こんにちは、さんめん軍曹です。
思ったより筆が進んだので、投稿させていただきます!
それではどうぞ!!
Destroying "KATAKATA HELMETS" 1
「なあハリー」
「どうした?ご不満かい」
「俺たち連邦捜査部にいるんだよな」
「ああ、そうだが?」
ある日のこと。机に向かい、用意された書類へ目を通してサインを繰り返す2人。
しかしほんの数分過ぎた頃、マクレーンがポツリと漏らした。
「俺にご不満かって言うくらいだ。あんたも同じ気持ちじゃないのか」
そう言いながらマクレーンは持っていたペンを放り投げ、背もたれに寄りかかる。
ハリーも手を止めると、深呼吸をした。
「別に?毎朝決まった時間に起き、コーヒーを飲んで食事をして、始業時間にゃこうして書類に名前を書き込む。そして依頼があればSUKEBAN共を叩きのめし、猫だって探す。実に模範的な警官の生活じゃないか。ご不満なぞありゃしませんよ」
「要は刑事の血が騒ぐって事だな。……なぁアロナ」
『なんでしょう?マクレーン先生』
「なにか俺たちが出るような依頼はないか?こう……連邦捜査部っぽいようなデカいヤマとか」
『うーーん。今の所はそういった依頼は届いていませんね』
「そうか……」
「まあ、俺たちの出る幕がないってのは、ある意味いい事なんじゃあないのかね」
「そりゃそうだ。だがこうも刺激がないと退屈……ん?」
たばこを咥え、ライターを探そうと机上をまさぐったマクレーンの手元に、ひとつの封筒が落ちてきた。
「なんだこりゃあ……」
全体的にざらついているのは砂だろうか?
それにしても随分と汚れているな。
そう感じつつ彼は封を開けると、手紙の内容を読み込む。
「へえ……支援要請、か」
マクレーンが呟くと、ハリーは書類へ書き込む手を止め顔を上げた。
「ほぉ……」
「どうしたジョン」
「ハリーも見るかい」
「こりゃあ……紙はしわくちゃ、文字も殴り書きじゃないか」
マクレーンから手紙を受け取ったハリーは、よれよれの紙にしたためられた文を読む。そのうちに、彼の眉間には皺がよっていき、マクレーンは楽しげな表情を浮かべた。
「えぇ?どうだい刑事さん」
「……こいつは只事じゃなさそうだな。アロナ」
『はいハリー先生』
「至急調べてほしい事がある。【アビドス高校】と生徒たち、そしてここ半年前後の公開されているあらゆる記録だ」
こうして1時間後には、シャーレの地下ガレージから武器弾薬を満載したシボレーP30・ステップバンがアビドスへ向けて勢いよく発進していった。
「ジョン」
「あいよ」
「なんだか俺たち、同じ所を行ったり来たりしてないか?」
「奇遇だな。俺も同じこと考えてた」
「そういやあアビドスは広大な街並みにより遭難者がしばしば発生すると、アロナが言ってたっけな……」
まさか俺たちがな、とボヤきながらステップバンのブレーキをかけ停車した。
「警官が道に迷ってるんじゃ世話ねえや。ここはひとつ交番でも探して……」
マクレーンも軽い愚痴をこぼす。すると、何者かがバンのドアを3度ほどノックした。
ハリーが窓を開けると、犬のような耳をふたつ、頭に載っけた銀髪の少女がロードバイクに跨り、こちらを観察するように見ていた。
「おじさん達、ここで何してるの?」
「怪しく見えるだろうが、俺達は用があってここに来たんだ」
「用って、どんな用なの?」
ハリーと謎の少女が話している中に、マクレーンも加わった。
「なに、大したことじゃあない。ちょいとアビドス高校まで花火のデリバリーさ」
「……ん。それで?」
「張り切って街まで来たはいいんだが……どこ探しても交番がなくってな。こんなアリ地獄みてえな場所から抜けらんないもんで、こりゃあまいったってお手上げってわけ……HAHAHA」
「ん。それなら私が案内する」
「お嬢さん、道がわかるのかい?」
「そりゃそうだハリー。なんたってここを自転車で走ってんだ」
「私はアビドス高校の生徒。2年生、砂狼シロコ」
「ああ。俺は連邦捜査部のハリー・キャラハン。そんでこっちが……」
「同じく顧問のジョン・マクレーンだ」
シロコの表情はほとんど変わらないが、2人の刑事には彼女の雰囲気がいくらか明るくなったのが感じ取れた。
「ん!それじゃあついてきて」
「このトラックには真ん中に1人座れるし、自転車も積めるぞ?」
「ん、問題ない。まだ少し足りないから、スピード出して走るよ」
そして数分後、シロコを先頭に、ハリー達のトラック(運転はマクレーンに交代した)は、時速50km/hを出して走行していた。
「おいハリー。俺ァ思うんだが、あの子は競輪に出るべきじゃねえかな」
「冗談よせよ。生徒を賭け事に使うなんざ教師のするこっちゃない。世界記録レベルなのは認めるがね」
ハリーはようやく操作に慣れた
「おいシロコ。飛び出しには気をつけろよ」
