プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月5日付紙面を振り返ります。2008年の1面(大阪版)は阪神が延長12回引き分けで単独首位に立つも、岡田監督が試合後のヤジに激怒しファンに詰め寄るトラブルを伝えています。

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<ヤクルト2-2阪神>◇2008年10月4日◇神宮

 岡田監督キレた! 死闘ドローで阪神が単独首位だ。デーゲームで巨人の負けを確認して臨んだヤクルト戦は延長12回引き分けに終わった。ジリジリした展開に飛んだヤジに岡田監督が激怒して、詰め寄るひと幕も。それほど苦しい試合だったが救援陣が必死の粘りで6回以降7イニングを1安打無失点に抑え込んだ。これで巨人に0・5ゲーム差をつけ、2日以来、2日ぶりの単独首位。きょうこそスッキリ勝ってマジック点灯と行きたい。

 我慢の限界を超えた。5投手の継投で延長12回引き分けに持ち込み、この日敗れた巨人に0・5ゲーム差をつけ、単独首位に立った。クラブハウスに引き揚げる三塁スタンド前。勝てない試合の後、怒号が飛ぶのはよくある光景。だがこの日ばかりは我慢できなかった。最前列の男性は黄色いメガホンで、延々と岡田監督をヤジった。

 「オカダーッ! 選手を信頼しろー! 球児がつぶれてしまうぞーっ!」

 岡田監督は足を止め、声を張り上げる男性をにらみ返した。それだけでも珍しい。一度はやり過ごそうと歩き出したがヤジは止まらない。とぎれとぎれに聞こえる内容は、中継ぎ投手の登板過多に対する批判。許せなかった。

 「コラーッ、誰に対して言うてるんや!」。ネット際まで詰め寄り、指をさし、激しくやり合った。普段ではまったく耳にしない大声。審判団への抗議でも出したことがないような甲高く、激しい声音だ。あまりの剣幕にヤジの男性は突然、敬語になり「応援しているんじゃないですか…」。それでも「言い方ってもんがあるやろ!」と怒りが収まらなかった。

 球団広報、球場係員になだめられて指揮官は引き揚げた。周囲の観客が「お前が悪い、監督に謝れ」などとヤジの男性を責める場面も。通りかかった藤川も「つぶれる」というヤジに反発し「帰れ」というポーズで加勢した。騒然としたムードが、皮肉にも壮絶な死闘を演出した。

 「中継ぎはみんな、あんなもんじゃないからな。普通に投げればな。今までそないして抑えてきたんや」。岡田監督は奮闘した投手陣をたたえた。

 それでもイラ立ちはつのるばかりだ。救援投手を注ぎ込んでも事は思うように運ばない。決定機を逃したこの日のように打線も奮わない。この状態は今に始まったことではない。9月19~21日の東京ドームで3連敗し、同率首位に並ばれてから、巨人とのデスマッチが続いている。

 「監督があわてたら選手に伝わるんや」と平静を装うことに神経を使ってきた。だが23日横浜戦で甲子園のヤジに選手会長の赤星が言い返したように、プレッシャーやフラストレーションはタテジマのユニホームを着るみんなが感じている。指揮官も我慢の限界を超えてしまう瀬戸際だ。苦しい戦いの日々。それでも阪神は半歩リード、単独首位に立ったことは現実だ。

※記録と表記は当時のもの