side タンザナイト
―この研究が....で....はず....―
『....ん?』
何だこのノイズ....確か俺は晩餐会が終わった後、適当観に戻って寝たんだよな?....ということはここは夢か?
―この薬...ホロウ....だ!―
『うーん....変なノイズがうるさ―――!?』
俺が目を開けると、そこには広がる宇宙に、何かコスモみたいな渦が目の前にあった。
な、なんだこりゃあ!?
『宇宙!?はっ!?何此処!?』
「剣君!」
と、俺の前世での名前を呼ぶ声が聞こえた。その方へ向くと、インフィニティがフヨフヨと浮かんでいた。
『インフィニティ!これって...』
「わ、分かんない...私もよくわかってないの」
[絆.....絆を繋ぐのだ....]
「『!?』」
すると、何処からか謎の声が聞こえた。
[お前自身が....仲間の絆を....繋ぐのだ]
『繋ぐ?...何言ってんだよ。それに繋ぐったって一体どうすれば....』
[『宇宙の扉』....それを作り出すのだ.....お前自身の手で]
『なんだよ『宇宙の扉』って!?』
「もしかして....目の前にあるあの渦かな?」
えっ、あの今でも吸い込まれそうなホールみたいなのが?
[それをものにしたとき....お前は
『....というか誰だよアンタは』
シ――――ンッ....
『消えたぁ!?』
「ん?....つ、剣君!?なんかこっちに来てない?」
『はぁっ!?』
ゴゴゴゴゴゴゴッ!
振り返ると、段々と渦がこっちに来ている。
『おいおいおいっ!?マジかよ!ど、どうすんだ!?』
「あ、あわわわ!ぶつかるぅ~!」
「『うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』」
――――
――
―
.....
ドンドンっ!!
『はっ!?』
目を覚ますと、そこはいつもの適当観の天井だった....それと、なにやら扉を強くたたく音が聞こえた。
『ぬぅ....今のはなんだ?夢....にしてはなんか現実味だったな....まぁいいか、とりあえずさっき扉を叩く音が聞こえたし、行ってみよう』
扉を開けると、そこにはリンとアキラが起きていた。
「おや、タンザナイトも起きていたのか....」
『アキラ、それにリンも....お前らもあの音に?』
「うん、さっきドンドンッて音が聞こえたの....」
「とりあえず、潘さんが先に出ているはずだから、見に行ってみよう」
『ああ』
そうして、俺たちは適当観の入口へいってみると、そこには晩餐会で名札を落とした少女がいた。
「....先生!本当よ!本当に、窓の外に光る物体がいたのだわ!タイムフィールド家の何誓ってもいいのだわ!」
「あ~コラコラ、誓うな、誓うな....潘先生はな、可憐なお嬢さんが、健気にそういうことしてくるのにめっぽう弱いんだ!こんな夜中に適当観を訪ねてきたんだ。別に嘘だと思ってるワケじゃあないぞ、お嬢さん....」
「しかしその、なんだ.....『バン』とか、『ドン』とか....『影が20度近く傾いてた』とか言われてもさっぱりだ...そもそも、おれたち雲嶽山に術法があるとはいえ、幽霊退治となるとなあ....」
「コホン....正確には、左にきっかり『22度』傾いてたのだわ。私、はっきり覚えてるもの」
....その情報いるか?これ....