『ん、問題ない。……ここはもう何年も人が住んでいないから』
「……あぁ、すまなかった」
『大丈夫』
そういえば、大規模な砂嵐で人がいなくなったんだっけ。ゴーストタウンに生徒5人……、一体どんな気持ちで過ごしているのだろうか。
と、マクレーンはそんなことを考えていたので、回避ができずタイヤをスタックさせてしまう。
「おあっ?!しまった!!」
こうなるといくらアクセルを踏んでも無駄だ。諦めたマクレーンは車から降りると、どこのタイヤが落ちているのかを確認した。どうやら左後輪のようだ。
「ハリー、ハンドル頼む!」
大声で彼に呼びかけ、自身は後ろから車を必死に押していく。
「そらぁっ!!ぐぬぬぬぬぬくそおおおおあああ!!!!」
それに合わせてタイヤも空転するが、前には進まず代わりにマクレーンが砂だらけになった。
気づいて戻ってきたシロコが声をかけてくる。
「スタック?」
「ああ。まいったぜ、油断しちまった。これじゃ地面を掘って車を戻すのにだいぶかかるぞ」
「任せて」
シロコはまだ2年生だ。しかも女性なので、彼の目にはそんな力はあるとは思えなかったが、どうやら彼女は本気だ。
仕方なく、補助に回ろうとマクレーンも車体に手を押しつける。
「ハリー!もう一度だ!……っせーの!」
マクレーンは全力で体重を前にかけた。
そして転んだ。
「ごわあっ?!ぺっぺっ……砂ァ食っちまったぜおい!」
そう。大の大人が1人押しても動かない、荷物満載のトラックを、シロコがほぼ1人の力で押して路上に復帰させたのだ。
彼女はフンスとばかりに誇らしげな顔をしている。
「これがキヴォトス人の力」
「君なら競輪どころかオリンピックの重量上げにも出られるぜ!」
「ん……それは褒めてるの……?」
こうして、3人は無事にアビドス高校のガレージへと車を入れることができたのだった。
「生徒のみんなはこの先かい?」
「ん。みんな教室にいるはず」
マクレーンはしきりにジャケットを捲って脇の下、それから口に手を当て息を吐き掛けていた。
「どうしたんだ、そんなに臭いを気にして」
「年頃の娘っ子に会うんだ。加齢臭漂わせたままはいこんにちわってわけにもいかんだろ?」
「そうなのか?」
「娘がジュニア・ハイスクールに通ってた頃な……俺の目を見ながら『異臭がする』って言われたよ。しばらく立ち直れなかった」
「そいつは……ご愁傷様」
「先生たち面白いね。ここが教室だよ」
シロコは扉に手をかけ、そのままガラリと開ける。
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱ……い?」
「わあ⭐︎シロコちゃんが大人を拉致してきました。しかも2人!」
「拉致じゃない。この2人、うちの学校に用があるんだって」
「え、お客さん…?」
2人がIDを生徒達に見せる。
「連邦捜査部のハリー・キャラハンとジョン・マクレーンだ」
「この中にいる【アヤネ・オクソラ】氏から支援要請の手紙をもらってな。はるばるここまでやってきたってわけさ」
そう言ってマクレーンは、胸ポケットにしまってあった手紙をひらひらと見せた。
「……え、ええっ!?まさか!?」
「わあ⭐︎支援要請が受理されたのですね。よかったですね、アヤネちゃん!」
「どうやら只事じゃあなさそうだったんでね。要請された中の弾薬類も、トラックにパンパンに詰め込んできた」
「出血大サービスだ。君達の要求した3倍はあるぜ。よくここまで頑張ったな!」
ハリーは微笑み、マクレーンは親指を立てる。
「は、はい……ありがとうございますっ!」
「早速で申し訳ないが、物資を運び込むのを手伝ってくれないか?」
「そうですね!喜んでお手伝いします〜♪」
「私はホシノ先輩を起こしてくるね」
数十分後。ステップバンから倉庫へ物資を2/3ほど搬出したところで、5人はひと息付いていた。
「セリカ……だったか。彼女、ホシノを起こすのにどれだけ時間かかってんだ?」
「あはは……。ホシノ先輩は昼寝が趣味らしくて」
「寝る子は育つ……ってな」
その時。
正門の方角から銃声が聞こえてきた。それも1人や2人ではない。
「おぉい、なんだなんだ?!」
「あいつら、また性懲りも無く……!」
「資料を読んだ。これが例の武装集団か?アヤネ」
「はい。カタカタヘルメット団です!」
ハリーは.44マグナムを抜く。マクレーンもベレッタのスライドを引いた。
「1人はジョンとそこで物資の見張りだ。2人、俺について来い」
「ん、先生も戦うの?」
「これも仕事のうちさ」
「無茶ですよ〜?」
「ここは私達に任せて、先生達は後方で指揮を!」
「前線だって指揮はできるだろう」
「それに俺たちゃ、身体張って無茶するのが専門でな!!」
生徒達は絶句した。
何せヘイローも持たぬ大人が、事もあろうに敵の目の前に立とうとしているのだから。
