カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる 作:塊ロック
見切り発車癖は直らない。
その日は散々だった。
仮眠取れず完徹二日目コースな上に同行した上司の召喚したコインの波に巻き込まれ書類は何度もミスするしうたた寝しかけた。
「おい……今日お前大分ヤバいぞ……」
顔が死んでる同期にすら心配された。
「お互いにな……」
自販機からエナジードリンクを取り出し、一息であおる。
「戦略投資部との同行中に宇宙海賊に遭遇するなんてツイてねぇな」
「全くだ……警備部門の奴ら何やってんだか」
「お前も戦ったんだろ?」
「流石に死ぬかと思った」
「よく言うぜ……」
俺は岩石で出来たの巨腕を両手に装着して殴ったり盾にしたりすることが出来る。
材料の岩石は勿論鉱石や宝石を感知することも出来るのでよくカンパニーの色んな部門から声が掛かったりする。
戦闘、警備、補給と多岐に渡るため、俺の仕事は本当に多い。
営業部門のしがない社員だったのに気が付けば何でもやらされる羽目になってしまっていた。
「ほら、奢りだ」
「たすかる……ってこれ仙人爽快茶じゃねーか」
「たまたま羅浮に行ってな」
「そうか……始めて飲むな」
「じゃ、俺は行くよ。お前も気を付けろよ……ガンズ」
ガンズ·ロック。
それが俺の名前だ。
家族構成は不明。
気が付いたら両親も蒸発、兄妹が居るかも分からない。
貧しい孤児院に拾われてなんとか食つなぎ……能力が分かってからは何度か就活を繰り返して遂にこのスターピースカンパニーへ就職することが出来た。
……することが出来たんだがまぁ問題は山積みで。
この会社で出世するには後ろ盾の存在が必要不可欠。
そんな人は居らず俺は3年の下積みを経てようやくそれなりに自由に動けるようになった。
なったのだが……戦闘能力を買われて本業が疎かになってしまったせいで部署に居場所が無いのが実情だ。
人事も俺の扱いが面倒なのか営業部門に名前を残したままにしている。
いっそ警備部門に移籍も考えたが警備部門の下っ端の扱いは悲惨の一言だ。
モグリも居る、給料は安い、装備は自腹、小隊長クラスでさえタコ部屋住まい。
なら1日3時間しか寝られないが1人部屋の寮が使える今の部署の方がマシだった。
(なんで俺ここに居るんだろうな……)
誰も居ない休憩室で、ふとそんな事を思ってしまった。
元々、スターピースカンパニーに入ったのは……ちょっとした目的があったからだ。
(あれから3年……届く気がしない)
目標の金額がある。
信用ポイントを稼がなければならない。
今口座に入っているのはその半分以下。
あと、何年かかるのだろうか。
(……やめよう。こんな事を考えてはいけない)
やれる事を地道にやるしか、今は出来ることはない。
(そういえば)
昨夜の少女は、何だったのだろうか。
認めたくはないが、俺は視線を奪われ……貴重な1時間を消し飛ばされた。
本当に、何だったのだろうか。
「ん?」
スマホの通知が鳴る。
次の仕事か、上司からのお叱りか、嫌で嫌で仕方ないが確認するしか無い。
……内容は、そのどれでも無かった。
「注意喚起……?」
最近、カンパニーの社員が失踪する事件が起きているらしい。
「穏やかじゃないな」
何を思って居なくなるのやら。
……とは言え、俺もこれ以上キャパオーバーされると逃げ出したくもなるが。
頭を振る。
駄目だ。
最近は特にひどい。
使命感がある一方、その全てを投げ捨ててしまいたくなる衝動に駆られる時がある。
やはり、疲れているのだろう。
有休はいくらか残っていたはず……。
あれ、もう1件来ている。
差出人不明のメッセージ。
怪しい。
だが……。
「あっ」
手が滑って開いてしまった。
本格的に疲れが溜まっているなこれは。
「……は?」
書かれていた文章は、一言だけ。
『貴方の仮面はどこ?』
またガンズロックです。
モンハンで1番好きな武器なので許してください。