side タンザナイト
リンとイアスと一緒に待ち合わせの場所へ向かうと、そこには狛野たちがいた。どうやら様子を見に行った時のことを話しているのかな....?
「...あのさ柚葉。あのお嬢様と会ってから、なんか妙に
「お嬢様のことなんて、なーんにも気にしてないよ。意地悪って思われても別に私はいいしね。得意のお節介は置いといてさ、巡回してる警備ロボのことを考えてよ」
『おっす、来たよー』
「ナイスタイミング。そして...貴方がリンちゃんね。私は『浮波柚葉』、さっき調べてみたんだけど...ダミアンて人、山道までちゃんと気が回ってたみたい。讃頌会の残党がここから逃げるかもって名目で山を下る道を封鎖して、住民たちの通行も禁止してる。色んな警備ロボをあちこちに配置しちゃって、24時間体制でパトロールさせてるんだよ」
「ってことは今、山道はメカだらけってこと?」
「押忍。パワーはざっと人間の三倍あるし、おまけに疲れ知らずときてやがる...ちぃと厄介っスね」
「それなら大丈夫だよ!」
「ん?どういうことっスか?リンちゃん」
リンは『Fairy』の能力を遠回しに説明した。
「つまり...すげえAIを持ってっから、視覚記録を跡形もなく消せるぶん、人間より楽勝ってわけっスね?」
「うん、そんな感じ」
「わお、あのお嬢様がここにいなくてよかったね。絶対、『そんなことは駄目なのだわ!!』って言うに決まってるもん」
「おい柚葉、気にしてねぇとか言ったくせによ....」
『まぁ、そう言われるとおもって俺も
「よーし、行こっかリンちゃん、タンザナイト!私と狛野は警備ロボをシャットダウンさせるから、視覚記録の削除はよろしくね!」
((狛野(くん)、無視されちゃった....))
「はぁ。とにかく、準備ができたら出発しましょ」
『...ん?ちょい待ち』
「どうしたんスか、タンザナイトさん?」
なんか....誰かに見られてるような...
『ちょっと誰かの視線が感じるような...』
「...確かにね、なんかあっちの方で見られてる感じがするわ...」
『よし、ちょっと待ってろ』
「どうする気っスか?」
『『
「「!?」」
俺は自身を透明に変化する結晶に変化させ、この場から透明にする。
「き、消えた!?どうなってんスか」
「『透明結晶』って言って、タンザナイトが透明人間になれる技だって。私も体験したことあるから、結構スリルがあったよ」
「..はは、笑うしかないね」
そんなことを思っている中、俺は視線を感じる所まで向かうと...そこにはアリスが立っていた。
(アリス!?なんでここに....ちょっと驚かしてみよ)
俺はそっと近づいて、アリスの耳の部分を息を軽く吹いた。
『フゥ―』
「ひゃぁぁぁぁぁっ!?」バッ
『あっ』
すると、本人がビビりなのか大声出しながら姿を現した。
「なななな、なんなの今の!?いま誰か私の耳に息を....!!」
『....やっぱりアリスだったか』
「あ、あなたは...!」
そう言い、俺は姿を現し、みんながアリスの前へ集まる。
「も...もう!タンザナイト、いたずらにいては度が過ぎるのだわ!」
『それはちょっとごめん...だけどなんでアリスがここに?』
「あっ...えっと、浮波さん、狛野さん。私にも、オブスキュラの調査を手伝わせてほしいのだわ。戻ってからよく考えてみたのだけれど...せっかく調査チームに加わったのに、何もできないままだなんて...そんな自分をどうしても許せなくて」
なんと、アリスがオブスキュラの件の調査に加わりたいとお願いしてきた!...だけど大丈夫か?そう思っていると、柚葉がアリスになんかトゲトゲした言い方でいってくる。
「ふーん。忠告してあげるけど....今のあなたはポーセルメックスに雇われてる身でしょ?そうやってどっちつかずなことをしてると、碌な目にならないよ。人からどう思われるかばっかり気にしてたら...将来なんにもできない大人になっちゃうんだから」
「――!!」
「柚葉は、アンタがポーセルメックスに報復されんのを心配してんだ。そうは聞こえねぇかもしんねぇけどな」
「はぁ!?真斗うるさい!」
「もしかしてツンデレちゃん?」
「ブッ叩くよ?」
「ごめん...」
『えっと....アリス、気持ちは嬉しいけど....無理はすんなよ?』
「タンザナイト、ありがとう。私は大丈夫だから、心配いらないのだわ。ブラックウッド氏は態度こそ強硬だけど、少なくとも契約は守る人だと聞いてるのだわ。私達のやっていることが今回の安全調査に関わっていなければ、バレたとしても対処する方法はあるはず」
「それと浮波さん?貴方の言葉は確かにもっともだけれど....私がそれに迎合していたら、結局『人からどう思われるか』を気にしてることになるのだわ。タイムフィールド家を継ぐ者として、私は自分の選択に責任を持つ....皆さん、どうか心配はしないで」
アリスがそう言うと、柚葉は一つため息を吐きながら、警告する。
....柚葉、一体お前になにがあったんだ?