ハリーは臆ともせず走り出す。そしてマクレーンも銃を構え、壁に張り付いた。
「どうした、そんなに俺たちが心配ならさっさと行け!!」
「……!わかりました、私はマクレーン先生とここで支援を。シロコ先輩とノノミ先輩はキャラハン先生に!」
そして、アビドスでの戦いの火蓋が切って落とされたのである。
「ひゃーーはははは!」
「攻撃、攻撃だ!!奴らは既に弾薬の補給を断たれている!襲撃せよ!!学校を占領ーーーぐわっ?!」
リーダー格と見られるヘルメット団の頭部で弾丸が跳ね返った。
「リーダー!」
「くそっ。何者だ!!」
「お前らに名乗るほど暇じゃないんだ。ここで帰ったら大目に見てやる」
「くそっ!撃て!撃てえ!!」
ヘルメット団のメンバーから斉射を受ける。
だが、相手の動きを予測していたハリーはすぐに物陰に隠れた。そして彼はアヤネから敵の位置を観測してもらいつつ遮蔽物から狙いを定め、手下どもを次々と撃ち抜く。
ノノミとシロコも彼へ援護射撃を行い、それでも撃ち漏らした敵はマクレーンが仕留めていった。
「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで起きて!!」
「むにゃ……まだ起きる時間じゃないよー」
校庭で繰り広げられる戦闘とは裏腹に、ホシノと呼ばれた少女はどこか呑気であった。
「重鎮さんのご登場か!!社長出勤てのは気楽でいいな!」
ホシノはマクレーンを見る。
スキンヘッドが特徴的なおじさんがヘルメット団にドカドカとベレッタを連射しているが、それでも軽口を叩く余裕はありそうだ。
「んあ〜、おじさんがセリカちゃんが言ってた先生〜?よろしくね〜」
「ちょ、ホシノ先輩!また寝ないで!!」
「寝る子は育つんだからそのまま寝かしてやれ!それよりセリカもこっちに手ェ貸すんだ!!」
マクレーンからの怒号にビクッと反応したセリカはそのまま彼に加勢するが、最前線で片っ端から敵を倒していくハリーを見て大変に驚く。
「先生が最前線に!?」
「あいつァ問題ない!それよりセリカ、アレ見えるか!?見えたなら車からバズーカ取れ!」
マクレーンが示した校門へ視線を移せば、戦車がこちらへ向かってきていた。
それに気づくとすぐに車に駆け込み、箱のひとつを開けてM72 LAWを取り出す。
「よーし良い子だ、そいつをこっちに寄越してくれ!!」
セリカが走る。ホシノの横を通過した時、彼女は気がつかなかったが、アビドスの年長者はうっすらと目を開け戦闘の様子を観察していた。
「はい、マクレーン先生!」
「あんがとよ。ええと、これをこうして……」
彼はロウ式ロケットの後部のピンを抜き、発射筒を引き出す。
「ちょいとチョロQ吹っ飛ばしに出掛けてくらァ!ここ頼んだ!」
「ちょっと、先生まで!?」
マクレーンは飛び交う弾丸の中を這々の体で駆けずり回り、手頃な遮蔽物を見つけて隠れた。
「へっへっへ、こいつならキングギドラだって吹っ飛ばせるぜ。見てろよ暴走族ども、アメリカ特製メガトンパンチをご馳走してやる」
彼は弾幕が切れる一瞬を狙う。……今だ!
すかさず戦車に向けて発射し、見事撃破。
ハリーから僅か数mの距離だった。
「へぇ〜っへっへっへ……ヒャーハハハ!!どうだ参ったか!!」
「おいジョン!撃つなら距離考えてくれよ」
煙の中から出てきたハリーは、大量の砂を被っていたのである。
「くそ!退却だ!!」
まだ残党がいたのかと振り向くと、動ける者は乗ってきたバイクや車に乗り一目散に後退していく。
「ジョン、シッテムの箱を任せる」
「ハリー!どこへ行くんだ!!」
「なあに、ちょっとお家へご挨拶しに行くだけさ」
そういうとタブレットをマクレーンに押し付けたハリーは、すぐそばで転がっていたバイクに跨り、後を追って行った。
「うへ。あの先生やる気満々じゃ〜ん」
「やっと来たかミス・ホシノ。俺たちも体勢を整えて出発だ」
「ハリー先生はどこへ行ったのでしょう?」
ノノミの質問にマクレーンが答える。
「お宅訪問って奴さ。これ以上襲ってこれないように徹底的に戦力を削ぐ」
「なるほど。でも、先生の位置が分かりませんが、どうするんですか?」
「心配すんなアヤネ。アイツの場所はこっちできちんと把握してるよ」
「凄い……!これが大人の力……!」
「ん。それじゃ私達も狩りに出発」
こうして、アビドス高校のガレージにあった2台のジープに分乗したマクレーン一行は、ハリーの後を追うのだった。
いかがでしたか?
遂に2人の刑事がアビドスへ!
彼らはアビドスをどう救うのか?
それでは次回、Destroying "KATAKATA HELMETS" 2 でお会いしましょう!
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