転生先はエーテリアス   作:YEX

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潜入

side タンザナイト

 

オブスキュラの欠片が流れてきた場所からホロウに入ると、『Fairy』がすぐ近くの排水溝でオブスキュラの小さな破片を見つけた。水の流れに沿って上流へと進むと――

 

「あっ見て!あそこに配水管があるよ!道は間違ってないみたい」

 

「山の上に行くほど、配管が地中に埋まっている....だんだん見つけにくくなってきたのだわ」

 

「すまない。『Fairy』は配管の大まかな進路を計算できるけれど、このへんはホロウデータが限られていて、これ以上は正確な位置は特定できない.....リン、たくさんミアズマを浄化してきたけれど...体の方は大丈夫かい?」

 

と、イアス越しで通信してるアキラがリンの体を心配したが、リンは大丈夫だと言い聞かせる。

 

「ふふん、見くびらないでよね。私はぜんぜん元気だから!」

 

「ここは輝磁を製造している工業港からはかなりの距離があるし、しかもだいぶ目立たないのだわ」

 

「情報によると、数年前に()()()()()()()()()()()があったらしい。ミアズマが増える前は、エーテル濃度もずっと安全なレベルに保たれていたようだ。最先端の設備が整っていたから、当時は研究員が常駐していただけじゃなく、わざわざ学者が視察に来ることもあったらしい」

 

「これはカンっスけど....その研究所、閉鎖したフリして違法に輝磁製品を作る工場になってんじゃ?」

 

確かに、その可能性が高いな....閉鎖されたと事前に言っとけば、色々やりやすいからな....

 

「それ、いかにもポーセルメックスがやりそー....じゃあ、水の流れをたどって上流まで行こ」

 

そうしてね上流まで着いて、着地できる場所まできたら、俺たちは降りて、先へ進む。

 

「じゃあみんな、行こっか」

 

[高エーテル活性の個体に注意してください]

 

すると、次々にエーテリアスが現れる。

 

「ようやくか。ずいぶん歩いたからな」

 

「狛野くん、なんかウキウキしてない....?」

 

「手加減しなくていい相手だし、スッキリしたいんでしょ」

 

『そういうもんかね...はあっ!!』ズバッ!!

 

俺たちは次々に襲い来るエーテリアス達をなぎ倒しながら進んでいくと、二手に別れた道があった。

 

「この先、二手に別れているのだわ」

 

「どっちも上り坂で、水の流れもさっきの排水路にむかっているな....どっち行けばいいんだろうか....」

 

「手分けして調べる?」

 

「待った。みんな、これを見ろ」

 

『ん?』

 

狛野が言った場所を見てみると、何やらこすった跡が見える。

 

「あら、カートのタイヤ跡があるのだわ、近くのミアズマが付着してるみたい!」

 

「この濃度でミアズマは増殖できない、しばらくすれば見えないくらいになって消えてなくなるはずだ...となれば、この痕跡はつい最近できた、ということなのか?」

 

『となれば当然....この痕跡を辿れば目的の所に近づくってこと....』

 

「とりまタイヤ跡がどこまで続いているか調べてみない?突破口が見つかるかもよ?」

 

「そうだな」

 

「リン、タイヤの跡の一部はもう目で見えないかもしれない。ここは師匠から教わった追跡の法で探してみようか」

 

そうして、リンが術法で痕跡をたどって、奥の所まで行くと....タイヤ跡が沢山ある場所に着いた。

「きゃっ!びっくりしたのだわ。こんなにたくさんのタイヤ跡が!」

 

「見た感じ、カートはここを頻繁に出入りしてたみたいだね。タイヤ跡が山ほど重なっているから、そう簡単には消えないっぽい」

 

「カートが出入りしてるってことは、ホロウに入った人は何かを運んでいるってことだよね。でも、この人は『搬入』してるのかな、それとも『搬出』してるのかな....?」

 

『....なんにせよ、こんだけ跡があるということは、相当重いものを運んでいるようだな....ん?』

 

ふと、地面をじっくり見つめていると、何やらカードらしきものが落ちていた。

 

『これって...』

 

「認証カードだ!」

 

「タンザナイト、とりあえず認証カードは取っておこう。どこかで役に立つかもしれない」

 

『そうだな、アキラ』

 

そう言い、認証カードを懐にしまった。

 

「他になんか跡がないか、この辺を調べてみよ」

 

『じゃあ、次はもう一つの道を調べようか』

 

俺たちはもう一つの道へ進んでいくと、ゲートらしきものが目の前にあった。

....が、運悪くエーテリアス達と対面した。

 

「気を付けて、またエーテリアスだよ!」

 

「エーテリアスより、あっちのゲートを開けられるかどうかだよね....」

 

「ここを綺麗にしてから、確かめに行くのがいいのだわ」

 

『さっさと片付けて、先に行くぞっ!『加工(クリエイト)』っ!』シュババッ!

