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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
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奪い合い

「冷静に考えて……何か、この雄太と言う方の背後に居たのかもしれませんよ?」

「確かに口封じに消されたと考えるのが無難か……」

「……」


 お義父さんは漂う投擲具に目を向けますぞ。

 そして騒ぎが収まったのを確認したフィロリアル様やエクレア達がこっちにやってきました。


「何があったのだ?」

「ああ……投擲具を隠し持っていたのを問い詰めたら攻撃して来て……」


 お義父さんはエクレア達にこれまでの経緯を説明しました。


「尚文さん、この雄太さんが何を言おうとしていたのか、なんとなく察しているんじゃないのですか?」

「まあね。樹も心当たりがあるみたいだね。アレだけのヒントがあればわからなくもないよ」

「なんだ?」

「トラックにはねられたまでは樹と同じ……だけど目の前にと言う所で違いがある。俺が読んだことのある物語とかだと、神様とか、それに順ずる存在が現れて、異世界へと連れて行ってくれるものがあるんだ」

「おそらく、尚文さんと差異はあれど僕の方でもあります。異能力を授かるパターンもあります」


 おや? ここで何やら俺の記憶にフッと最初の世界でお義父さんが呟いていた事が蘇ってきましたぞ。


「今思い出したのですが、最初の世界でお義父さんが何か掴んでいたのを思い出しました。これだったのですな」

「元康くんの記憶にもあるなら間違いないね。たぶん、消息不明の七星勇者は殺されてる。斧の勇者もね」


 なんと! 今の今まで全く思い出せませんでした。

 ですがお義父さん達は確信を持って答えておりましたぞ。


「波が何なのかわからないけど、神を自称する何者かがこの世界に色々と送りつけているのは間違いないと思う」

「ええ、何も雄太だけとは限りませんし、おそらくタクトもその尖兵なのではないでしょうか?」

「そんな事がありえるのか……?」

「ありえるかどうかはわからない。けど、四聖勇者全員が揃っている状態の元康くんが負ける程の相手で、雄太をこんな簡単に殺せる様な存在だというのは確かだよ。それが人なのか、自然現象なのかはわからないけどね」


 くっ……記憶の欠落が無ければ敵がわかるというのに、ですぞ。

 俺は敵の正体を思い出そうと頭を捻りますが、全然出てきません。


「皆さん、僕達が考えていた以上に、七星勇者の問題は複雑そうですし、とりあえずフォーブレイに報告しませんか?」

「ではこの投擲具はフォーブレイへと行ってほしいですぞ。こんな所にあったら新しい召喚や新たな持ち手を選定するのに面倒ですからな」


 俺達の会話を聞き届けたかのように投擲具は光となって飛んで行きました。


「な、何やら厄介な事実が判明したようだな」

「まあね。どっちにしても……大きく前進したと思う。あと、雄太一行には悪いけど……宝と竜帝の核はもらって行こう」


 こうして俺達は投擲具の勇者の顔を知る者に報告した後、フォーブレイへと帰還しました。

 後々判明した事なのですが、コーラ一行に混じっていた赤豚のような奴は、貴族出身でタクトの豚共の中に血縁者がいたそうですぞ。

 妹と言う奴ですかな?

 家の取り潰しを知らずに貴族面してコーラと冒険をしていたようですぞ。


 お義父さんの話だと、このままコーラは投擲具を隠し持っていたとして、俺達が何もしなかった場合は、タクトに何処かで遭遇し、武器を奪われて死んだのではないかと言っておりました。

