カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる 作:塊ロック
結局俺は休みを取ることにした。
一ヶ月死ぬ気で仕事をこなして。
一週間俺が居なくても職場が回るように下準備を重ねに重ねて……死ぬかと思った。
「よっ、お疲れさん」
「おう……」
同期が俺のデスクにドリンクを置いてくれた。
……あっこれ水じゃん。
「最近めっちゃ頑張ってるじゃん」
「……明日から、休む」
「お、マジか……あー……引き継ぎ諸々か」
「そゆこと」
置かれたペットボトルの蓋を開ける。
……常温だこれ。
「ぬるい」
「そら期限間近の保存水だからな」
「もうちょっとこう……差し入れるならマシなもんくれないか」
「貰っといて言うなよ」
「流石にこれはちょっと」
「ははは」
こいつ……。
でも怒る気力もないので我慢した。
「そういや、先月のアレさ」
「ん?………………ああ、失踪事件の」
結局、あの騒ぎは大きくなった。
俺の周囲も、隣のデスクの奴がひとり居なくなった。
「捜査は?」
「進展なし」
「警備部門、総入れ替えしたらどうだ?」
「だからお前にオファー来てんだろ?」
同期が俺のデスクの書類を1枚拾い上げる。
そこには、警備部門への転属の誘い……と言うか泣き言だった。
「俺はしがない営業部門の社員だっての」
「営業、なんかしてるか?」
「………………」
多分苦虫を噛み潰したような顔をしている。
俺は営業部門の社員のくせにまともに営業が成功した試しがない。
と言うか営業に行く時間が無い。
上から回ってくるのは警備に護衛にと戦闘系ばかり。
たまに資材物流部からの依頼もある。
営業部門……市場開拓部が俺の所属ではあるが平気で戦略投資部に同行させられてしまうときた。
そして何の間違いか先日はその戦略投資部のエリート幹部、『十の石心』の一人……アベンチュリンの業務に同行する羽目になった。
『君、戦略投資部へ転属しないかい?悪いようにはしないよ』
そんなことまで言われた。
「お前、大分気に入られたんじゃないか?」
「いやいや……アベンチュリンの
アベンチュリンは特に幸運に恵まれており……オール・オア・ナッシングの精神の下ハイリスクハイリターンな駆け引きを好む。
この前の海賊との交渉と言うなの鎮圧もまぁ凄かった。
「命がいくつあっても足りねぇって」
「そうか……?お前、存護の運命を歩めてるんだから相性良さそうだがな」
「冗談……」
……あの時の高揚感。
命をベットした最高の賭け。
間違いなく心臓は高鳴っていたし、アドレナリンはドバドバ出ていた。
だが、あんな破滅的な生き方……俺には出来ない。
「ま、お前それなりに強いから大丈夫だろうけど……気を付けろよ?」
「忠告痛み入る」
「じゃあな。休暇の土産、よろしくな」
「はいはい……」
「お、見ろよガンズ」
「あ……?何だ、今年のインターンか」
窓の外に、数名の制服姿の少年少女たちが居た。
まだまだ若さに満ち溢れていて……眩しい。
「あの子、可愛くね?」
「おいおい……まだガキだぞ……」
「愛に年齢は関係ないんだぜ」
「そうかよ……うん?」
はて、見覚えのある制服だ。
その中の一人が、振り返る。
俺は、息を呑んだ。
「………………」
あの日、雨の下で踊っていた、黒髪の少女。
彼女がそこに立っていた。
……5階のオフィスである、こちらを見て、俺と視線が合った。
「……おい、どした?ガンズ?」
「な、なんでも……無い」
「顔色悪いぞ?」
「気にしないでくれ……資材物流部に行ってくる」
「あ、オイ……!」
俺は、逃げるようにオフィスから出た。
(おかしい……おかしい……あの子は、何か……)
不気味なものを感じる。
俺の思い過ごしであれば良いのだが……。
「あ……もしもし?資材物流部の……えっ、仕事して欲しい?俺……明日から休暇なんですけど……はっ!?変更しろって!!??え!?一週間遅らせろ!!????!!!」
俺はスマホをぶん投げた。
名前:ガンズ·ロック
運命:存護
属性:物理
天賦:『優先業務』を付与された味方への単体攻撃を肩代わりする。
その際、被ダメージを50%減少させ自身に防御力の25%相当のシールドを獲得する。
通常攻撃:いつもの業務
指定した敵単体へ防御力100%分の物理属性ダメージを与える。
強化通常攻撃:本気の仕事
自身がシールドを持っている時、敵単体へ防御力150%分の物理属性ダメージ。
対象の攻撃力−25%、2ターン継続。
戦闘スキル:定時退社への布石
味方単体に防御力35%+500のシールドを付与し、『優先業務』を付与する。
3ターン継続。
必殺技:残業開始
敵全体へ自身の防御力150%の物理属性ダメージ。
『優先業務』を付与された味方が存在する場合、その味方の会心率を+10%、会心ダメージを+25%アップする。