「はぁ、別にいいけど....さっきの話も聞いてたよね?泅瓏囲の調査が終わったら、次はホロウに行くかもしれないの。お嬢様のお散歩コースとしてはちょっと過酷だよ」
「ホロウの研究をするなら、現地調査の一つもできなくては一人前とはいえないのだわ。私、幼少のころからフェンシングと、ホロウでのサバイバル術を専門に叩き込まれたの」
「そ。じゃあ柚葉はとくに問題はないかな~。真斗は?」
「ああ。歓迎するぜ」
『じゃあ行ってみようか』
そうして、俺たちはアリスと共に泅瓏囲へ向かうことになった。
~~~~
「ここを行けば泅瓏囲につくよ。気を付けて、この先はセキュリティメカが見回りしてる」
柚葉がそう言い、辺りを見渡す....
うーん...ザっと見で多いな....
『一々相手してられないし...よしっ!新たに開発した技で突破するか!』
「えっ?そんなのがあるんスか?」
『まあ見てろ....『
『!!』
俺は、体から透明の結晶を自分だけでなくリン達に纏わせ、レインコートとゴーグルを装着した姿になる。ちなみに俺はゴーグルだけ
「う、うーん...ん?見た目だけ変わっただけ?」
『リン、ゴーグルを上にあげて見ろ』
「?.....っ!嘘っ!えっ!?どういうこと!?ゴーグルを外したら見えなくなっちゃった!」
と、リンがゴーグルを上げ下げしながら驚く。
『ふふ...この技は俺自身が透明な結晶を纏う技を相手にも付着させる技だ。そのゴーグルは特殊な光すらも吸収して、見えるようになっているのさ。これなら警備ロボに見つからずに進めるぞ』
「す、すごいですよタンザナイト!いや、凄いってレベルじゃないです....私の知る限り、物体を安定して不可視する技術なんてこの新エリー都は無いのに、それを余裕で越えるなんて....あ、あの!もしこれが終わったらタンザナイトの鉱石を調べてもいい?」
『ん?いいぞ。何なら後日、『ラピス研究所』に来るか?あそこで俺の結晶で色々な製品を作ってるからよ』
「ええっ!!ぜひお願いするのだわ!」
タイムフィールド家って確かエーテル事業に関わってたし、これを機に友好にした方がいいな。なによりアリスとは友達だし。
「...なにあれ?」
「なんかお互い、気があってるみたいっスね」
「ハァー...その話は後々!ほら、行こう」
そう言い、柚葉が急かし、あの警備の山へ進むのだった....
そうして、俺の技で楽々と監視からの目を掻い潜ることが出来た。
「タンザナイトさんのおかげでポーセルメックスの人から楽に突破したっスね」
「本当なのだわ。堂々としてもポーセルメックスの人達は私達も気付かれなかった....凄いスーツなのだわ」
『あの時、柚葉がポーセルメックスの人にちょっかい出した時は肝が冷えたな....』
「もー...ごめんって!だって本当に透明になれるなんて思わなかったから、つい悪戯したくって...にひひ♪」
「ゼェ..ゼェ....あ、あとどれくらいで着くのぉ?」
「リンちゃん、あと少しだよ!ほらほら!」
『本当、長かったな....ん?』
すると、明らかに人工物の建物が見えてきた.....もしかしてあれが?
