貫通不可
「え? まあ……サディナさんが一緒に来たいっていうなら問題ないけど……結構危険だよ?」
「大丈夫よ。お姉さん強いから」
お義父さんはお姉さんのお姉さんを見た後、パンダとその配下に視線を移しますぞ。
次はパンダ達ですな。
「ラーサさん達も来る?」
「出来れば遠慮したいねぇ」
パンダは倒れた霊亀を眺めながら答えますな。
何を恐れているのですかな?
「了解。まだラーサさん達のLvとかに若干不安があるし、今は少数精鋭で心臓部を目指した方が妥当かな」
「ガエリオン達は行くなの!」
ここでライバルが自己主張しますな。
サクラちゃんも負けじと一歩踏み出して睨み合いをしております。
「もちろん、俺の仲間として協力してくれているみんなは一緒に来てほしいな」
その言葉に拒む者はいないようですな。
中々の心意気ですぞ。
「えっと、元康くんは鉄板でしょ。ガエリオンちゃんとウィンディアちゃんとイミアちゃんは三人で協力関係みたいだし、サクラちゃんとコウ、それでサディナさんだね」
エクレアは女王の警護が優先事項の様ですからな。
次点としては錬と共に戦う事ですかな?
どちらにしても数には入れていない様ですぞ。
「お姉さんがんばるわよー」
「フィロリアル様達はどうしますかな?」
お姉さんのお姉さんが抜けた場合はどう統一を取るのでしょうか?
何分難しい問題ではあるのですぞ。
そもそもフィロリアル様達も同行するのですかな?
それはそれで楽しい事になりそうですな。
「んー……ユキちゃんの抜けた穴が思いの他大きいね……ちょっと女王様の負担が増えるけどお願いできますか?」
「問題ありませんよ」
「じゃあ錬と樹、そして女王様、俺達が乗り込んで心臓部を叩きに行くから頭が再生して動き始めたら対処をお願いするね」
「ああ、俺達が頼んだんだから当たり前だ」
「ええ、同時破壊なのですから勇者も二手に別れるべきです。尚文さん、元康さん、御武運を」
俺達はその足で倒れた霊亀の甲羅の上へと見送る者達に手を振りながら移動したのですぞ。
「うう……日数が経過していないからまだマシだけど、悲惨な状況だったみたいだ……ね」
お義父さんが青い顔をしながら霊亀の山を上ります。
山に入る前に霊亀の上にあった町を抜けたのですぞ。
そこに転がっている死体の山を見て答えました。
まあ、メルロマルクの城下町も似た様な状態になりましたから、ある程度は慣れている様ですが、お義父さんは苦手な様ですぞ。
主に霊亀の使い魔の犠牲者らしいですからなぁ。
「それでもガエリオン達は進むしかないなの」
「そうね、お姉さんもそう思うわ。こうしてナオフミちゃん達ががんばったお陰で助かる命がきっとあるのよー」
「そうだといいな。それで元康くん、何か見つからない?」
何だかんだでまだ暗いですからな。
俺が魔法の炎で照らしながら山を登りますぞ。
サクラちゃんやライバルも一緒に探していますぞ。
確か霊亀の体内へ続く洞窟があるのでしたな。
最初の世界ではメルロマルクの城下町で開拓中だった霊亀の死体を俺は通り過ぎた事がありますぞ。
洞窟の中には行った事がありませんが、なんとなくの目算は付きますな。
遠くからでも開拓された道が見えたので記憶を頼りにしています。
「たぶん、この辺りですぞ」
俺が指差すと、お姉さんのお姉さんが獣人姿に変わって何やら目を凝らしておりますぞ。
「んー……あっちじゃないかしらー?」
お姉さんのお姉さんが指差す方向でちょうどライバルとサクラちゃんが振り返りますぞ。
「あったなの!」
「あったー!」
「おお! もしかしてサディナさん、超音波とかで何か察したのかな?」
「まあそんな感じかしらねー」
陽気にお姉さんのお姉さんは応じますぞ。
俺も負けてはいられませんな。
「では俺が先頭で洞窟に入りますぞー」
「まあ、元康くんが明かりの魔法を使ってくれているしね。お願いするね」
「わかりましたぞー」