 なるほど、だから前回のタクトが投擲具を所持していたのですな。



「ま、まさかそんな事が……」


 フォーブレイの豚王へ報告すると、側近の大臣が言葉を失った様に言いました。


「あくまで推測の段階ですが、残りの七星勇者が姿を現さないのは、こういう理由があるのかと思われます」

「ブフフフフフ……なるほど、これも波の驚異と認定すれば良いのじゃな?」

「……そうですね。波によって勇者とは異なる、異世界からの侵略者が来ると言う意味では間違いないかもしれません」


 樹が豚王の問いに応じますぞ。

 その言葉に豚王は質問を続けました。


「ならばこれからどうするのじゃ?」

「うーん……」


 お義父さんが考え込みますぞ。


「おそらく、召喚された勇者は武器を奪われて殺されています。そして奪った相手はタクトと同じように勇者の武器を隠して活動している。ここまではいいですか?」

「うむ」

「重要なのは、前に投擲具を持っていた人物がこの世界の人だったという事です」


 そういえばコーラがそんな事を言っていましたな。

 話によれば投擲具の勇者は俺達同様異世界人のはずですぞ。

 つまり……。


「ふむ、タクトの様な者は複数存在するのじゃな?」

「はい。これまではタクトが生まれ付き伝説の武器を奪う能力を持っていたと考えていましたが、それは違いました。最低でも三人。俺達の仮説ではもっと多いと考えています」


 確かにタクト、コーラ、コーラが倒した投擲具を持っていた者。

 これだけの連中が同じ能力を持っているのなら、もっと居てもおかしくは無いですぞ。


「そこで少し話が脱線するのですが、元康くんから聞いた未来では、タクトは七星武器を五つ所持していたそうで……推測ですが、タクトは仲間割れの様な事をしていたと思うんです」

「なるほどのう。侵略者も一枚岩では無いという事じゃな?」


 ふむふむ、面倒な事になってきましたな。

 そやつ等をどう倒すのか考えるだけで疲れますぞ。


「今回のケースを見るに、未来ではタクトに限らず、七星武器の奪い合いが起こっていた可能性が高いです。結果的にタクトが争奪戦に勝利した、という事だと思います」

「では、盾の勇者さんはこれからどうするつもりなのじゃ?」

「俺達がする事は一つ。隠れている奴を炙り出す」

「なんとなくわかるが、何をするんだ?」


 錬がお義父さんに尋ねますぞ。

 そうですな。

 コーラは偶々投擲具を使っている所を目撃しましたが、隠している相手を見つけるのは大変ですぞ。


「七星武器を隠し持っている奴の前例を参考にするんだよ。つまり貴族と冒険者を一堂に招集すると言うのかな? 名目はパーティーでも何でも良いから一ヶ所に集めて、元康くんお得意の剥奪を会場で使う。砂漠に落ちた針を探すよりは発見しやすいと思う」

「目立つのが嫌なら来ないのでは?」

「来ない招待者を特定出来るから今度はそこに乗り込んで行けば良い。冒険者も雄太の前例を考えれば頭角を表しているはずだしね」

「出る杭を打つのですな」


 ぼんやりとですが最初の世界のお義父さんが同じような命令をしていた覚えがありますぞ。

 豚王という味方がいるのならば、可能な手段ですな。

 逆を言えば権力者が味方にいないと出来ない手段ですぞ。


「ふむ……波の脅威に対して反応が鈍く、巷で有名な冒険者は厳重に監視する様に指示を出すとしよう」

「いえ、待ってください。潜伏される危険性が高いので、斧の七星武器が見つかるまでは穏便にお願いします」


 お義父さんの指示に豚王が頷きました。

 やはり中々に優秀なエリート豚ですな。

 怠け豚以上に役に立ちますぞ。


「あと、タクトに事情を尋ねると同様の現象が起こる可能性があります。白状させるかは王様の判断に任せると――」

「ああ、奴ならもう壊れてしまったぞ? 面白くない」


 お義父さん達は深く溜め息を吐きました。

 豚が豚と交尾するシーンを見続けただけで発狂したのですかな?


「じゃ、じゃあ……?」

「すぐに自害しようとするのでな。もはや延命も面倒なのでさせずにおった」


 そこに大臣が間に入りました。

 事情に詳しいのでしょうな。


「おそらく悪霊となって復讐を考えていたと思われたので、ソウルバキューマーを使って魂までも処分致しております」

「あー……うん。まあ、良いんじゃないかな? タクトならやりそうだよね」

「あの王女の様な事になると厄介ですから、妥当な判断だと思います」

「しかし何も感じる事も無く、魂まで消えて幸せなのか、それとも不幸なのか……」

「嫌な世界だね」


 お義父さん達はポツリと呟きました。

 まあタクトは敵として厄介な相手ですからな。


「どちらにしても俺達は進むしかないんだ。今は消息不明の斧の七星武器の捜索を優先しよう。で、新たな七星武器の所持者が現れたら報告をお願いします。タクトと同じく正しい所持者とは限らないので」

「ブフフフフ、わかった。そう手配しておこう。ところで勇者達よ。斧の盗人を見つけた時、一緒に女が居たら連れて来てくれまいか?」


 ……?

 お義父さんが真面目な話をしているというのに、何を言っているのですかな?

 このエリート豚は。


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