東京高等裁判所令和7年(ネ)4083号事件について

 

   原告  前田記宏

   被告  朝吹英太代理人殿

 

  被告が令和7年10月7日に提出された控訴審段階に対する答弁書は理由がないものと思料するので10月27日の期日の前をもって予め原告側の控訴答弁書を送付する。控訴答弁書は以下のとおりである。

           理   由

民法上の権利の乱用が、権利の行使が事実上の利益を侵害するのは当然で、特段の場合には制限するというのは最高裁が示すまでもなくほとんど当然のことである。

 被告は本件で、令和6年8月1日に、原告がガラスドアを蹴り割ったことよりも、令和6年12月4日にユナイテッド不動産に書類を提出したことおよび、3か月分の家賃を払っていないことを重視しているようである。

 しかし、令和6年12月4日に原告が矢野いつきのところにレターパックの中に入っていた解約書類をもっていったのは、矢野という者がどのような者であるかを見てみたいという興味本位であったと推察され、そうでなければ、原告が、本件解約合意がどのような意味を持つかを分かっていればあえてそこにいかないであろうから、原告は、本件解約合意書類を矢野のところにもっていくことでいかなる裁判上の災いが自らにふりかかるかを理解していない状態でもっていったと推察される。このようなことからすると、12月4日のことをことさらに重要視するべきではない。

 本件で中心的な意味を持つのは、原告が何の理由が存在してエントランスドアを割ったかということであるが、警察官にけしかけられて割ったであろうことは容易に推察され、警察官にけしかけられて割ったとすれば原告には法的な責任はない。しかも、そうであれば、被告の社長は、原告がエントランスドアを蹴って割ったから出て行ってもらいたいなどと主張すること自体が失当である。

 弁護人は、本件について、一審判決より前にもおそらくそのことは認めているはずであり、7月31日判決は、事情はどうあれ、本件のようなことをするのは迷惑だ、信頼関係を大きく破壊するし、原告が捜査対象となり逮捕勾留されたし、示談をした以上、それもあって不起訴にされたのであるから、被告が示談交渉に応じるのは当然のことであって権利の乱用に当たるべき事情はないなどという。

 しかし、7月31日判決では、およそ被告が相当前に述べていた、本件で原告がガラスドアを割ったことは警察官とのやり取りの中で発生したものであり、被告とは関係ないのである、と弁護人も認めているように、ガラスドアを割ったことは、被告とは関係がないのである。

 そのようなことからすれば、一審の判断はいかにも幼稚で不合理である上、一審の判決は、債務不履行解除については判断を示していないことからも不合理である。

 本件弁護人は、様々な判例をあたったが本件では原告には勝ち目がないから7月31日の判決が出たこともあって今すぐに実家に帰ってもらえれば損害金の請求などはしないとご母堂に電話したともいうが、一審の判決が絶対に覆らないということは信用できない。

 以上の理由により、令和6年12月4日に原告が解約通知をもっていったなどという一事をもって解約合意に応じたとしている弁護人の主張は理解できないし、一審判決は債務不履行解除については判断を示していないこともあり、完全ではないから、勝訴の見込みがないとはいえないとはいえず、弁護人の主張は認められない。 

 

以上