side タンザナイト
翌朝、目覚めた俺たちは調子を整え、外へ集まった。
「おっ、みんな起きてるな。元気そうで何よりだ。それじゃあ、そろそろ作戦開始といくか!」
「リン、タンザナイト、みんなとイアスを連れてホロウに行ってくれ。僕と兄弟子さんは遠隔でサポートする」
『わかった。よし、出発しようか!』
そうして、俺たちはこの前のエレベーターの近くに『
「やっぱ便利だねその力...」
「一気にショートカットしたのだわ....」
「みんな早く、今ならエレベーターが使えるよ!」
リンが急かすようにいい、俺たちは入手したパスワードを入力し、エレベーターを使って行くのだった。
着いて早々、目に映ったのは、石で出来た箱が沢山あるところだった。
「あれ?輝磁が入った石の箱がいっぱいある!」
「これ、オブスキュラなのだわ!」
『これ...全部がか?』
そう言い、俺たちは近づいて、そのオブスキュラを『Fairy』に解析させる。
[通知。サンプル成分の解析を実行中....解析完了。ターゲットの成分は、マスターが所持しているオブスキュラの欠片と99.97%一致しました]
「あの欠片、ここが出所みたいだね。オブスキュラと爆薬...この二つは、おんなじ場所を示してた。」
「少し調べてみたのだけれど、この部屋にあるオブスキュラはまだコーティングがされていないのだわ。ここは、塗料を控えたオブスキュラを保管する場所なのかも」
「じゃあやっぱり、ここはオブスキュラを製造する工場になってたんだ?」
「そう言う事になるのだわ。向こうにももう一つ扉があるけれど、あの向こうが塗料を定着させるための屋外作業場のはず」
「ようし、外に出てみよ。徹底的に調べてやるんだから」
そう言って、扉の前まで歩いていくと、横の認識機械があったので操作した。
[案内:所定権限を有する認証カードを使用し、音声案内の後にパスワードを入力してください]
「さっき入力したパスワードでやってみよう」
[パスワードが違います。もう一度ご入力ください]
『あ?違う?....どういうことだ』
と、さっき入力できたパスワードが違うと、出てきたので疑問に思っていると、アキラが解説する。
「みんな、落ち着いてくれ。潘さんに聞いてみたんだけれど、犯人の話では、このドアの暗証番号はエレベーターの暗証番号を基に定期的に更新されているらしい。具体的な更新ルールはゲート横の日誌に記録されているそうだ」
『ゲート横って...見当たらないぞ』
「どこかに散らばってしまったのかしら?周りの地面には紙切れがたくさん落ちているのだわ」
「あり得るな。リン、このあたりで手がかりを探してみよう」
『....いや、待て』
「?」
一々そんなので調べてる時間は面倒だし....出来るだけ時短しようか....
『今は時は金なりの状態だ。時短できるところは時短していきたい....ので、この扉を通過させる』
「通過って....え?どゆこと?」
『こうする...『
『!?』
俺は『時空モード』で扉に人一人入れる空間を作り出す。
『よし、できた....ほら、行こ』
「ギミック無視は普通にずるくない?」
「一気に省略しすぎでしょ....」
「でもこれで無駄なく入れるのだわ!」
そうして、『通過空間』で難なく突破していると、さっきよりオブスキュラが多いところに来た。
「見て、このあたりの排水溝!オブスキュラだらけ....」
「となると、欠片はこっから外に流れたっぽいね」
「でも、
『....エーテリアスの仕業とかか?』
「この作業の他に、崖の辺りにも工場の建物がいくつかあるの。そっちに手がかりを探しに行ってみよう」
そう言って、目の前にあったエレベーターを調べてみる。
「このエレベーターは、奥の建物に続く唯一の通路みてぇだ。どうスかリンちゃん、動かせそうっスか?」
「えいっ」
と、リンはエレベーターを動かすが.....
[注意:エレベーターは停止中です。運転を再開するには、電気設備を起動してください]
「うーん...駄目、電源が落ちてるみたい」
[助手二号、ご安心ください。屋外作業場周辺のプラットフォームより、稼働可能なエーテル発電機を3台検知いたしました。現在のエレベーターの電源だと思われます]
「発電機がすぐそこにあるなら、さっさと起動させちゃいましょ」
「待って、ほら――プラットフォームの所々に障害物があるの。オブスキュラが入ってた『引き出し』が飛び出て、道をふさいでるよ」
あっ本当だ...あっちこっち飛び出しているな.....
