カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる 作:塊ロック
好きな顔した別の世界のキャラがあんまり歓迎されてないムード感じてなんとも言えない気分で見ております。
「はぁ……」
社宅の玄関の施錠を外す。
帰ってきたもののあと数システム時間すれば出勤である。
眠れるのは3システム時間くらいか。
「疲れた……」
どっと疲れがのしかかってくる。
普段よりも重く感じるドアを開いて、鞄を投げコートを脱ぐ。
仮住まいに戻る必要性を感じられない。
しかし会社で休むと何を言われるか分からん。
「……ん?」
ベッドと机、その上のパソコン程度しかものが無い。
数少ない私物のPCに通知が来ていた。
『久し振り。元気?』
チャットのメッセージ。
「久し振り。一ヶ月ぶりだとか?お互い忙しいな」
服を脱いで皺を付けないようハンガーに掛けてから画面を見ると、もう返事が来ていた。
『ホントにね。私も仕事立て込んできちゃってさ』
「俺も一人預かることになっちまってな……」
『え?あんたに部下?似合わなー』
「喧しいわ」
『男?女?』
「インターンの子さ。すぐに帰る」
『へー』
コイツとは結構古い付き合いだった。
昔やってたゲームで知り合ったネッ友で、ちょっと前にアカウントが消えたと泣き付かれて付き合ったりもしていた。
『そういや最近あんた本壊3rd全然ログインしてないね』
本壊3rdとは、サービス開始からもうすぐ10年程度経過する長寿コンテンツだ。
難解なシナリオと半月で変わる環境に泣かされるものの、出会った時はクソガキもいいとこだった主人公が精神的に成長を果たし世界を救ったストーリーが俺の心を掴んで離さなかった。
それはそれとして自身に絶対的な自信を持ちすべての人間を愛するピンクの妖精さんに狂わされてもいたが。
「時間がな……」
『マジ?ていうか何でこんな時間まで起きてんのさ』
「お前が言うか?今帰ってきたんだよ」
『え、明日仕事は?』
「あるよ。いつもの時間」
『うわ、あと2システム時間半無いじゃん』
「その通り」
『人手が欲しいクエストがあったんだけどなぁ……』
「神の鍵か?」
『まぁそんなとこ』
「この前エデンの星やったばっかだろ。次は天火聖裁か?」
『黒淵白花も捨て難いんだけどね。これ以上睡眠時間削らせる訳にはいかないから今日はいいよ』
「悪いな」
『忙しいのはお互い様なんだし気にしないでよ。その代わり、休み取れそうなら連絡してよ?』
「おう、じゃあな」
チャットをオフラインにする。
コイツとはこの文字でのやり取りしかやっていないが、不思議とウマが合う。
お互い仕事に謀殺されているからだろうか。
少し前宇宙ステーションヘルタに行くと言ってしばらくしてゲームのアカウントが全部消えたと泣き叫んでたな。
「シャワー……は起きてからで良いか……眠……」
腹も減ってないしこのまま寝てしまおう。
目覚まし時計を5個設置してスマホのアラームを設定。
合成器のタイマーを起きた時間に設定して朝飯を準備。
「………………」
倒れ込むように僅かな睡眠を貪るのだった。
『お兄さん』
「……君は……何なんだ?」
寝言のように呟いた一言に、返事はない。
チャットの相手はもちろんアイツ。
あの陣営で唯一好きなキャラだったり。
……しかし人気キャラの大半あんまり好きじゃないのによくスタレ二次なんてやってるなぁ。