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配信期限 11月13日(木)午前7:45
SNSのインスタグラムでなりすましアカウントが相次いで確認されています。
これまではフォロワー数の多い著名人が狙われていましたが、最近増えているのが、身近な知り合いや団体などになりすます新しい手口です。
その実態を追いました。
(科学文化部記者 絹川千晴 / おはよう日本ディレクター 藤本珠美)
配信期限 11月13日(木)午前7:45
茨城県でピアノ教室を開いている女性です。
ことし9月、「なりすましとみられるアカウントからメッセージが送られてきた」という連絡が、友人から寄せられました。
女性はインスタグラムで、ピアノのレッスンの様子や日常の写真を投稿。
フォロワーは友人のほか、教室の生徒の保護者を中心におよそ600人いました。
右側が見つかったなりすましアカウントです。
女性の顔写真や自己紹介をそのまま転載していてほとんど見分けがつきませんでしたが、アカウント名の「_(アンダーバー)」が「.(ドット)」になっていました。
なりすまし被害にあった河邑真紀さん
「著名人でなりすましがあるということは知っていましたが、まさか自分がなりすまされて、私の知っている人にメッセージを送られるとは思わず、最初とても驚きました。その後は怒りを感じ、『なんて迷惑なことをしてくれたんだ』という気持ちになりました」
なりすましアカウントから友人に送られたダイレクトメッセージです。
「あと2票で優勝です!ぜひ私に投票していただけますか?応援していただけると嬉しいです」
女性がコンテストに出場しているように勘違いさせて、投票を促す内容が書かれていました。
やりとりすると、投票に必要だとして、電話番号などの情報を送るように依頼してきたということで、個人情報を盗んで悪用しようとしていた可能性があります。
フォロワーの中には、本人だと信じてしまって、電話番号を教えてしまった人もいたということです。
本物のアカウントで注意喚起の投稿をし、運営会社に通報することで、2か月後になりすましアカウントは削除されたということです。
インスタグラムでのなりすまし被害はことし夏頃から、相次いで報告されています。
NHKが被害を訴える投稿をしているアカウントを、検索システムで確認したところ、8月から10月末までの3か月間に少なくとも750件余りが見つかりました。
著名人や企業など、以前から被害が報告されていたアカウントもありましたが、その中で新しく目立っていたのが、一般の個人や個人事業主のアカウントです。
フォロワー数が1000人未満のアカウントは130件あり、中には個人の趣味や日常を投稿している一般のアカウントなどが多くありました。
フォロワー数の少ないアカウントまで狙われている背景について、詐欺の手口や被害者の心理に詳しい専門家は「人間関係の近さ」を悪用しようとしている可能性があると指摘します。
日本大学危機管理学部 木村敦教授
「私たち消費者は著名人のアカウントのなりすましには一定の警戒心を持つようになっています。一方で身近な人から来る連絡は、共通点や親近感などもあって、最初の警戒心のハードルが下がるので、そこの隙をつかれている可能性があります」
なりすまされたアカウントを調べていくと、もう一つの特徴も見えてきました。
地方の自治体や首長、消防、警察、商工会など、公的な機関や団体が狙われていたのです。
そのうちのひとつ、福島県郡山市では今年8月に、地域の魅力を発信するために運営してきたアカウントで、なりすましの被害にあいました。
見比べると、冒頭で紹介した手口と同じように自己紹介文や写真はそのまま使われていて、アカウント名もそっくり。
偽物は「_(アンダーバー)」の記号が一つだけ多くなっていました。
市の公式アカウントのフォロワーからは、偽アカウントからダイレクトメッセージが届いたという相談が複数、寄せられました。
年齢や性別などを聞かれたあと、投資に勧誘されたということです。
郡山市観光政策課 菅野晃一係長
「自治体が投資のメッセージを送ることはありえませんが、逆に自治体が出しているから信じてしまうおそれもあるのかなと感じています。偽物が出てきたことは衝撃ですし、やっぱりそれと同時に憤りを覚えました」
