side タンザナイト
その辺で散歩していると、丁度そこに朱鳶達がいたので話しかける。
「あ、タンザナイトくん、私たち、遅れていませんよね?書類の整備に時間がかかり、道中も渋滞に巻き込まれてしまいまして....ビーチフェスを見に来る人が多いようですね....」
『大丈夫だよ朱鳶、丁度いいタイミングだ』
「騎士殿、人は日々変わるものと申すが...まさかぬしがスロノス区にてかように大きな事業を興しておったとは。侮ってはならないものだ」
『偶々だよ...』
「わかっておる、冗談であるぞ。『春眠暁を覚えず』とは言うが、かように蒸し暑い夏の日、我も治安局の執務室でたびたび休眠モードに陥ってな。少し外の空気でも吸おうと、ここに参った次第だ」
青衣ってたまに年寄り臭い感じが出てるんだよな....あっなら、あそこなら気に入るか?
『青衣、ここには釣りができるスポットがあるんだが...』
「そうか、よきかなよきかな」
どうやら喜んでるようだ。
「先輩ったら....あ、あの方向に屋台が...射的屋さんでしょうか?」
『俺たちが考えた新感覚の射的屋だぜ』
「えっ...本当ですか?やってみたいです....もうすぐ局内で射撃大会が開催されますから!これは良い練習になりそうですね!」
「ふむ、朱鳶も興がのつておるようではないか」
「うっ....あ、タンザナイトくん、良かったら一緒に...参加しませんか?」
『ん?俺か....いいよ、まだ時間があるし』
「よ、よし...なら行きましょう!」グイッ
『うおっ!?』
朱鳶が俺の腕をつかみ、射的屋へ走っていった....
「うむ....青春じゃのぉ~」 (=ω=)
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朱鳶と一緒に射的を楽しんだ後、次の場所へ向かっていた――――朱鳶凄かったな....数ある的を的確に素早く撃ち抜いてた....おかげで俺は二位だったな。
....あっ、あの獣耳は....雅だ。
「タンザナイト、来たぞ」
『雅か、それに月城も!』
「タンザナイトさん、お久しぶりですね。六課のメンバー全員で休暇申請を出しました。こんな晴れやかな夏の夜ですから、仕事の疲れを癒すのにここはぴったりだと思います。ですが浅羽隊員と蒼角はなぜだか、着いてすぐに慣れた様子で自由行動に移ってしまいましたね....まるで初めての場所ではないかのように.....」
『へーそうなんだ....』
前に何かちらっといたような気がしたが....まさかな.....
「最近また新たな冒険をしたと聞いた。よければ夜になったら、どこかで腰を落ち着けて、夜風に吹かれながら、ゆっくり話を聞かせてくれないか。それに邪兎屋のニコも来るようだ...丁度いい、私も彼女との旧交を温めたい。そう、初めて私から『無尾』をだまし取ったのも、こんな夜だったからな」
ニコぉ....っ!
と、何やってんだよな思いを心の中で言う。
「私も少し飲み物でも頂いて、リラックスしたいところですが.....その前に蒼角を見つけなければなりません。浅羽隊員に関しては....休暇を取っているのですから、ゆっくり休ませてあげましょう.....」
『そうか、じゃまたあとでな』
そう言い、俺は次の場所へと移した。
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あのあと、色々な陣営たちと軽く話し合っていると、フェスの準備を終えた柚葉達が帰って来た。
「やっと一息つける...はぁ...やること多すぎ!」
「でも事前の準備は全部済んでいるから、少し安心なのだわ....」
『お疲れ様。はい、ジュースだよ』
そう言い、疲れた柚葉達に飲み物を渡す。
「ありがうなのだわ....それにしても始まるわね....ビーチフェスの開催を決めたのってついさっきのことだったような気がするのだわ。この数年間、いろんなことがあったけど....もうすぐ学校に戻らなきゃいけないのよね」
「....お嬢様、本気で言ってる?まだ休暇なのにさ!学校とか授業とか、そんなこと気にしてたら髪の毛が左右非対称になっちゃうよ?」
「な、なんてことなの!でも、授業に出るのは学生の本文だもの....」
うーん...アリスはマジメだな...にしても学校ね....高校のときこの世界に来てずっと仕事しっぱなしだったからな...
