令和7年東京地方裁判所民事第2部 行ウ510号、146号

  東京高等裁判所は、概要、次のように判断した。

   原判決(令和7年1月16日言い渡し)を全部引用して次の通り必要箇所を削ったり必要な判断を加える。

   板橋区志村福祉課職員(以前の志村福祉事務所職員は)、領収証の提出要求などの必要な調査は遂げている。このように必要な調査を遂げている以上は職権の濫用ではない。

   控訴人は令和2年3月26日のケース診断会議記録票が残っていないことを指摘するが、前回処分取り消しの決定をしただけであるのでそれに係るケース診断会議記録票を作成していなくても不自然ではない、を加える。

    原審判決12頁3行目における、理由がないから、の、ない、から、4行目までの、判決する、という箇所を引用して、理由がないに改める。

 

 

 

              判    決

              主    文

           被告が原告に対してした処分を取り消す。

              理    由

  本件は、原告が、令和元年12月25日までに生活保護費のうち合計で96800円を余計に受領していたため、被告である板橋区が、生活保護法63条により、その全額の返還を請求したが、自立更生免除を検討して、78000円だけの返還を請求しているところ、原告が、この行政処分を不服として争っているものである。

 原告は、平成26年4月24日に刑務所を出所した頃にアスペルガー症候群を発症し、同年9月25日に宮崎県内のクリニックで統合失調症と指摘された。さらに、平成27年5月に、延岡市の医院で平成18年頃から不安障害があるとし、平成30年10月2日まで、延岡市のクリニックで統合失調症と診断されていたことの各事実が認められる。

 原告は、平成30年3月28日に上京し、女性が経営するシェアハウスと契約するとともに、翌日、生活保護の受給を開始した。

 このころの原告の精神障害の等級は不明であるが、宮崎県に居住していたころは1級であったところ、平成30年11月に2級となり、それ以後には2級の等級で精神障害年金を受給している。

 板橋区は、平成30年11月から実際には9か月分だけ障碍者算額を支払っていたが2か月分多く計上して、11か月分を返還してほしい旨を、令和元年12月25日に原告に架電した。

 本件の争点は、職員が必要な調査をしていたかどうかである。パソコンのデータの取り出し費用とシェアハウスのゴミ出し費用は、令和元年11月15日に原告がこれを行った際に統合失調症の症状が重度であったことなどからして、自立更生に資するものであったといえる。さらに、被告は、領収証の提出を求めたというが、現実的に求めた形跡はない。

  東京高等裁判所は、原審の判決を書きかえるかたちで判断をしているが、明らかに評価を誤っている。