 

そう言いながら、俺は鎖をエーテリアス達に巻き付け、ひとまとめにする。

 

『行けっ!』

 

「わかったのだわ!」バッ

 

ズドドドドッ!!

 

その隙にアリスがフェンシング術でまとまったエーテリアス達を一網打尽にする。

 

「さ、片付けたしゲートのとこ行ってみよ」

 

柚葉がそう言い、ゲートの方へ向かってみると、機械合成の声で通知を出してきた。

 

[システム通知:通行するには認証カードをご提示ください。]

 

『えい』ピッ

 

[認証、完....完完完了しました]

 

落ちてたカードで使ってみたが....なんかバグってない?

 

『なんだ今の音?』

 

[大大大変申し訳ございませんが、現在デ...ババババイスに異常が発生しております。端末を起動するには、認証後に初期パスワードを再度入力してください]

 

「これ....侵蝕でダメになってるね...」

 

『やばいじゃん。どうする?』

 

「心配ない、横にボンプ用の作業台がある、初期パスワードといった類のものはその中にほぞんされているはずだ。イアスの体で潜入してくる、すぐに見つかるさ」

 

『おお、頼んだぜ!』

 

そうしてアキラに頼み、ゲートの初期パスワードをイアスを操作して、システムの中へ探し始める。

 

数分後――ゴゴゴッと音をたてながらゲートが開いた!

 

「開いたよ、みんな行こ!...見てタイヤの跡だよ!」

 

『やっぱりここの方向で合ってたみたいだな』

 

「気を付けて!このあたり、ミアズマの濃度が高いのだわ」

 

「連中こんなとこでブツを運んでいたのかよ?ムチャクチャしてんな。ま、俺らも人のことは言えねぇか....ハッ」

 

「狛野さんが、自分に突っ込みを入れているのだわ....」

 

「そしてお嬢様がそれにツッコミをいれる、と.....」

 

『そして柚葉がツッコミをする....まさに無限ループ!!

 

「.....なぁにこれぇ☆」

 

と、そんな漫才みたいな感じで進んでいると、『Fairy』が警告してきた。

 

[前方に行き止まりを検知]

 

「えっ行き止まり?」

 

『ってミアズマで道塞いでるなこれ....』

 

着くと、そこにはミアズマのコブが奥まで通せんぼしていたので、リンと共に対処し、奥のエレベーターを調べる。

 

「これ下りのエレベーターだね、タイヤの跡がここまで続いてるってことは、あの人たちは下層区域に行ったのかも。前に拾った認証カードでエレベーターを動かせそ?」

 

『試してみるね』ピッ

 

[警告:認証カードの権限が不十分です。所定権限を有する認証カードに交換し、音声案内の後にパスワードを入力してください]

 

「カードだけじゃなくてパスワードも?このエレベーター、セキュリティ厳しすぎない?」

 

『それだけ中は見せられないって事だろうな....』

 

「『Fairy』なんとかできそう?」

 

[すみません。当該装置はオフラインのシステムおよびアナログなパスワードを組み合わせた旧態依然としたものであり、『Fairy』には有効な解析を行うことができかねます]

 

「リン、タンザナイト、別の方法で通れないかあたりを調べてみようか」

 

『そうだな』

 

そうして、何か手がかりがないか調べてみると....何者かに破壊された後や荷物が入っていた外箱があったりしたがエレベーターを動かせそうな手がかりは見つけられなかった。

 

「そんな~ここで終わり?ちょー悔しい....柚葉のラッキーをもってしても、うまくいかないなんて」

 

「みんな安心してくれ。エレベーターのパスワードロックは解除できなかったけれど....『Fairy』と周囲の地形を分析してみたら、後ろの崖はそこまで高低差がなかった。ちゃんと越えられるルートが見つかるはずだ。ただ測定には時間がかかるし、誰も崖のぼりができるような装備の持ち合わせはない」

 

「というわけで、今日はひとまず撤退...だね。もうすぐ日が暮れそうだし」

 

「さんせー。夜のホロウなんて長居したくないもん。戻る準備しよっか、ホラお嬢さんも....」

 

「....」

 

『アリス?』

 

何やら考え事なのか、ぼーっとしているアリス。それを柚葉が大声で呼ぶ。

 

「おじょーーさまーー!?」

 

いゃあああああ!びびび、びっくりしたのだわ....!」

 

うわっ、うるさっ....