「とはいえ、ちょっと性急すぎた感は否めないかも....ごめんあそばせ。あなたが雲嶽山の専門も存じあげてるのだわ。こんな夜分にお伺いしたのは、私の友人から、こちらにいらっしゃるアキラさんとリンさんとタンザナイトさんが.....」
『あー....どうしたんだ、潘さん』
「ああ、三人ともいいところに来た!こちらにいる、タイムフィールドさんとこのお嬢さんがな...どうもお前さん達に用があるらしいぞ」
「なっ――あ、あなた達が...『アキラさん』と『リンさん』と『タンザナイトさん』!?」
『えーっと...その、俺がタンザナイトで女の子の方がリンで、男の子の方がアキラだ....また会ったな』
と、なんかぎこちない感じで進んで、数分後、タイムフィールド...もといアリスさんがこれまでの経緯を大まかに説明してくれた――
「....ふむ、窓の外に正体不明の発光体を見て、僕たちに助けを求めに来たと....それにしても、僕たちに助けを求めにきたと...それにしても、まさか
「なにを隠そう、私とモンテフィーノさんは二人ともセレスティア女学院の生徒。彼女がお父様と決別し、何も告げずに家出した後も、私達はずっと連絡を取り合っていたのだわ。最初はポーセルメックスのスタッフに頼むつもりだったのだけれど....こんな真夜中ではそれもできないでしょう?」
(まぁ、ポーセルメックスに頼んでも蹴られるだけだしな....)
「詳細はお話できないけれど、夜が明けたからではダメなのだわ。荒唐無垢な階段の類として、きっと一蹴りされてしまうでしょうから」
そうえば....『Fairy』から聞いたが、アリスが調査監督のチームにいるのはおじいさんが病気だからその代理だったんだっけ?なんかあったか知らんけど....あの顔を見るにポーセルメックスに脅されている可能性はありそうだな。
「お三人とも!モンテフィーノさんのお墨付きとあれば、窓の外に現れた未確認物体について、ぜひ真相を究明して頂きたいのだわ!予定ではあと二週間、衛非地区に留まらないといけなくて....解決しないままだと、私は大変困ってしまうのだわ....」
「リン、タンザナイト...どう思う?」
と、アキラはアリスの話をどうするか俺たちに聞いてきた。ソウダナァウーン.....
『ルーシーの友達なら、喜んで俺は手を貸すよ』
「うん、私も....初めましてはちょっとぎこちなかったけど、それは私たちの...じゃなくて、私のせいだし?」
「それで....お三人にはいくらお支払いすれば?案件ごと決まった額が?それとも日給か時給だったり?お金のことなら、何も気を揉まなくていいのだわ。私にエーテル力学を教えていた家庭教師なんて、5分ごとに授業料が発生してたのだから....」
『ええ...』
それどんな金持ちなん....
と、そんなことを思っていると、潘さんがご機嫌でさっきまでの態度が変わった。
「ああ、気を揉むことなんてあるもんか!あのタイムフィールド家のご令嬢だぞ!?身内の友なら、手を貸すなんて当然じゃないか!安心してくれよ、お嬢さんっ!俺たち雲嶽山の取り柄は術法だけじゃないんだ!調べものから探し物まで、何でもござれだからな!」
『掌ドリルかよ、おい』
「あっ、潘さんが私たちを売った....!」
「なんてこと言うんだ!これは兄弟子の思いやりだぞ、どうしてお前さんを売るなんてことになる!」
『鏡見て来い。目がディニーになってんぞ』
「いいかぁ、弟子たちよ...タイムフィールド家の財力はな、そんじょそこらの連中とは比べ物にならないんだ!オシシたちの有給、それに福姐の来月のメシに肉が入るかは....全部お前さんたちにかかってるんだぞ!」
『やっぱ結局ディニーじゃねぇか!!』
と、そんなことをいざ知らず、潘さんがそのまま進める。
「ムハハ...さあお嬢さん、今日は適当観に泊ってくといい。一晩ぐっすり休んで、朝飯食ったら、お弟子ちゃんが調査を手伝ってくれるからな」
(こいつ....) (눈_눈)
「本当に、引き受けてくれるの?ポーセルメックスが招いた人間と関わるのに、気が進まないなら...無理はしないほうがいいのだわ」
『あー...安心しろ、アリスさん。依頼はちゃんと受けるよ。明日になったら一緒に調査しようか』
「本当にありがとう。ではお言葉に甘えて、今晩はお世話になるのだわ」
その後、アリスを適当観の空き部屋に住まわせ、明日の朝まで寝た....
