四国のツキノワグマは約20頭で絶滅危惧、ワークショップの議論は「愛媛に生息してもいいか」
ツキノワグマによる被害が各地で相次ぎ、東北地方を中心に警戒が強まっている。一方、四国では現在、徳島、高知両県に約20頭が生息するのみ。絶滅の危機にある四国のツキノワグマとどのように向き合うべきか、実態を学ぶワークショップが8日、愛媛県久万高原町の面河山岳博物館で開かれた。(黒岩美緒) 【図解】一目でわかる…ヒグマとツキノワグマの違い
ツキノワグマの生態調査を行う四国自然史科学研究センターの安藤喬平さんが講師を務めた。会場にはツキノワグマの毛皮や頭骨も展示され、約15人の参加者は、観察したり触ったりしながら生態を学んだ。
かつてツキノワグマは四国の広い範囲に生息していたが、現在は徳島、高知両県にまたがる剣山周辺だけ。2017年時点で推定16~24頭とされ、昨年は子グマ2頭を含む26頭が確認された。GPSの解析では、四国では林道や登山道などに近づかず、人を避けて移動する傾向があるという。
愛媛では、1972年に旧中山町(現伊予市)でオス1頭が捕獲されたのを最後に記録が途絶えている。この個体の剥製(はくせい)は特別展に合わせ、24日まで同館で展示されている。
環境省の調査によると、2003~18年の間で生息範囲が縮小したのは四国だけだった。安藤さんは「個体数や生息地が減ると、遺伝的な多様性が劣化し、生存率も下がる。それが強く影響した場合、2040年頃に約60%の確率で絶滅するとされている」と説明した。
減少の要因は、森林開発によって生息できる環境が減ったことや、木の皮を剥ぐ害獣として駆除されたことなどが挙げられる。徳島、高知両県では約40年前に捕獲禁止措置を講じたが、生息数回復の兆しは見えていない。
安藤さんは「四国にクマがいるというだけで、漠然と恐怖を感じる人も多い。現状を正確に学んでもらいたい」と訴えた。
講演後、参加者は「愛媛にクマが生息してもいいか」というテーマで議論。「人間が受け入れる体制を整えられたら、いいと思う」「クマと共生する文化が四国にはないので難しい」など、さまざまな意見が飛び交った。
参加した久万高原町の会社員(59)は「四国のクマを守っていかなければと感じた。一方、愛媛は人工林が多く、エサになる木の実が少ない。仮に生息しても食料が足りず、共生のための中間点を見つけるのは難しいと感じた」と話した。