なんて感じで俺は初めて霊亀の洞窟へと足を踏み入れました。
俺の記憶が確かなら最初の世界を含めてお義父さんはこの洞窟に二度挑戦したのでしたな。
「えっと……女王様からもらった地図があるよ」
お義父さんは地図を片手に方角を指し示しましたぞ。
俺はお義父さんの指示する方向へと進んで行き、やがて若干拓けた所に出ましたぞ。
それでも暗い洞窟の中ですな。
ちなみに出てくる霊亀の使い魔共は俺達の敵ではありませんぞ。
遭遇と同時に俺が仕留めてやります。
少し開けた所には雪男みたいな使い魔が……いましたが仕留めてやりました。
「とりあえずここからは地図に無い霊亀の体内へ続く道を見つけないとね」
「ですな」
「手分けして探すのも手だけど……とりあえずもう少し奥の方を探索してみよう。考えてみれば今まで見つかっていなかった道があるっぽいから普通の方法じゃ入れないのかもしれない。十分注意して」
お義父さんの言葉にみんな頷いて進みますぞ。
幾つにも別れた洞穴のような別れ道の一つに入りました。
やがて少し進んだ所で行き止まりになりましたぞ。
「なのー……?」
ライバルがパタパタと行き止まりから上の方を見て飛んで行きますが、直ぐに戻ってきました。
天井はそこまで高くない様ですな。
「行き止まりか」
「なのー?」
「んー?」
サクラちゃんが若干首を傾げていますぞ。
どうしたのですかな?
お義父さんの仰る何かを感じ取ったのですかな?
「どうしたのガエリオンちゃん、サクラちゃん」
「よくわからないなの。なんか違和感があるけど、わからないなの」
「うん。なんか変ー……」
「コウもそう思うー」
サクラちゃんとコウ、ライバルが行き止まりで首を傾げていますぞ。
いきなり当たりですかな?
お義父さんもその辺りを察して壁を注意深く確認していますぞ。
俺を含めて各々が観察しますな。
「イミアちゃん、イミアちゃんは何か感じ無い?」
おお、モグラに聞くのは良い手ですな。
何せ種族的に洞窟や土に関しては詳しいはずですぞ。
「え、えっと……確かに何か変だと思います」
「ナオフミちゃん、ナオフミちゃん」
お姉さんのお姉さんがここでお義父さんに呼びかけますぞ。
ライバルが騒いでいたので黙っていた感じですな。
「どうしたのサディナさん」
お姉さんのお姉さんは指を下に向けて何度も指差しましたぞ。
「ナオフミちゃん達の少し後ろ辺りの所に空洞があるわよ。何かで強引に塞がってる感じがするわね」
「ここですかな?」
俺がゴスッと地面に向けて槍を突き立てますぞ。
すると良い切れ味な感触と共に槍が何かを貫きました。
「――!?」
カッと床に何やら目玉のようなモノが開かれて暴れ始めました。
が、既に俺が串刺しにしているので無駄な抵抗の次元ですぞ。
「お!? こんな所に擬態した魔物がいたのですな!」
「気づかなかったなの! 悔しいなの!」
「悔しいー」
「隠れるのが凄く上手だから上に乗らないとガエリオンちゃんもサクラちゃんもわからなかったんじゃないかしらー?」
なるほど、ライバルは常に浮いていますし、サクラちゃんは見渡していただけで、上に乗りませんでしたからな。
コウは壁に意識を向けていたので分からなかったのでしょうな。
「では仕留めますぞ! バーストランスX!」
俺のスキルで擬態していた魔物を仕留めてやりましたぞ。
「しかし……よくよく考えてみれば洞窟の入り口から心臓に向けてスキルを本気で放てばどうにか出来そうな気がしますな」
「前回はやらなかったの?」
「ブリューナクを頭に向けて胴体を貫通させようと思いましたが出来ませんでしたな」
かなり頑丈なのか、瞬間的な攻撃への耐性が高いのか霊亀の甲羅は凄く頑丈でしたぞ。
再生力も高かったので、生半可な攻撃では再生してしまうでしょうし、鳳凰の所為で結局は倒せませんでしょうな。
「まあ、心臓に直接乗り込んだ方が結果的に早そう――」
と言い切る前にゴゴゴと地面が激しく揺れ始めましたぞ。