ダーティハリー キヴォトス・ハード   作:さんめん軍曹

1 / 8
おはこんばんにちは、さんめん軍曹です。
ブルアカを始めたので、CH×艦これシリーズの息抜きに書いてみました。
それではどうぞ!


THE VIGILANTE
He has arrived


 

───私のミスでした。

 

男は目を覚ます。

確か俺は、車の中でうたた寝をしていたはずなんだがな?

 

───私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。

 

何のことだかまるで分からないね。

 

───結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて…。

 

人ってのは学ぶ生き物だ。そうでもしなけりゃ、どう転んでも同じ結果さ。

 

───今更図々しいですが、お願いします。

 

俺に何をしろと?

 

───キャラハン先生。きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

…何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから…。

 

これでも信念は曲げないタイプでね。

 

───ですから…大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしか出来ない選択の数々。

 

選択をすれば糧となり、それが経験になる。

 

───責任を負うものについて、話したことがありましたね。

 

ああ。その話なら上司からも耳が腐るほど聞いているさ。

 

───あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます。

大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

…それが意味する心延えも。

 

そりゃあよかった。

 

───ですから、先生。私が信じられる大人である、あなたになら…

この捻れて歪んだ先にある終着点とは、また別の結果を…。

そこへ繋がる選択肢は…きっと見つかるはずです。

 

信じてもらえるのは光栄だが、物事は思うほど単純じゃあない。

 

───だから先生。どうか───

 

「偉いね。立場を弁えてる」

 

 

 

 

「……せい。…先生、起きてください!」

「…」

 

ゆっくりと目を開ける。

先生と呼ばれた気がしたが、一体誰のことだ?

ぼんやりと考えながら声をかけてきた人物に目を向ければ、そこにはいつも嫌味をぶつけてくる本部長…ではなく1人の少女が立っていた。

 

「俺を呼ぶにしては随分と甘ったるい声だが…人違いじゃないのか?」

 

目の前の少女は困惑の表情を浮かべた。ハリーは改めて目の前の少女を観察する。

身体つきは大人に近いが、その顔立ちはまだ10代後半といったところか。そして彼が注目したのは、神話に出てくるエルフのような長い耳だった。

 

「…今はハロウィンか?」

「はい…?どうやらかなり熟睡なさっていたようですね」

「あぁ、その…。俺の記憶が間違っていなければ、さっきまでドライブインで仮眠をとっていたはずなんだが」

「…深い夢でも見られていたのですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」

 

彼は机上で組んでいた脚を下ろして、辺りをゆっくりと見回す。どうやらここは、オフィスの一画のようだった。

 

「あまり状況を理解されていないようなので、念のためもう一度説明します。…私の名前は七神リン。学園都市キヴォトスの、連邦生徒会所属の幹部です」

「キヴォトスってのは、ここの地名かい?」

「あなたは私たちがお呼びした先生…のようですが…」

 

キヴォトスという地名に聞き覚えがないのは、長い間サンフランシスコからほとんど出なかったせいだろうか?

ハリーは頭を抱える。

 

「混乱されてますよね。わかります」

「あぁ…そうだな…」

「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください。どうしても、先生にやって頂かなくてはならないことがあります」

 

ここでじっとしていても仕方がないと思った彼はリンの言葉の意味を考えながら、後をついていくことにした。

 

「俺がやらなきゃいけないこと?そりゃなんだ」

「学園都市の命運をかけた大事なこと…ということにしておきましょう」

「そんな大それた事は、ここの警察にでも任せたら良いだろう」

 

エレベーターのドアが開く。

 

「先生の言うことはごもっともです。しかし、今の状況ではそうもいきません」

 

リンはハリーをシャフト内に案内して、上層階のボタンを押した。

エレベーターが動き出す。すると、ハリーの目の前にはシスコに負けず劣らずの摩天楼が広がった。

 

「…こいつは…」

「キヴォトスへようこそ、先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です」

「ビバリーヒルズなんか小さく思えるぜ」

 

リンの話を聞きながら、やがてエレベーターは目的の階へ辿り着くと、軽いベルの音と共に扉が開いた。

 

「きっと先生がいらっしゃった所とは違っていて、慣れるまで苦労されるかもしれませんが…」

 

エレベーターホールの前がやけに騒がしかった。

ハリーは怪訝に思っていると、その中の1人がこちらを認識して、詰め寄るように近づいてきた。

 

「ちょっと待って!代行、見つけた!待ってたわよ。今すぐ連邦生徒会長を呼んできて!」

「穏やかじゃあないね」

「!」

 

ハリーの呟きで、彼の存在に気付いたツーサイドアップの少女。ハリーの目は、その手に握られている小型のサブマシンガンを見ていた。

 

