「生息数を過小評価してきたのでは」東北でクマ激増の背景に“個体管理の不備” かつては絶滅の危機…現在の森林は“飽和状態”で「鳥獣はこの上なく住みやすい環境」【識者解説】
■東北でのクマ増加 兵庫県の取り組みがモデルケースに?
横山教授: 近畿圏では約800頭で管理をしていても、昨年のドングリ凶作で大量出没しています。800頭でも大変ですが、秋田県は4000頭と桁が違います。そういった状況でドングリが凶作になると、もう誰もどうすることもできないぐらい出没してしまいます。 2020年にも秋田県では甚大な被害が起きています。当時から「適切な管理をしていくべきだ」ということで、専門家を配置するなどの取り組みを少しずつ進めてきたんですが、クマが増える勢いの方が早く、間に合わなかったのかもしれません。 ――Q.今後、兵庫県がクマの個体管理のモデルケースになる可能性がある? 横山教授: そうですね、ただ今の状況では体制が整っていません。例えば兵庫県では、野生動物管理のための分野が違う研究者が6人いて、研究成果を普及させる森林動物専門員という行政の職員が5人います。そういったチームを組んで連携して様々な取り組みを20年やってきています。これから体制を構築していかなければいけないというのが東北の事情です。
■「クマ出没増加はメガソーラー開発のせい」SNSのウワサはデマ
一方、SNSでは「クマ被害はメガソーラー周辺で発生しているらしい」「原因は風力発電やメガソーラー開発でクマの住処がなくなったからだ」といったウワサを目にしますが、横山教授はこれらはデマだと説明します。 横山教授: もしメガソーラーのせいであれば、毎年大量にクマが出没するということになりますが、兵庫県は昨年大量に出没したものの、今年は出没していません。 我々が見てる範囲は、森林のごく一部です。クマは100平方キロとか300平方キロとか、4つの市町村ぐらいは平気で動き回るので、そこで都合が悪いと思ったら他に行くことができます。今年大量に出没しているのは、たまたまドングリが凶作で山に食料がないから人里に移動しているわけです。クマの行動範囲と比較するとメガソーラーといえども、そこまで大きくはありません。 ただ、我々のような野生動物を研究している者からすると、わざわざ森林伐採をして山にソーラーパネルを設置しなくてもいいのではと思っているところです。