「あの引き出しはオブスキュラの塗料を固めるための装置で、正式な名称は加熱定着装置というのだわ。オブスキュラの出し入れを容易にするために、近くの移動用のスイッチがあるはず」
[肯定。加熱定着装置の制御盤を検知。貴方様の左前方に位置しています]
「こんなに近くにあったのか。けれど、周辺の地面が破壊されたせいで回路に不具合が出ているみたいだ。リン、タンザナイト、ここからは二手に分かれよう。柚葉達は上の台で発電機を起動してくれ、僕たちは下で加熱定着装置を動かして、通路を確保するよ」
「うん、そうしよ!」
そうして、俺たちは上と下で協力し、途中現れるエーテリアス達をなぎ倒しながら3台の発電機を起動することに成功した。
「やっとエレベーターが使えるね!」
「じゃあ、あなた達が乗って。後で上の階で合流ね!」
そうして、リンがエレベーターを使って上へいってみると....そこにはホロウの裂け目が遠くで展開していた。
「ん?リン、あそこを見てくれ、かなり安定してる裂け目があるんだ」
「『Fairy』、その裂け目の先は?」
[ただいま測定中、少々お待ちください.....測定完了、この裂け目は一方通行で、航空宇宙開発区の外周に位置する、廃棄された居住区付近へと繋がります。この裂け目は爆破装置の設置後に、離脱するためと推測されます]
「そうか、爆薬を近くにおいたのは、扱いやすくするためだったんだな」
「でも、道が崩れているね....」
「大丈夫だ、あとで別ルートで迂回できるだろう。先に柚葉達と合流しようか」
そうして、別ルートで俺たちと合流したリンは一緒に先へと進み始めていると、エーテリアス達が現れる。
「怪物だよ!」
『任せろ!』
「俺らで相手するんで、リンちゃん達は隠れててくださいっス」
『くらえっ!!』ガガガガッ!!
俺は腕をガトリングに変えて、エーテリアス達に放つ。
「―――はっ!」
「おらぁっ!!」
ズバァァァンッ!!
その隙にアリスと狛野が剣術でエーテリアス達を斬り伏せる。
――数分も経たずにエーテリアス達を倒して、先に進む。
「さっ、向こうの建物に行ってみよ」
柚葉がそう言って扉まで行くが....なんか凄い攻防の跡があるな....
「地面に争った痕跡がたくさんあるのだわ!」
「あのゲートまで続いている。その向こうはもう別の建物みたいだけれど....中がどれくらい広いかは、ここからじゃ分からないな」
「うん、なんだか真相にどんどん近づいている気がするよ!」
「私もそう思う。でもこのゲート...全然動かな~い!衝撃で歪んじゃったみたい」
「俺に任しとけ。どりゃああ―――ッ!!」
ガツウゥゥゥンッ!!――――
狛野が扉に向って拳を振るうが....大きい音が鳴っただけで扉は完全無傷だった。
「だめだ、ビクともしねぇ」
「真斗でだめなら、タンザナイト、お願~い!」
『ほいほい...『
「もう...流石というしかないのだわ」
「いやもう色々と便利すぎでしょ。8割くらいタンザナイトが仕事してるよ....」
「とはいえ...これで先に進めるようになったからありがたいんだけどね....さぁ行こうか」
そうして、扉を空間で開けて、先へと進むと...人が地面に倒れている姿があった。
「っ!人が倒れてる...」
「...駄目っスね。息はしてねぇ」
『...段々とここの闇が近づいてきたな』
そうして進み続けると、見覚えのあるシンボルがあった。
「ん?ありゃ...讃頌会のシンボルじゃねぇか!」
「そんな?ここはポーセルメックスの工場では...?」
『...見ろ。床に何かごちゃごちゃに散らかってる....手分けして調べるのがよさそうだ』
「ええ、そうしましょう!」
その後、みんなは手分けして調べることになった....
俺は大量の資料があったのでリン達と共にざっくりと見た。どうやら、資料の表紙には早やかに処分というハンコが乱雑に押されていた....なんの処分だ?
「ふむ...こっちは山の工事関連の資料のようだな....」
「ん?ねぇここみて!『機材工場の第二作業場を聖堂に改築し、讃頌会出身の研究員が礼拝を行える場として提供することを承認.....』」
『讃頌会出身の研究員....ロアのやつか!』
「それだけじゃない....前から気づいてはいたサラ、メヴォラクも.....いずれもホロウに関する高度な専門知識を持っている。それに、僕たちも前に話していたはずだ。讃頌会がサクリファイスの研究をするなら、莫大な資金と安定した拠点が必要だからきっと後ろ盾がいると。しかし、まさかそれがポーセルメックスだったとは....」
「この資料によれば、輝磁の精製純度限界を突破しようと、ポーセルメックスはずっと精製技術を研究していたみたい....適切な触媒を手に入れるために、人体実験もこっそり行ってたみたい....」
『讃頌会並にクソじゃねぇか....』
許せねぇ...人の命を何だと思ってやがる....
