゲーム部分にも致命的な問題点が多々ある
上の画像はサービス開始語まもなく行われた次元の衝突イベントのストーリーなのだが、会話シーンにおいて表示されるはずのイベントスチルが一枚たりとも表示されず、全て真っ白な背景になる不具合があった。

また、メインストーリーでは銃の話をしているのに表示されるCGが自販機からケーキが出てくるシーンになっている不具合もある。これはベータテストの頃からそうなっており、不具合報告もされていたようなのだが、結局正式リリースされても修正されなかったらしい。
こうした、普通に一度テストプレイすれば分かるような不具合が放置されているのは流石にどうかと思う。

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現在は勝とうと思えば勝てなくはない

ミス以外に明確な悪意を感じる調整もある。
Clone FactorySugar Freeなどのダンジョンでは途中から異様に難易度が跳ね上がり、最終的に推奨戦闘力が200万前後になる。
だが、このゲームのリリース直後は全力で育成を頑張ったプレイヤーでも戦闘力は60万から80万程度が限界だった。現在は上位の装備が追加されたことで強化されたが、それでも上位層でようやく120万程度といったところだ。
一応、この戦闘力表示は目安に過ぎないため数値が大きく劣っていても現実的に勝つことは可能だ。上のスクリーンショットの通り、俺はこのステージを戦闘力114万で突破している。
とは言え、これだけの戦力を揃えた上でなお運の上振れを引かないと厳しい戦いになるくらいに難易度は高い。そのくらい無茶な設定なのだ。本記事の執筆時点でクリアしているプレイヤーは全体の5%もいないだろう。

たわけた事に、このSugar Freeは最終ステージまでクリアすることを初心者ミッションで要求されている。他のミッションは大抵が初心者でも難なく達成できる程度なので、明らかに設定ミスだ。
コンテンツ制覇を困難にすること自体には理解を示せなくもないが、自分たちでどの程度の難易度に設定したかも理解できていないのは擁護の余地が無い。

あと、現状このSugar Freeで入手するスキル強化用のマシュマロは下級と上級は枯渇しやすいのに中級だけはダダ余りする状態になっており、需要と供給のバランスが非常に悪い。
いくら何でも調整が雑すぎるので、マシュマロを相互に交換するシステムでも追加するか、ドロップ量を見直す等の調整を行ってほしいところだ。

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踊っちょるだけの敗北者

キャラクターの調整周りにも粗がある。
その最たる例がシストだ。彼女のスキル構成は以下のようになっている。

  • 低学年スキルは自身の攻撃力と攻撃速度を上昇させるバフ技

  • 高学年スキルは単体攻撃技で、この技でトドメを指すと2回まで追加発動する

  • パッシブスキルにより、通常攻撃を行うと高学年スキルのクールタイムが減少する

つまり、意図された設計としては低学年スキルで自身を強化→速度の上がった通常攻撃を連打して高学年スキルのクールタイムを減らす→高学年スキルでトドメをさし、さらに連撃、といった動きを想定されているものと思う。

これだけ見れば面白い設計のキャラクターに感じると思うが、実際のところ彼女には致命的な欠陥がある。
基本システムとして、高学年スキルは4年生にならないと使えない。
もちろんシストも例外ではなく、戦闘開始後にシストのカードを4回引かなければ高学年スキルは使えないため、それまでの間は貧弱な通常攻撃以外にダメージソースが一切なく、アタッカーとして全く使い物にならないのだ。
そもそもGTAなど一部のコンテンツでは仕様上高学年スキルが使用できないため、どう足掻いてもシストは活躍のしようがない。

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本国では追撃回数が6回だった

パッシブでクールタイムを減らす前提で設計しているのか、高学年スキル自体の性能もクールタイムの割にそれほど高性能ではない。
トドメをトリガーに追撃が発生する仕様上単体のボス戦では絶対に追撃は発生しないが、追撃無しでも頼れるほどの火力は無いのだ。そのため、次元の衝突のようなコンテンツの適性も低い。
と言うか、トドメをさせたかどうかで大きく状況が変わる技なのにスキルレベルを上げるとダメージのばらつきが増加し、最小値と最大値に3倍近い差が発生するので戦果がなおさら安定しないのはもはや完全に嫌がらせだ。

こんなシストだが、彼女は本国版から大きく性能が変更されている。
本国では「弾丸のお届け物で~す」の方が低学年スキルであり、マウントガンが高学年スキルだった。グローバル版では、2つのスキルが入れ替えられているのだ。
こんな事になった原因だが、軽く聞き及んだ話によると彼女は本国版での性能が強すぎてPVPなどで大暴れしたので、グローバル版では弱体化調整のつもりで性能を変更されたのではないか、と言われている。なぜ本国版の性能をそのまま調整せず、グローバル版で弱体化したのかは謎だ。

