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二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1751454499458.jpg-(29540 B)
29540 B25/07/02(水)20:08:19No.1329324086そうだねx4 21:23頃消えます
「ふう…」
暑いですわね。
その言葉を飲み込んで、私はハンカチでそっと汗を拭きました。
太陽光の圧力すら感じるような快晴は、日傘を差していても身体が堪えます。
作劇が煮詰まっているので、気分転換にと駅から睦の自宅まで歩いたのが間違いでした。
「…祥。いらっしゃい」
チャイムを鳴らす前に日傘を畳むと同時、玄関ドアを開けて睦が顔をのぞかせました。
まるで私が来ることを知っていたかのようなタイミングの良さに、少し驚きます。
「窓から見えました?」
「なんとなく。祥が着いた気がした」
さ、入って。
睦にそう促され、私は一度頷いてから睦の自宅へ入りました。
いつも出迎えてくださるお手伝いさんではないのが、とても奇妙に感じます。
「外。暑かった?」
「ええ、とても」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/07/02(水)20:08:31No.1329324145そうだねx1
冷房のおかげでスッと熱が引いていくのを感じます。
屋内の冷たさに一息ついた私に、睦がスッと水の注がれたコップを手渡してきました。
「ありがとう、睦」
「うん」
汗をかいたから、ただの水も美味しいです。
飲み終わったコップをキッチンの流しに置いて、私は苦笑しました。
「もう、そんなに見つめられては落ち着きませんわ」
コップを手渡してからこれまで、睦がじっと私を見つめていたから。
なにか気になることでもあるのでしょうか。
「…祥が、とても暑そうだったから」
その視線は彼女なりに私を慮ってのことだと知り、笑ってしまったのが少し申し訳なく感じます。
「睦のお陰でとても楽になりましたわ」
「そう」
「ふふ、そういう時はよかったと喜んでくださいな」
頷いて返すだけの睦に、私はまた小さく笑いました。
225/07/02(水)20:08:41No.1329324215そうだねx1
さて、このまま半地下の部屋へ行くのも味気ないですわね。
なにより、気遣ってくれた睦になにかしたいですし。
「まだ他に来ていないようですし…少しいい?」
「?」
首を傾げる睦の手を引いて、近くのソファに座らせました。
私は彼女の後ろに回り込んで、長い髪をそっと触れます。
よく手入れされた絹のような髪に、もっと弄んでいたくなる気持ちをぐっとこらえて。
「首の後ろが暑いでしょう?」
「…うん」
私も暑いですが、まずは睦の方を。
耳の上あたりの髪をまとめながらラフな三つ編みにしていきます。
幼い頃、何度かこうして遊んだのを懐かしく感じます。
あの頃は…お互い無邪気にはしゃいでいましたわね…。
325/07/02(水)20:08:52No.1329324288そうだねx1
「あまり時間はかかりませんわ」
襟足まで作った三つ編みを、下ろした髪とヘアゴムでまとめて。
結んだゴムを少しだけずらしてまとめた髪で輪を作り、そこへ下ろした髪を通せば完成です。
簡単なヘアアレンジですが、可愛らしく仕上がったと思います。
「出来ましたわ、睦」
「首が涼しい」
「ええ。私なりのお返しですわ」
髪がまとまって落ち着かないのか、睦はうなじを一度さすりました。
気を利かせてくれたお手伝いさんが卓上鏡を持って来てくれたので、お礼を言いつつ受け取ります。
机の上に鏡を置くと、睦は顔を少しだけ左右に振って髪型を確認しています。
「気に入りまして?」
「…うん。ありがとう、祥」
鏡越しに私を見て、睦は小さな笑顔を浮かべました。
何故か、彼女のその自然な笑みを久しぶりに見た気がして。
私は胸が締め付けられる思いがしました。
425/07/02(水)20:09:05No.1329324377そうだねx1
Ave Mujicaという箱庭を守り、囲い続ける先。
またあの頃みたいに睦が素直に笑える日が来るのでしょうか。
「…失礼、私も髪をまとめてきますわね」
睦の髪を久しぶりに結って、どうにもセンチメンタルになっていたようです。
鏡から目を逸らし、私は洗面所へ向かいます。
「──!」
けど、その手を睦に握られて、私は立ち止まりました。
睦は私の手を握る自分の手を見て、それから私の方を見ました。
まるで、意図せず私の手を取ったような反応。
「……祥、私がやる」
「え?」
「座って」
その手を振りほどくことが出来ず、私は睦と入れ替わる形でソファへ腰掛けました。
私の背後へ回った睦を、鏡越しに眺めます。
自信とも不安とも取れない表情の睦は、しかし私の後頭部をじっと見つめていました。
525/07/02(水)20:09:19No.1329324476そうだねx1
そうして。
躊躇すること無く、睦の手が私の髪に触れました。
先ほど私がした動きを真似するように、三編みを作っていきます。
「んっ」
睦の手つきは決して慣れているとは言えないのに、妙にくすぐったい。
そのくすぐったさに心地よさすら感じるのはなぜでしょうか。
「…出来た」
私は鏡を見ました。
正確には見えていたのですが、出来上がる過程を見るのが惜しい気がして、鏡から少し目を逸らしていました。
「…ふふっ。上手ですわ、睦」
「うん」
625/07/02(水)20:09:31No.1329324566そうだねx1
鏡に映るのは睦と同じ…とは言えない、少し不格好な髪型。
豊川祥子として、決して気を抜くことを許されない私にはまるで不釣り合いで。
けれど、睦の前なら。
「おそろいですわね」
「うん。おそろい」
鏡の中。
小さく笑い合う私達がそこには映っていました。
725/07/02(水)20:13:01No.1329325935+
暑さが和らぐような素晴らしい怪文書でした
825/07/02(水)20:19:17No.1329328231+
久々な気がするさきむつ怪文書
925/07/02(水)20:40:03No.1329336507+
むつさきは…長く続く…
1025/07/02(水)20:52:22No.1329341397+
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