「隣の大人の方は?」

「お待ちしておりました。主席行政官」

「風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

3人の服が違う事を察すれば、どうやら別々の学園から足を運んできたらしい。だが、彼女らの言葉には共通点があった。それは、連邦生徒会長とやらに面会を求めている点である。

数千もの学園が混乱、風力発電のシャットダウン。果ては矯正局から脱出した不良だの、戦車やヘリの不法流通が2000%超えだの…かのアルカトラズやサン・クエンティンがもはや小さな箱庭と思えるような有様だった。

 

「なぁリン。その連邦生徒会長ってのは、ここのお偉いさんか?」

「はい。ですが…」

「どうしたってんだ」

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

「なんだって?」

 

衝撃の事実がリンの口から語られる。ハリーはもう、何を言われても驚かない自信がついてしまっていた。

 

「結論から言うと、【サンクトゥムタワー】の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」

「それでは、今は方法があるということですか、主席行政官?」

「はい。この先生こそが、フィクサーとなってくれるはずです」

 

ハリーは馴染みの店に強盗が入った時を思い出した。今コーヒーを手にしていれば、あの時と同じく噴き出したであろう。そう思うと、自然と喉が渇いてきた。

 

「俺が…なんだって?」

「ちょっと待って。この先生は一体どなた?どうしてここにいるの?」

「キヴォトスではない所から来た方のようですが……先生だったのですね」

 

生徒たちからの視線がハリーに集まる。彼は新聞記者や上司、地方検事から毎度の如く吊し上げを喰らっているので、見られることには慣れているはず…なのだが、年端も行かない少女たちからの眼差しは、何処か気恥ずかしさを覚えてしまった。

 

「はい。こちらの先生は、これからキヴォトスで先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した方でもあります」

「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」

「俺も話がややこしすぎて、自分が非常識なんじゃないかと思えてきたところさ。……どうやら今日からここの先生をやる事になったらしい、ハリー・キャラハンだ」

 

頬を掻きながら自己紹介をするハリー。

 

「こんにちは先生。私はミレニアムサイエンススクールの……い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて───」

「そこのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…」

「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、キャラハン先生!」

 

他の生徒達も続いて自己紹介をする。

これからしばらくは彼女らの世話になるだろう、と直感したハリーは脳内にメモとして残しておいた。

 

「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、とある部活の担当顧問としてこちらに来る事になりました。名前は"連邦捜査部・シャーレ"」

 

連邦捜査部と聞いたハリーは、自宅にいるような安心感を覚える。特に"捜査"の響きが妙に心地よかった。

 

「単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在する全ての学園の生徒達を、制限なく加入させることすらも可能で…各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うことも可能です」

「まるで実家に帰ってきたようだよ。しかし、そこまで権限を持っているなら、ある種の軍隊みたいなもんじゃないのか」

「私もなぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に【とある物】を持ち込んでいます」

「とある物?なんだそりゃ」

「それは後ほどご説明します。……モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」

 

リンが端末に呼び掛けると、画面からホログラムでピンク髪の少女が投影された。

ハリーは心の中で、技術の進歩はすごい物だと感嘆した。

 

『シャーレの部室……?ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど』

「大騒ぎ……?」

『矯正局を脱出した生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

「…………」

 

リンのこめかみに青筋が浮かぶ光景を見て、ハリーはやれやれと溜息をついた。

いつ、どこの時代でも脱獄犯と言うものは厄介なのだ。彼は地獄に叩き落としてやったスコルピオを思い出していた。

モモカ曰く、地域の不良を筆頭に周りを焼け野原にして廻っているのだとか。

 

『巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』

 

自分も枠に囚われずに犯罪捜査・摘発(大体は射殺しているが)をしている自覚はあったが、ここまで来るとスケールが違いすぎると思った彼は、半ば思考を放棄しかけていた。

しかし、このままではシャーレの部室が占拠されてしまう事は火を見るより明らかなのだ。その事実が辛うじてハリーの思考を止めずにおいたのである。

そして次には、ホルスターから愛銃を取り出し点検を済ませ、エレベーターへと歩み始めた。

 

「あっ、先生……!って、なんで代行は私達を見つめているの?」

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いな、と」

「……えっ?」

「早くしないと先生に置いて行かれてしまいますよ」

 

リンもハリーの元へ歩き始めたので、慌てて追いかけるメンバー達であった。

 

 

 




いかがでしたか?
勢いで書いたので、拙い部分もあるかと思いますがご容赦ください(汗)
とりあえず原作の導入部のみを投稿する予定であります。
その後は、CHシリーズと折り合いをつけながら…といった流れになるかと思います。

それでは次回、Meet with N.Y.P.D.でお会いしましょう!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。