ちなみに、初期はスキルの中身を入れ替えたくせにスキル名が交換されておらず、名前がチグハグになっているミスがあった。現在これは修正されたが、その際に何故か低学年スキルが本国と同じ「フレックスガン」から「マウントガン」に名称変更されている。
本国版とは微妙に性能が変化しているので「違うスキルですよ」と主張するために意図的に変更した可能性もあるが、グローバル版におけるスキル性能の変化はシストに限った話ではないので彼女だけスキル名を変更する理由は分からないし、シストは「弾丸のお届け物で~す」の性能も微妙に変わっているのに、こちらは変わっていないのも謎だ。

いずれにせよ全面的に突貫工事で性能を変更した結果、調整に失敗したとしか思えない。もちろん性能がイマイチなキャラは他にも存在するが、本国版からわざわざ大改造した結果、活躍できるコンテンツが極端に制限された欠陥品と化したのはシストくらいだ。
せめて「1年生の時点で高学年スキルを使用できる」能力でも追加されればまともに活躍する余地も出てきそうなものだが、期待はできそうにない。

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バシャン!!!!!!!!!!

調整と言えば、これもベータテストの際に書いたが本作は音量バランスが非常に悪く、マスター音量がそもそも小さい上に効果音・ボイスに対してBGMの音量が妙に小さい設定になっていた。
これもベータテスト後に「音量を調整する」と公式が声明を出していたのだが結局ほとんど改善されておらず、クレープの掃除音、平日農場に入場した際の水音、モモの分身が消滅する際の音などは異様に音量が大きい。

ベータテストからリリースの間に修正されなかったどころか、10月末の最終校正とやらの際にも「音量バランスを調整」とハッキリ書かれていたのだが、結局上記の音量は一つとして修正されなかった
一体、何を見て調整を完了したと言ったんだ?
単に仕事が雑すぎて本当に完了したと思っているのか、意図的に隠蔽しているのか定かではないが、こうした点は本当に信頼できない部分だ。

それでも楽しんではいる

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マーゴの好みは非常に分かりにくい

あれこれと運営に対する不満ばかり書き連ねたが、少なくともゲーム自体は非常に魅力的だ。ゲームシステム部分もそうだが、世界観やキャラクターの設定も非常に凝っている。
例えば宴会場ではキャラクターに料理を振る舞えるが、それぞれ「好き」「嫌い」の料理には個別のコメントが用意されている。
素直な好みの人物も居るし、非常にややこしい好みの人物もいる。上の画像のマーゴは自然派そうな雰囲気だったのでナチュラルな草を食わせたら不評で、ノートを確認したら逆ヴィーガンのようなことが書かれていた。

しかし、これはマーゴだけが偏屈なのかと言うと、意外とそうでもないのだ。例えば木の精霊であるビッグウッドも植物の料理を嫌がるし、大地の精霊のガヴィアに鉱石を与えると怒る。「かぼちゃが好き」と言っているスピッキーにカボチャ料理を出すと泣くなど、自身の属性に近しいものを料理として出されると拒絶するキャラクターは一定数居る。
これは、本作の世界観を考えてみると意外と納得がいく設定になっている。

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牛から取っていないのに牛肉

本作の世界には「死」の概念が存在しない。
そのくせ肉や魚などの食材は登場するのだが、これらは肉の鉱山魚の木から採れる、という設定になっている。
なぜこんな世界観になっているのか、に関しては結構重大なネタバレになりかねないので伏せるが、「命を奪って食材とする」概念が前提として根付いていないのだ。
この点を考えると、サラダが本作の登場人物にとって「食べ物」ではなく「生きた植物がバラバラに切り刻まれて苦しんでいる」と認識されるのも頷ける話だ。

実際、カボチャが好きなスピッキーはカボチャを「友達」として認識しているため、彼女にカボチャ料理を出すのは「彼女はペットの犬を愛しているから、その犬をハンバーグにして食べさせてあげたら喜ぶだろう」と考える猟奇的な思考のように受け取られるのも自然な話だ。

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コミーは屁理屈とワガママで構成されている

こういった、一見ヘンテコだが実際はよく作り込まれた世界観・設定は間違いなく本作の大きな魅力の一つだ。
宴会場ではキャラクターとの簡単な会話もあるが、これも各キャラクターの個性がよく出ている。もともと一癖ある人物が多い上に、教主(主人公)の返答も変なものが多いので、反応は予測が付かない。

クソガキっぽいキャラクターが普通にクソガキらしい反応をすることもあれば、優しそうなキャラクターが突然辛辣な言葉で突き刺してくることもあるし、ワガママそうなキャラクターが意外なほど良識のある対応をすることもある。そしてまたクソガキに襲われる

好感度を上げると各キャラクターの図鑑にエピソードが追記されたり、撫でたときの反応が変わったりする。細かな部分が一つ一つ作り込まれているので、最初は興味のなかったキャラクターも設定を眺めているうちに好きになってくることも珍しくない。

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ニンジンで殴られたことはある?

