【名古屋市】名古屋駅の再開発で失われるものも多い― 世界で2基しかない遺産も消失するのか…

ぽぶ・ばしおライター(名古屋市)

来年度から始まる名古屋駅の再開発によって、再開発エリアに含まれる名鉄百貨店は来年2月28日に閉館予定となっている。現在の既存テナントは撤退するほか、名鉄百貨店はおろか名古屋の宣伝部長たる地位を築き上げた「ナナちゃん人形」もその後の去就がいまだに定まっていない。

名鉄百貨店には、さらなる歴史的遺産が存在する。「世界で2基しかない」と言われ、その2基ともに店内にあるのが、名鉄百貨店本店の8階と9階をつなぐエスカレーターだ。

一見すると、普通のエスカレーターと何ら変わらない。ところが、一部分をじっくり見ると、このエスカレーターにしかない特徴を見出すことができる。

一般的なエスカレーターの手すりは、端で丸く巻き込まれていくタイプが主流。しかし、このエスカレーターの手すりは垂直に落ちるデザインとなっている。

製造元の「東芝」のロゴが、エスカレーターの乗降口に刻まれている
製造元の「東芝」のロゴが、エスカレーターの乗降口に刻まれている

1967年ごろに「東芝」が製造していたC型エスカレーターで、床に潜り込むような手すりの形状から「垂直落下式」と呼ばれていた。

東京・日比谷にあった東宝ツインタワービルに、同型のエスカレーターが1基備えられていたが、2020年に建て替えのためにビルが解体された結果、名鉄百貨店の2基が「最後の2基」となっている。

名鉄百貨店によれば、「展示や保存などの活用も視野に入れて検討しているが、具体的な方向性はまだ決まっていない」という。

来年2月末で見納めとなるのかわからないが、約60年もの間稼働し続けてきた、希少なエスカレーターの姿を目に焼き付けておきたい。

来年2月末で見納めとなるのか……
来年2月末で見納めとなるのか……

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ライター(名古屋市)

5年住んだ豊橋市から帰ってきました。名古屋市には、まだまだココホレ的なモノがある! みなさんと名古屋をココホレしていきたいな。 【実績】 テレビ愛知 「工場へ行こう」「わが社の星」「歴史のバイプレイヤー」など特集ニュース制作。 織田有楽斎 https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2929  スタッキングチェア https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2277  クリエイティブリンクナゴヤ 「オイスターズ インタビュー」https://creative-link-nagoya.jp/column/1781/

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