「そうだ、論理の一線をとうに超えているからこそ、讃頌会に目を向けていたんだと思う。両者が繋がってからもう七、八年くらい経ってるみたいだ。讃頌会がポーセルメックスの必要とする技術を提供すれば、ポーセルメックスはあらゆる便宣を提供し、さらにあるていど自主研究の権限までも....ん?」
『どうした?』
「リン、タンザナイト、彼らがこれだけ長期にわたって協力関係を続いてきたなら、毎年
『....それを考えるに、ダミアンが繋がっているのは薄いと思う。讃頌会に対する態度や社内のダミアンの立場から見てもダミアンは知らないと思う』
「うん、私もタンザナイトに賛成だと思う」
「そうかい。ここは大体見終わったし、みんなの様子を見に行こうか。」
『おう』
そう言って、みんなの所へ行って、何か進展があったか様子を見に行った。
――そこでは、子供を人体実験のカルトや『プロジェクト・ニューリーフ』と呼ばれている侵蝕抗体の研究の資料、ヤヌス区の讃頌会残党、メヴォラクに関すること......色々な手掛かりらしき物を手に入れることができた。
俺がきになったのはメヴォラクの所で....『始まりの主は自ら望まぬ者を再創しない』と公の場で表明して、ポーセルメックス側の人体実験を継続する提案を却下したところだ....あれだけ『解脳水』でみんなを苦しめたくせに、矛盾してんだろ.....ただ、狛野が言うには捕まった讃頌会のメンバーの中には、ロアに不満があった奴もいたらしい。なんでも『始まりの主』とかいうやつの言う事をきかねぇで、何も知らない一般人に手を出して罰を受けたとか....
「ポーセルメックスと讃頌会....裏で結託してたなんて」
「うん、思ったより面倒なことになってる.....」
『おや....おやおやおやおや.....』
『っ!誰だ!』
すると、何処からか女らしき声が聞こえた。
急いで俺や柚葉、アリス、狛野は戦闘態勢に入る。
『何か物音が聞こえて行ってみたら.....まさか、こっちから獲物がくるとは思わなかったな....』ズズッ...
「っ!地面から現れたぞ!」
そこで見たのは....黒いフードのようなものをかぶった鯱のような仮面をつけた人物が地面から水のようにスッと現れる場面だった。
――よく見るとこいつ....腕にヒレが付いてる.....
『始めまして...っといった感じか?』
「あんた...一体誰?」
『ん?俺か?そうだな....名前何て別にどうでもいいけど......オルカ、うん、オルカでいいよ』
「オルカさん...貴方は、讃頌会と何かかかわりが....?」
『讃頌会?ああ、そうだなあ....まあ一言でいえば、あそこでミアズマから生まれた存在ってことだな』
『!?』
オルカから放たれた衝撃の真実に俺たちは唖然とした。
「ミアズマからって....それじゃお前、エーテリアスなのか!」
『んー....そうなんじゃない?俺の右目にコアがあるし』
『お前...何しにここへ....』
『ん?....あーそうだった。
「...あいつ?」
ズォッ!!―――ドシィィィンッ!!
『!?』
すると上から何かが降って来た....そこには灰色の人型の怪物が現れた。
...な、なんかどっかで見たことある姿だな....
『グゥゥゥ....キェアアアアアアアッ!!』
『.....あーうるさいうるさい....やっと見つけたよ。ずいぶん好き勝手に動き回りやがって....探すの大変だったんだぞ。勝手に暴走して...』
「な、何なの、あれ....」
『知らんが....やばそうだ!』
『グゥゥゥ....』
『って急にやる気みたいだし。はあ....まあ別にいいか。ここであいつらもいなくなれば後々楽になるし』
「っ!なんだあのオルカってやつの殺気....今まで感じたことがねぇ....!」
『根負けすんな狛野....それじゃ勝てるもんも勝てなくなる!』
「き、気を付けてみんな!」
『さてと....それじゃあ、死んでもらおうか』
オルカがヒレを展開しながら謎のエーテリアスと共に対峙するのだった.....
『やれやれ...血気盛んなのは困りようだな....お姉ちゃん』
翼の生えた黒いフードのフクロウの仮面がオルカたちの方を上の突起物らしきところに立ちながら観覧していた。
ねじれポイント
本来ならパスワードやらダクトやらで手間がかかるところをタンザナイトが時短した。
ミアズマ・フィーンドだけだったけど新たにオルカもボスとして登場した。