キャラクター設定に限らず、モンスターや細かなアイテムにまでいちいちヘンテコな設定が用意されていたりするので、図鑑などを眺めているだけでも飽きない。
ただゲーム性を楽しむだけではなく、特に意味もなく起動してはキャラクターを撫でたりほっぺを引っ張ったり、設定を読み込んだりしてトリッカルの世界にどっぷりと浸かる。これが楽しいのだ。
そういった魅力があるからこそ、カスみたいな翻訳で引っかかりを感じたり、優良誤認を起こされてサービス継続を不安視したくないんだよ。

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おそらく現環境最強のヒーラー

何だかんだ本作の正式リリースから三週間ちょっとが経過したが、良くも悪くもベータテスト時と感想は大きく変わらない。
キャラクターや世界観を味わうだけでも楽しいし、意外と奥が深いゲーム性を思いっきり味わっても楽しい。
俺は現状このゲームをそこそこ頑張っている方だと自負しているが、自分なりに強い編成を考え、キャラクターを育成し、イベントやPVPで上位を目指していくのも楽しい。

絶対に強いと信じて育成したマーゴが完成し、PVPで格上の相手を次々に狩っていったときは最高に楽しかった。最近は他のプレイヤーも煮詰まってきたのか安定して勝つのが難しくなってきたので、新たにルポを育成して相手のシオンを最速で狩る戦法を試そうと思っていたりする。
狂気属性のメンバーも育ってきたので、予告されているアリスが実装されたら本格的に狂気を中心とした編成に移行することを考えてもいるし、冷静属性のメンバーも揃っているのでそちらの編成も作ってみたい……等々、やることは尽きない。

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クソガキであることも良い子であることも本当

ベータテストの時点では読まずに残しておいた本編ストーリーも一通り読み進めたが、全体としてはお馬鹿なノリ・胡乱なネタに満ちつつも、話の主軸そのものは意外と骨太……といった点は変わらず、読み進めるほどに面白さが増してゆく。

特にメインキャラクターのエルフィンはクソガキらしい行動で溢れつつも、その純真さと責任感は本物だと伝わってくる描写がされており、物語を読み進めるほどに愛着の湧いてくる人物としてしっかり表現されている。
本編の三章における侵略者への対応や、ヨミの個別ストーリーで登場した際に教主に石を投げてマジギレさせた話などは彼女の人物像が特に活き活きと描かれている。

キャラクター個別のストーリーも、本当にしょうもない内容から、ほのぼのした心温まる話、ちょっとジーンと来る話など、バラエティ豊かな内容が揃っている。
総じて、しっかりと本作の物語に興味を持たせ、本作の世界やキャラクターに愛着を持たせるだけの材料は十二分に揃っている。

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Bilibiliは法律を守れ

とにかく現状は運営が最大の欠点だ。
一応、Twitterの広報もリリース前と比べると積極的な情報公開が増えており、多少はやる気を出してきているように感じる。
アリスの紹介ツイートでは またしても翻訳ミスを出していたが、今回は黙って削除して再投稿せず、ちゃんとお詫びと訂正のツイートを追加していた。
もしも今後、じわじわと広報の姿勢が改善されていけば「失格」から「あまり良くない」程度の評価に上がる可能性もあるかもしれない。

正直言って、そんな不安定な希望に賭けるよりもさっさと運営会社を変更してくれた方が嬉しいとは思うのだが、そう簡単にはいかないだろう。
俺にできることはアンケートに「日本語話者の監修を受けてくれ」と毎回書くことくらいだ。

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シルフィールはとても可愛い

本作には、間違いなく他のゲームには真似できない素晴らしい魅力が多々ある。心からそう思う。
できることなら長く続いてほしいし、日本でもグッズ展開等される程度には流行ってほしい。おそらく、同じ感情を抱いているプレイヤーも多々いることだろう。
それだけに、日本語訳の低品質さや無茶苦茶な調整のせいで余計なケチが付き、運営に差し障るようなことが起こってほしくない。

それを日々感じながら、俺は今日も限界までキャンディを購入してキャラクターを育成し、PVPで50位以内を維持するために悪鬼たちと争っている。
思った以上に不安は尽きないが、それ以上に楽しんでいるのも確かだ。
できることなら、ここから不安だけが消えてくれることを切に願いつつ、俺はシルフィールの頭を撫でる仕事に戻ることにする。

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【最大の敵は運営】トリッカル・もちもちほっぺ大作戦 正式リリース後の感想記事|鏑木和奏
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