~~~~
次の朝、目覚めるとすぐ、ノックノックから通知が来る....それはアリスだった。
アリス
『タンザナイトさん、こんにちは。
先ほどアキラさんからノックノックの連絡先を
教えていただいたの。よろしくお願いするのだわ』
『あ、ごめんあそばせ....
朝早くから連絡して、お邪魔だったのかしら?』
『では、適当観の外庭でお待ちしてるわ』
『...よし、行くか!』
そう意気込み、俺はアリスがいる外庭へ向かうことにした。
「おはようございますなのだわ、タンザナイトさん。昨日は深夜に押しかけてしまって、本当にごめんあそばせ」
『ああ、大丈夫。なんたって助けを求めにきたんだろ?なら、それに対応するだけさ。後俺のこと、別に呼び捨てでも構わないよ』
「そう....それじゃ私のことも、気安く『アリス』と呼んでほしいのだわ」
お互いに呼び捨てでいいと了承したけど....なんかアリス、心なしか疲れてないか?
『....なんか、疲れがあるような気がするが....なんかあった?』
「あっ、えっと、その.....実はお部屋の掛け軸が、もれなく
(コマけぇぇぇぇぇ......)
『これって所謂シンメトリー症候群?』と、中でインフィニティがそう言っているのを自身で納得しながら、アリスの話を聞き続ける。
「はあ....こんな些細な点にこだわるなんて、おかしいことは自覚してるのだわ...タイムフィールド家の息女にあるまじき醜態だって」
『あー...そんなに気を落とさなくていいと思うぞ?だってほら、適当観って本当に色々と適当だし....』
「お気遣いありがとうなのだわ。それで、夕べも話した例の物について....あなたの意見を伺ってもいいかしら?」
『うーん、とりあえずアリスが泊っているところから始めるか。窓の外に現れたって話だから壁とかに痕跡が残ってるかもな....』
「ええ、問題ないのだわ!外から調べるのは大賛成....というか恥ずかしい話、真相が明らかになるまで、あの部屋に踏み入れる勇気はないのだわ.....」
『....まあ気持ちは分かる』
そうして、俺とアリスはその泊っているところへ向かいながら、起こったことを整理する。
『まず確認なんだが....まず軽い『バン』、それから大きい『ドン』って音だったよな?』
「ええ、そして窓の外が真っ暗になったのだわ。カーテンを開けたら黒い影が見えて、その影と窓の間に光る骸骨が....」
『ひえ....怖いな....』
(あなたが怖がるの....?)
そんなこんなでアリスが泊ってる客室棟に着いた。
「着いたのだわ。左側の建物が、私が泊っている客室棟なのだわ」
『思ったより近かったな...』
「TOPSと調査チームで人数が多すぎて、ポーセルメックスがゲスト向けに用意した建物では部屋が足りなかったみたいで.....私はここに案内されたのだわ。あら、この先に何やら散らかっているようなのだわ....」
『本当だ....何かの手掛かりか?』
そう言い、俺はあたりに散らばっている物を調べた.....
散らばった飲料ケースや植木鉢、下の階から者が落ちた情報、窓を覆い隠すほどの大きさ、クレーン、蛍光塗料のついた小動物の足跡.....など、様々な手掛かりが見つかった。
それを元に俺はアリスと共にこの事件の整理を始めた。
「タンザナイト、ここで昨夜一体何があったのか....貴方はもう分かったかしら?足跡を見つけて、私なりに推測してみたのだけれど.....まずは貴方の考えを聞きたいのだわ」
『多分だが....アリスと同じことを考えてると思うぞ』
「じゃあまずはあの巨大な黒い影....貴方の見立てでは、あれは何だと?また、どうして窓の外に現れたかわかる?」
窓を覆い隠すぐらいの大きさで、そんなのが現場になかったことからすると....