『えっと...アリスそのことは後にしようか』
「ええ...申し訳ないのだわ。時々場違いなことを言ってしまって....だって、貴方たちは私が初めて心から打ち解けられた友達なのだから。これまで、友達との付き合い方もよく分からなくて....」
「はいはい、許してあげるから、そんなにビクビクしないの~それに、今年の休みは終わっちゃったけど、来年の休みにまた海に来ればいいじゃんね!その時は、勉強したいからって断らないでよね~」
「...必ず来るのだわ、約束なのだわ!タンザナイトも一緒に来てくれるのよね?」
『ああ!もちろんだ!』
「二人の言ったこと、忘れないからね~!約束破ったら、お家にかまち―を潜り込ませて、ドリンクを全部ゴーヤジュースに替えちゃうんだから!」
ハハハと、そんな会話をしながら夜まで待って――――ついにフェスが始まるのだった!
「ようこそファンタジィ・フェスへ!」
多くの人ごみの中、俺、アキラ、リン、少女の四人は一番最前列へ到着して、アストラの姿を拝める。
皆ノリノリでフェスを楽しんでいる、無論俺も。
「みんなで最高の夏にしましょう!」
そこから色々な人達と交流した。
アストラとイヴリンと一緒に六人の集合写真を撮ったり....
シーザー達が船上バーで飲み物を飲んでいたり....
狛野を写真に収めようとしたらニコが入ってきて、奇跡的にぶつかった瞬間が取れたり....*1
パイパーのバイクの説明にグレースの眼がキラキラしていたり....
師匠たちが釣りを楽しんでいたり...
猫又が『魚~』のボーズを取った姿をエレンや蒼角達が見ていたり....*2
朱鳶たちやハリンたち、ツイッギー姉さんたちが楽しく会話していたり....
カリンやビビアン、ディナたちがライカンのギターの演奏を聴いていたり....
皆、このファンタジィ・フェスを楽しんでいた。
「もう休みも終わるな」
「夏も....もう終わるのだわ....」
「続くよ――まだ.....みんながいるから毎日が楽しい夏休みだもんね!」
こうして、楽しいフェスは深夜まで続き、俺たちは楽しんだ反動でぐっすりと朝まで眠りについた.....
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朝起きて、外に出ると、柚葉、アリス、テレーゼ、エーゲの四人がいた。
「タンザナイト、おはよう!」
『おはよう、何してんだ?』
「リゾートの短期運営権がもうすぐ切れちゃうって話をしてたよ」
『ああ....』
そうえばもうすぐ期限がすぎるんだっけ....
「この件については....契約書の取り決め通り、皆さん方のリゾート施設に対する短期運営権は近々当方に戻ることになっている。だが....」
「....あの、このリゾートを私たちと一緒に長期的に経営していくことを検討してもらえないかな?もちろん費用は一切いらないから....どうかファンタジィ・リゾートとより深く、より長く続く関係を築いてほしいの!」
「皆さんの協力なくして、ここはとっくにウィリスの手に落ちていたことだろう....皆さんは僕たちの友人であり、リゾートの恩人でもある。僕もお嬢さんも、従業員一同も、皆さんの力が必要だと感じているんだ」
「うーん...アリス、どう思う?」
「....お二方、私たち、リゾートからの収益はこれ以上必要ないのだわ....怪談屋の経費は、私たちの努力で賄っていくつもりだから。でも、私としては....この短期運営権が切れ達いって、私たちの想いが薄れてしまうことはないと思うのだわ。」
「それに、このリゾートのアトラクションも雰囲気も大好きで、このまま離れて、見向きもしなくなるのは、私たちもイヤなのだわ。だから私たちには、リゾート施設の今後の長期運営に、ぜひ参加させていただきたいのだわ!」
と、アリスらしい答えを出す。
「その通り~!アリスの答えは、私たちみんなの気持ちでもあるよ!」
「よかった、お断りされるんじゃないかって心配してたの....改めて、これからよろしくお願いね!それから、この写真も...昨夜のミュージックフェスで私が撮ったの。よかったら、受け取ってほしいわ」
そう言い、テレーゼから集合写真を貰った。
「ありがとう、テレーゼ!すっごく素敵に撮れてる....見てるだけで昨夜のあれこれを思い出しちゃうね....ウサギちゃん、にやにやしないの。みんなが見てるよ」
「べ、別に笑ってなんか!わ、私はただ....まぁ、笑ってたのは認めるのだわ。だって本当に嬉しいんだもの!この写真をベッドの枕元に飾らせていただくのだわ....そうすれば、毎朝目覚めた時、貴方たちの顔が見られるもの!」
『なら、俺もそうしようかな』
「こりゃ....みんな同じことを考えてるみたいだね!」
ハハハと、皆笑いながら会話した....もうすぐ、夏が終わる。
だけど――それはまた、新しい出来事の始まりだ。
夏イベ 完!
今度は防衛軍の絡みだけど、どうなるかおらワクワクすっぞ!