本件に関する検察官の勾留請求を却下する

 

   被疑者立花孝志に対する死者に対する名誉棄損被疑事件について、神戸地方検察庁検察官から勾留請求があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

             主      文

          本件勾留請求を却下する。

             理      由

    本件は被疑者である立花孝志が、既に亡くなっている政治家に対してその名誉を棄損したとして、別の政治家が死者に対する名誉棄損であるとして刑事告訴し、警察が受理し、逮捕に至っているものであるが、令状記載の被疑事実全体によっても、逮捕勾留されるような事案であるとは認めがたく、刑法犯を犯したと疑うに足りる嫌疑があるとは認められない。

 公訴提起後に、犯罪の嫌疑がないことを理由にして不服申し立てをすることは法的安定性を害して許されない(刑事訴訟法420条3項)が、明らかに犯罪の嫌疑がないときは勾留質問後に裁判官が検察官の勾留請求を却下する(さいたま地方裁判所平成24年決定参照)し、起訴前の準抗告においても、犯罪の嫌疑がないことを理由にする準抗告は許されるという風潮になってきていることなどからすれば、本件は明らかに犯罪の嫌疑がないから、検察官の勾留請求を却下すべきである。

 よって、主文のとおり決定する。

 

    令和7年11月11日    

   神戸地方裁判所

                  裁判官         桂川

 

                       検察官に通知済み