ダークウェブで眠剤買ってたら実家に群馬県警が来ちゃった話
これは……若き日の黒歴史である。
その頃18歳。嶽本野ばらの「スリーピング・ピル」や南条あやに影響を受けすぎるあまり「眠剤収集」になぜか魂を燃やし、たぬきでの売買には飽きてしまいOnionLandまで覗いていた私。ベゲタミンAやエリミンを闇のレターパックで入手し、南条あやのように「いつ飲もうかしら……ウフフ……」とか思っていたのだ。神に誓って今は"イリーガル"なモノもコトもやってないぞ。ヤブ医者には行ってるが。オススメは新宿三丁目の鳥の名前の病院だ!
2016年11月22日。なぜはっきり日付を覚えてるのか? 「偶然だろうが横浜流星がブログで19歳の誕生日を祝ってくれたのと同じ日」だからである。
この前日、私は朝から家にいなかったのだが……家に帰ると父に衝撃の事実を告げられた。
「今日いきなり群馬県警の人が来たよ。萌絵はいないって言っておいたら明日また来るって言ってた」
群馬県警!?
父、別に怒っていなかった。淡々と告げられたのだ。……群馬? まあバズりすぎたので皆さんご存知だろうが俳優のストーカーであった私、遂に横浜流星へのつきまといで警告か逮捕に来るのかと思ったものの、「群馬県」の領土内で悪事を働いた覚えはない。東京都や埼玉県の領土内では悪事は働いていた。ちなみに私が出待ちで数々の悪事を働いているのは家族大公認であったために、正直に群馬県の領土内で横浜流星に対して悪事を働いた覚えは一切ないと父に伝えたのだ。
「うーん……じゃあ萌絵が捕まるわけじゃないんじゃない? まあとにかくちゃんと話しなよ」
……父、かなり冷静であった。
誕生日だというのに予告通り群馬県警は襲来し、私が未成年の女であるためちゃんと生活安全課的な人とか婦警さんもおり、3人くらいが山野家のリビングを大占拠した。
なんでも前日に予告なしで襲来したものの、私がいなかったので一回群馬まで帰ってまた来たらしい。しかも近所の老人ホームの駐車場を借りていた。
で、私はてっきり自分が身に覚えはないものの何らかの悪事により捕まるものだと思っていたので「令状はお持ちですか?」と玄関で警察に聞いたのだ。
「いえ、単なる事情聴取です」
なんでも話によると、私がOnionLandを漁って辿り着き、ベゲタミンAとおまけで安くなってたのでついでにレキソタンも買っていた相手が大麻で逮捕された上に生活保護を悪用して眠剤を貰いまくり売り捌いてその金で大麻を買っていた……ために、購入者である私のところに調書を取りに来たらしい。
なんか……それって本当は芋づる式に私も日本国家的にはアウトなのでは?
と思ったのだが、「私を」捕まえる気は群馬県警には無かったらしく、本当にただただ調書を巻きにやってきたのだ。「なぜこの時私が捕まっていないのか」は人生における大いなる謎の上位にランクインする。
前提説明が終わり事情聴取がスタートした。「なぜOnionLandなんか見ていたのか」と当たり前のことを聞かれ、私は……逃げに走った。
「ググったら出てきました」
そんなわけないがな。しかし調書では本当にこうなってしまった。群馬県警のオジイ、苦笑しながら「本当は睡眠薬は売り買いしちゃダメなんだけど……ダメって認識はあった?」と聞いてくる。私はまたしても逃げに走る。
「す、すみません……逆に……ダメだったんですか?」
「ダメだから(苦笑)もうしないでね」
「なんか……メルカリみたいな感じだと思ってました」
19歳初日の私に28歳の私は大いに突っ込みたいね。OnionLandがメルカリな訳ねーだろ! しかし私の魂の「逃げスキル」により本当にこのような調書が爆誕してしまった。
証拠として大麻で捕まった相手とのメールの印刷を確認させられ事実ですと証言する時間が開始。なぜか群馬県警の謎の温情により父をずっと同席させてくれていたのだが、プリントを見た父がサラッとすごいことを言った。
「メルアドにガンジャって文字入ってるじゃん。気づきなよ……」
確かにそうなのだがなぜ父がそんな単語を知ってたのかは未だに定かではない。
メールのプリントを確認し、通帳の写真を撮られ、何月何日に振り込んだのは間違いありませんとか、何月何日に届いたと記憶していますとか、もうしょうがないので洗いざらい喋ったのだ。
しかし終盤ピンチが訪れる。群馬県警のオジイが「買った薬はまだ残ってる? あるならそれも証拠として撮るから」と言い始めたのだ。
……本当は、ベゲタミンA、全部残っていた。ステキ☆と思って眺めているだけだったので、ちゃんとあったのだ。しかし恐らくそれを言えば没収されるであろう。当たり前だ。没収つーか、押収だ。警察の至って正当な行為である。しかし私はベゲタミンAを諦められなかった。
迷ったがこう言った。
「いや、すみません全部飲んじゃいました」
……というわけで群馬県警的にはそういうことになっている。
なんか一応私の身分を確認する時間もあり、住基カードだかマイナンバーカードだかを見せたのだが、婦警さんに「今日誕生日なの!? おめでとう!」と言われたがめでたくはない。
「今後はインターネットで知らない人から薬を買いません」と反省の弁も一応述べておき、調書を巻き終わると群馬県警は……去っていった。
当時、聖ジュリアーノ音楽院(失笑)とかいうメンズコンカフェに通っていた私。誕生日なので友達みんなで相判してくれるという話になっていたのだが、群馬県警の前日の襲来予告により友達たちには「行けないかも……」と謝っておいたのものの、朝イチで来た群馬県警、昼過ぎには去っていってしまった。
「あれ? ……普通に行けるじゃん」
というわけで数時間前まで調書巻かれてたのにメンコンで遊ぶありえない女が爆誕したのだ。終わってるな19歳初日の自分!
そして横浜流星の「偶然だろうがお祝いしてくれたブログ」を見たのは実はメンコンから帰ってくる電車の中だったのだ。
今後生きててもあれ以上にカオスな誕生日が訪れる気はしないぞ!
なお、これでちゃんと懲りたのでこれ以降はネットで眠剤は買ってない。本当に……。



「メルアドにガンジャって文字入ってるじゃん。気づきなよ……」 本当におもしろい noteほとんど読み漁ってしまった