私たち取材班は、なりすましだと報告されているアカウントを15件フォローして検証しました。
するとこのうちの10件のなりすましアカウントから、「最近、株式投資を学べる無料のLINEグループを作りました」などのメッセージが届いたあと、年齢や関心を尋ねられ、LINEグループに誘導されました。
その後は、投資のアシスタントをかたる人物とのチャットと、勉強会と称するグループチャットに登録されました。
これまで取材してきた著名人になりすましたSNSを悪用した投資詐欺と同じ手口でした。
個人や自治体など身近な存在のアカウントになりすまし、投資詐欺へと誘導しようとしている可能性がみえてきました。
【関連記事】SNS型投資詐欺の詳しい手口なりすまし被害が相次いでいる背景について、セキュリティー会社は、アカウント作成ツールの存在があると指摘します。
こうしたツールなどを使うと、簡単に大量のなりすましアカウントを作ることができるようになってきていると言います。
さらに同じアカウントを使い回しているケースも確認していて、時期によって利用者に表示される名前が、証券会社をかたったものからアナウンサーをかたるものに変わったこともあったということです。
セキュリティー会社「トレンドマイクロ」
本野賢一郎さん
「有名人のなりすましはもう怪しいなと感じる人が多いと思いますが、身近な人や小規模な団体だと親近感があってだまされやすくなると思います。
フォロワーのリストが丸見えで、なりすましアカウントからメッセージを送りやすいこともリスクです。今後もなりすましアカウントは増えていくと思います」
インスタグラムを運営するメタ社は、NHKの取材に対し、なりすましは規定で禁止しているとして、確認された場合はアカウントの制限や停止などの対策を進めているとしています。
では、私たちはなりすましにだまされないために、どういった対応が必要なのでしょうか。
セキュリティー会社などへの取材をもとにまとめました。
1,フォロワー数や過去の投稿などに不自然な点がないか
見た目では本物と偽物の見分けがつきづらくなっていますが、中にはフォロワー数が少ないものや、過去の投稿がほとんどないものもあり、そういった点に不自然さがないか確認しましょう。
また、スマホアプリでは相手のアカウントのプロフィールページの右上にある「…」(三点リーダー)をクリックすると、「このアカウントについて」という項目があります。
ここを見ると、利用開始日やアカウントの変更回数などを確認することができます。
セキュリティー会社によると、なりすましアカウントは、何度もアカウントを変更しているものがあるということで、過去に変更履歴があるかの情報も参考になるということです。
2,投資話や個人情報入力求めるDMに注意
株や投資の話をしてきたり、個人情報を聞き出してきたら「なりすまし」の可能性を疑うようにしてください。とくにLINEグループに誘導されたら、まず詐欺だと思いましょう。
知り合いならフォローをする前に本人に確認する。自治体や公的機関であれば、公式のHPに正しいSNSアカウントの情報が掲載されていることもありますので確認したり、直接問い合わせたりすることが大切です。
3,なりすまし見つけたら運営会社に通報を
なりすましのアカウントはさまざまなSNSで確認されています。多くの声が集まることで凍結や削除などの対応が進む可能性があります。見つけた場合は積極的に通報していくことで、被害を減らすことができます。
専門家はSNSのなりすましアカウントには、一層の注意が必要だと指摘します。
日本大学危機管理学部 木村敦教授
「SNSは、もともと趣味や関心が合う人たちが時間や空間を超えてコミュニティーとして集まってやり取りをするので、犯人側としてもターゲットを選定しやすいです。
SNSはなりすましが非常に多い空間であるということをしっかりと認識する必要があり、安易にやりとりをしないことが重要です」
配信期限 11月13日(木) 午前7:45
科学文化部 記者
絹川千晴
2016年入局
和歌山局、京都局を経て現所属
2023年からITと消費者庁を担当
おはよう日本ディレクター
藤本珠美
2022年入局
山口局を経て現所属
取材のきっかけは知人のなりすましからのフォロー
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