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生活保護費引き下げ改定、やり直し検討 少なくとも2.5%程度想定

高絢実

 生活保護費を大幅に引き下げた2013年の基準改定を「違法」とした最高裁判決を受け、厚生労働省は13年の引き下げ改定をやり直す検討に入った。対応を協議する7日の厚労省の専門委員会で示した。違法と認定された物価に基づく計算方法ではなく、消費に基づく方法で、引き下げ率は少なくとも2.5%程度が想定されている。

 引き下げのやり直しは「紛争の蒸し返し」になり、引き下げ前の基準で被害回復を求める原告側の反発は必至だ。原告には引き下げをやり直さないなど、原告と原告以外の生活保護の利用者で引き下げ改定の見直し方を分ける案も浮上している。委員会は月内にも報告書をとりまとめ、政府は与野党とも調整し、対応を決める方針だ。

 問題となっているのは、生活保護費のうち、食費や光熱水費などの生活費にあたる「生活扶助」の基準。消費実態に基づいて基準が決められてきたが、05~12年は経済情勢を勘案して据え置かれていた。厚労省は13年の基準改定で、15年までに平均6.5%、最大10%引き下げた。引き下げ幅は戦後最大となった。

 その際に使った計算方式の一つは、厚労省独自の物価変動率の指標で物価下落を反映させる「デフレ調整」だった。デフレ調整は審議会で議論されておらず、最高裁判決は判断の過程と手続きに「過誤、欠落があったというべきだ」と指摘。生活保護法違反と認め、処分を取り消した。原告の基準は13年の改定前に戻った状態にある。

 厚労省は今回、デフレ調整に代えて、当時の消費の実態に基づき、引き下げる改定をやり直す方向で検討している。一般低所得世帯の消費実態と比べるため、5年ごとに実施される全国消費実態調査の09年のデータを用いる。ただ、リーマン・ショック直後で消費が大幅に落ち込む結果になっており、影響を緩和するため、毎年行われる家計調査で補正する。

 7日の委員会で厚労省は、これまでの議論を踏まえ、2.49~5.54%の三つの引き下げ率の試算を提示。2.49%を採る場合、引き下げ幅はデフレ調整の半分程度で、支払総額は2千億円規模になる見込み。5.54%の場合は当時判断したデフレ調整の4.78%よりも引き下げ幅が大きくなるため、4.78%で据え置く方針だ。この場合、追加の支払いはない。

 13年の引き下げ改定に用いられたもう一つの計算方式は、世帯人数や地域ごとに低所得世帯との消費実態に合わせる「ゆがみ調整」だ。最高裁判決は、こちらの違法性は認めておらず、厚労省は再度実施できるとの考えだ。生活保護法8条2項で最低限度の生活の需要を「こえないものでなければならない」と規定されており、委員会では「8条2項に沿う」など、容認する意見が出ている。

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この記事を書いた人
高絢実
くらし報道部|社会保障担当
専門・関心分野
外国人、在日コリアン、社会保障全般