カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる 作:塊ロック
「よう相棒。生きてるか?」
机に突っ伏して倒れている俺に、隣の席の同僚が声をかけてきた。
「あぁ……何とかな」
「休暇、キャンセルだって?ツイてねぇな」
「く、くそぉ〜……許せねぇ……」
「呻いてるとこ悪いが追加の仕事だ」
「あ?!嘘だろ!」
「今来てるインターンの子たち。そのうちの1人面倒見ろってさ」
「は!?ガキのお守り!?ふざけんなよ!それを俺の休暇潰してやることか!」
「今ピアポイントに居て手の空いてる社員が少ない……諦めろ」
「人材奨励部の仕事じゃねぇのかこれ」
「その人材奨励部からのご指名だよ」
「……一応聞くが、お前は?」
「……2時間後に宇宙ステーションヘルタへ出張。戻るのは来月だ」
「……そうか……」
お互いにがっくりと項垂れた。
そのやり取りを聞いていた同僚達が悲しそうに目を伏せる。
どうやら全員デスマーチらしい。
全く参ったねどうも。
「お前が営業してくれりゃな……」
「ほかの部門に俺を回すからだろ……!」
その時、俺の肩にポンと手が置かれる。
「諦めてくれ、ガンズ。今からお前に仕事教えるより手が足りてない戦闘部門に送った方が全体としてまとまる……」
「オイあんたそれでも上司かよ!」
この事務室のチーフ社員が諦めたように俺を説得しだした。
「分かってくれガンズ……私も来週娘のピアノの発表会なんだが仕事入りそうなんだ……」
「あっ………………」
部屋の全員が察したような声を漏らす。
「お前も目的があって金を貯めてるんだろう……戦闘部門に転向してもルームシェアと自費修理で貯まるもんも貯まらなくなる……ここに居られるうちはここに居ろ……」
「チーフ……」
「それはそれとして面倒見る子の履歴書、目を通しとけよ」
「チクショー!!」
手渡された用紙に目を通す。
このご時世わざわざ髪に記入するなんて珍しい。
どれどれ……。
「……女の子……??なんで俺が?女性社員居ますよね」
「全員案件持ちだ。お前しかウチには居ない」
「マジかよ」
「おっ、可愛いじゃん。よかったな」
「ガキにゃ興味ねーよ」
「お前年上好きだっけ」
「……あんまそう言うの気にしたことないだけさ」
少しでも足しになるよう節制を重ねてるお陰で女遊びもまともにしていないのである。
「失礼します」
そんな中、ティーンエイジャーらしい高い声が響いた。
「ほらガンズ。お客様だ」
「はいはい……」
デスクから立ち上がり、ネクタイを締め直して少女の前に立つ。
「ようこそ、スターピースカンパニーへ。今日から君の面倒を見る事になった。ガンズ=ロックだ」
「初めまして!銀波花火って言います!お世話になります!」
少女は溌溂とした大きな声でそう名乗り、一礼した。
……しかしこの子……どこかで見覚えがあるなぁ……。
社畜、ガンズの受難は続く。