『クレーンを使ってできたものだと思うな....あれならそんくらいの大きさの貨物を操れるし、現場から簡単に離れるから辻褄が合うな。それにアリス、影が見える直前に、小さい『バン』って音が聞こえたといっていたな。あれはたぶん、貨物を吊っていたロープが切れて、窓にぶつかったんだと思う』
「同館なのだわ。あの影が22度傾いていると確信を得たのも、そういえば貨物にあったラベルを見たからだもの。では、次は植木鉢の件なのだわ。貴方の見立てでは、どうしてあの植木鉢が地面に落ちたと?」
順当に考えるとクレーンの荷物で落ちてきたと思うが....それだと、大きさ的に全部落ちるから...
『多分、アリスが驚かせた骸骨がそのまま落ちたんじゃないか?窓にぶつかってすぐ、クレーンが引き上げられて....貨物に捕まれなかったんだと思う。それにあの骸骨が小さいサイズだと、植木鉢一つぐらいしか落ちなかったのも頷ける』
「ええ、植木鉢が勝手に落ちるはずないのだわ。宙吊りの貨物なんかがぶつかったら、ひとつ残らず地面に落ちてしまうはず。私達の見解は一致したようなのだわ。それでは、最後の疑問が残っているのだわ。あの光るガイコツ....いったい何者かしら」
光る骸骨....それに値する手掛かりといえば....
『間違いない。犯人はこの光る足跡を残した動物だな。足に蛍光塗料が付いているのを見るに、同じ塗料で体か服にがドクロが書いてあったと思わないか?』
と、いくつかの疑問を解決した後、その情報をまとめることにした。
『雨どいに塗料がついてなかったってことは...その動物は、クレーンの貨物に乗っかってて、クレーンの故障で叩きつけられて逃げようとした時、植木鉢も落ちたんだと思う。それに、この蛍光塗料....動物が自分で塗るのは不可能だ――ということは...』
「誰かがその子をけしかけて、意図的に悪戯させたってことなのだわ!そんなのひどすぎる!タンザナイト、こんな風に足跡を残しているなら、きっと近くにも同じなのがあるはずなのだわ!辿っていけば犯人が見つかるはず!.....見て、この足跡!柱を登って歩道橋に向ってるのだわ!」
『本当だ....追いかけてみよう!』
そうして、俺とアリスはこの光る足跡を辿って犯人を追跡する....が途中で足跡が消えていた。
「あら?足跡が....」
『うーむ....だいぶ消えちゃってるな―――ん?』
「っ!」ビクッ
俺の目の前に帽子と服を着た狸がいた.....
「『.......』」
「この子よ!逃がさないのだわ!」ダダダッ
『待てやゴラァっ!!』シャーシャーッ!!
必死に追いかける狸を追っていると、そのまま店に入っていく。
『あっ!お店に入っていった!!』
「ん?....ハァ...」ヌッ
「昨日の悪戯は貴方の―――」
『あ?』
追いついくその時、何者かが立ち上がって来た。
その人物は俺が見知った人物だった....
「しわ....ざ...」
『お前.....狛野?』
「ああ?...たっく―――柚葉、客だ」
「いまいく~」
「『?』」
すると、狛野の呼ぶ声と共に、女の子の声が聞こえる。
「何をお求めですか~?...あっ」
そうして出てきたのは、髪は赤色で、三つ編みにしたおさげを狸モチーフのパーツと白いリボンで束ねており、衣装はセーラー服にピンク色のカーディガン、3段重ねのミニスカートなど、"学生"という印象が強い人物がさっきまで追っていた狸と共に現れた。
あっアリスが睨みつけてる...可愛い。
「ありゃりゃ....やっぱりバレちゃった?」
その顔はメスガキを彷彿とさせる笑みを浮かべるのであった。
柚葉ちゃんメスガキっぽいけどいいこちゃんだったね
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