「ここが泅瓏囲....素敵な眺めなのだわ」
「ヒュー....ヒュー.....山道、長すぎ....」
『リン大丈夫か?』
と、息切れしてるリンを宥める。あれ、そうえば柚葉達は?
「浮波さん達は輝磁の材料を売っている人を見つけたみたいなのだわ、私たちも見に行きましょう」
『そうだな』
そう言って、俺は疲れてるリンを支て、柚葉達のとこへ向かった。
「うわっ!エーテリアス.....って柚葉ねーちゃん、また宝栄おじさんの代理で材料集め?最近はいっつも来てる気がするけど」
「うん、パパったら最近腰をやっちゃってね~....柚葉が代わりに来てあげてるんだよ」
「でもよー...そうやって学校サボってっと、いまに退学になっちまうぞ」
あっ学生だったんだ....この世界見た目幼女でも仕事してたから感覚バグってたわ....
「あー....そんなこと言っていいのかな~?あなたの大好きなフーセンガム、かまちーがぜーんぶ消しゴムにすり替えちゃうかもよ?....なんてね。実はホロウで実習の予定だったんだけど....最近はラマニアンホロウが物騒でしょ?だから実習は中止になって、全員合格ってことになったの」
「ちぇー、相変わらず
「かかか、髪の白い....ユーレイ....?」
『....不気味な仮面?』
「へへん、そうだぜ!兄ちゃんがポーセルメックスの荷物をホロウへ運んでたら、なぜかそこに輝磁の石がゴロゴロしてたんだ!拾い集めてるとこへ、遠くからフラフラ影が近づいて来て.....そいつは真っ白な髪をした女で、鳥みたく金色の羽が生えてたんだ!そして周りにいた奴はフードかぶってて見えなかったらしいけど、ヒレと羽が生えていたんだ!ぜったい幽霊に決まってる!でも、兄ちゃんが瞬きした瞬間にパッと消えて―――急に首の後ろが、ゾクッと冷たくなったんだってさ!」
「ヒィィッ!」
と、子供....確か月だっけ?その情報でアリスがビビっていると、突然柚葉は子供にデコピンした。
「あいたぁ!デコピンはないだろ!『輝磁の商売で大事なのは、物語を売ること』....柚葉ねーちゃんの受け売りなんだけど!」
「だからって、そんな雑っぽい物語じゃね~...先週は近くの山道で、『変なため息』を聞いたって言いふらしたよね。もう新バージョンができたの?」
「あれは本当だって!一緒にいたメローもダンテも、同じため息を聞いたって言ってた!しかも一回や二回じゃないんだぞ!」
「ふぇっ、や...山道で...変なため息....?」
アリス大丈夫か?いくら何でもビビりすぎだと思うが.....
「『あれは本当』ってことは....女の幽霊たちの方は、だいぶ盛ったってことでいいの?」
「そうやって揚げ足を取るんだから....けど兄ちゃんはゆうべ、ずっと白い何かと仮面にビビり散らかしてたんだ。嘘じゃないって!」
「はいはい、じゃあこの医師はお買い上げでいいよ。後でパパがアクセにしてくれるから、幽霊の話も私がいい感じにリメイクしとくね。ちゃんと奇想天外スリル満点にするから!けど買ってあげる代わりに、ひとつ教えてもらいたいことがあるの」
そう言って、柚葉はオブスキュラの一部を月に見せる。
「前にうちまで届けてくれた材料のなかに、こんなのがあったんだよね....これ、誰が持ってきたか覚えてる?」
「んー、僕じゃないよ。たぶんメローか
「そっか、ありがと」
そう言い、月は去って行った。
すると、回復したリンは手伝うかと柚葉に聞く。
「私たちも手伝おっか?」
「そうだね。じゃ、手分けしよっか。私と真斗は方おじさんを探しに行くから、リンちゃんはお嬢様とタンザナイトとメローのとこへ行ってみて。もしあの子の荷物だったら、見つけた場所と時間も聞いてね」
『ああ、分かった』
そうして二手に分けて、俺たちはメローの所へいくのだった。
ねじれポイント
アリスの加入が少し早くなった。