 

「こっちが先にびっくりしたのだわ。何もないとこで、急にぼーっとして...どしたの?」

 

「さっきの箱にあったラベル、なんだか見覚えがある気がして....」

 

『それって...『建築用断熱材』の外箱のことか?いつ頃に見たのそれ?』

 

「本当に、最近だとは思うのだけど.....ごめんなさい、こんなことで皆さんの時間を取らせて...ひとまず急いでホロウを出なくては」

 

そうして、俺たちはホロウを離れた後、一行はそろって澄輝坪へと戻った――

 

「ふぅ...やっと澄輝坪に戻ってこられたのだわ。もう日が暮れているなんて」

 

「みんな...ふう....お疲れ様....」

 

『大丈夫かリン?』

 

「も~...ほんとはお嬢様のスタミナをイジろっかなとか思ってたけど...あなたを見たら、もうなんにも言えなくなっちゃった。今日はもうやることもなさそうだし、ここで解散しよっか」

 

「わかった。ルートの測定が終わったら、すぐに連絡するね」

 

別れようとした丁度その時、執事7のような人が突然現れた。

 

「失礼します。お邪魔してすみません...アリス・タイムフィールドさまでしょうか?」

 

「ええ、そうだけれど、貴方は...?」

 

「私、ポーセルメックスにて皆様のお世話係を担当しております。先ほどあなた様宛てのお荷物が届きましたので、お知らせに参りました」

 

「荷物?差出人は?」

 

「申し訳ありませんが、お荷物に記載がなく...またサイズが大きいため、ひとまず私共の倉庫に保管させていただいております。もしよければ、これから確認していただいても?わざわざ衛非地区まで送られてきたものですから、大事なものかもしれませんので」

 

『.....』

 

「そう...それでは皆さん、私はこれで失礼するのだわ」

 

そう言って、アリスは執事と共に去って行った......

 

 

 

 

 

 

―――よし、ここまでは順調だな。

 

~~~~

 

しばらくて、澄輝坪某所――

 

「荷物の保管場所までは、あとどれほどなのかしら?」

 

「遠くてすみません。もうすぐそこですから....かなり大きな荷物でしたので、私共も気が気でなく―――輸送中に、万一のことでもあれば、と.....」

 

執事らしき人物が言いながら、ひっそりとロープをアリスに仕掛ける。

 

ガッ!!

 

 

 

 

 

 

「ぐはぁっ!?」

 

『悪いが万一は起こらんぜ....俺たちがいるから

 

その瞬間、執事をぶっとばし、『透明結晶(カモフラージュ)』で隠れていた俺が姿を現す。

 

「くっ!こ...これは....一体....うぐっ!?」

 

「大人しくしてろ」ググッ

 

「まさか予想が当たるとはね」

 

狛野が執事を取り押さえ、全員が集まる。

 

「はあ...私達が、何の備えもなく、ただホイホイついていくと?」

 

『事前に察知して良かったぜ...』

 

それは少し前....俺たちが泅瓏囲から戻る途中のこと....

 

――――

 

――

 

 

「―――なぁ何か感じねぇスか?」

 

「どういう意味?」

 

「もしかして真斗が言ってるのって、ずっと柚葉たちをつけているあいつのこと?」

 

『あー...あいつね...』

 

「あら?あなたたちも、後ろに誰かいると気づいてたの?」

 

「今日は立て続けに、タイムフィールドのお嬢様やらイゾルデさんやらにあったもんだから、ジブンが過敏になってるだけかと思っていたが...よく考えたらあのヤロー、朝から俺らを尾けてやがったな」

 

「そんな....透明化してたのになんで....」

 

『多分、見失ったから先に泅瓏囲に先回りしたんだろう。朝から尾けてたとしたら、あそこに行く会話も聞いてたはずだ。そしてそこから尾行してもなんも問題はないはず』

 

「どうする?引きずり出して一発わからせっか?」

 

『それか俺が透明になってとっ捕まえる?』

 

「出来なくはないけど、捕まえた後どうするかが問題だよね。近くにポーセルメックスの人とか治安局のロボもいるし、無理やり連れて帰るのは現実的じゃないかも....」

 

「プロキシに賛成かな。向こうかが尾行だけにしているのも、こっちの人数が多いからだと思うし...()()()()()()()()()()()()()()できっと仕掛けてくるよ」

 

『なら、こっちもそれなりに罠を仕掛けるか....』

 

「たぶん、向こうの狙いは私なのだわ....」

 

「え?なんで?」

 

「さっき思い出したのだけれど―――昨夜、私の窓にぶつかって来た箱...あれに張られたラベルが、ホロウで見たのとまったく同じだったのだわ!」

 

『そうなの!?』

 

 

――

 

―――

 

「柚葉の推測はあってたね。あの世話係になりすましてた人が、物資をこっそりホロウに運び込んでた張本人だよ。箱を見ただけのアリスを口封じなんて、よっぽどやばいもの運んでたんじゃない?」

 

『まっ、それについてはこいつから聞くとしようか....』

 

そう言い、俺たちは成りすました執事を適当観に連行し、洗いざらい吐くように尋問に掛けるのであった.....

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