カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる 作:塊ロック
花火の仮の身分をどう用意するか迷ったのでそれっぽい苗字を探してきました。
「お兄さんはここに来てからどんな仕事をしてきたんですか?」
「そうだなあ……」
花火と名乗った少女を案内しつつ、休憩のため自販機スペースのベンチに彼女を座らせたときのことだった。
「……宇宙海賊と戦ったり原生生物から現地チーム守ったりかな……」
「……お兄さん営業担当なんじゃ」
「入社してから営業なんてしたことないよ……」
「えぇ……?」
花火ちゃんがおかしなものでも見る様な顔をされる。
そりゃそうよ。
「市場開拓部。それが俺の所属してる部署の大本。とは言えこればっかやってる訳でもないんだな、これが」
「それがお兄さん?」
「結局、組織がデカいからあぶれる奴、遊んでる奴、紛れ込んでる奴とか色々居る」
「へぇ〜……」
「人材奨励部が何を考えて君を俺に預けたかはさっぱり分からん。何か聞いてる?」
「うーん……強いて言うなら」
「うん?」
花火ちゃんのメガネ越しに見える桃色の双眸が、怪しく煌めいた気がした。
「花火、お兄さんが気になるかも!」
「……俺が?」
「だってお兄さん、存護の一瞥を受けたんでしょ?その話聞きたいな〜」
「あー……悪いけど、聞いてて楽しい話じゃないし……初対面の君に話すことでもない」
「えー」
「さて、そろそろ次に行こうか」
……クリフォトの一瞥、か。
あの時はちゃんと考えてなかったけど、今思えばなんで俺だったんだりうな。
それに……。
(なんであの時だったんだ)
もっと早ければ、俺は……。
「お兄さん?」
「!」
少しぼうっとしていたのか、座っていた俺の顔を花火ちゃんが覗き込んでいた。
「大丈夫?」
「あ、ああ……ちょっと昔のことを思い出してな」
「話すだけでも楽になるよ?」
「ははは……君はこんな会社よりメンタルカウンセラーの方が向いてるかもしれないな」
「もう、またはぐらかした!」
「はははは。休憩終わり。行こうか」
「次は何処に行くの?」
「業務強化部だ。最近提携した星に行くのに護衛が欲しいらしい」
「え?警備部門は……」
「……本当にな……」
あまり子供の前で項垂れるなんて事はしたくないが、管轄外のことをこれでもかとやらされると流石に思うところはある。
「お兄さん、大変だね……」
「君はどういう予定なんだ?」
「花火は1週間お兄さんに付きっきりだって言われた〜」
「そうなのか……じゃあこの仕事も付いてくるのか。一応日帰りだけど遅くなるぞ?」
「はーい」
……何か、花火ちゃんの返答が段々と素になってきている気がする。
今の若い子ってこんな感じなんだろうか。
スターピースカンパニー、下っ端が警備スタッフばっかであまり良いイメージが無いんだよな……。
中堅社員がどんな感じなのかあまり分からない気もする。