「アニメ制作会社の倒産・廃業」3年連続で増加か 市場規模は過去最高なのに「利益なき繁忙」状態に
株式会社帝国データバンク(東京都港区)が11月5日、「アニメ制作会社の倒産・休廃業解散」についての調査結果を公開しました。 ▼【画像で見る】アニメ制作会社の倒産・廃業に関する調査の詳細なグラフ
1月から9月の間で8件の制作会社が倒産・休廃業解散
調査によると、2025年1月から9月にかけて2件のアニメ制作会社が倒産し、6件が休廃業・解散しました。帝国データバンクはこの現状について、1年間の倒産・休廃業解散が16件と過去最多になった2018年と同水準で推移していると伝えています。 また、ごく小規模な受託制作やフリーのアニメーターなども含めると、より多くのアニメ制作会社が市場から退出したとみています。 帝国データバンクは調査結果から、このままいくと”3年連続でアニメ制作会社の倒産・休廃業解散が増加した”という結果になる見込みを示しています。
過去5年間で市場から退出したアニメ制作会社のうち、約半数は直接アニメの制作を受託・完成させる能力を持つ「元請け・グロス受け」の会社でした。その中では、コロナ禍による受注減から一転して受注が急増し、供給を補填するために海外の会社に制作を外注したものの、円安の影響で外注費が高騰した結果収益の悪化につながった、というケースもあったようです。
中小規模の制作会社ほど苦境に
海外での高い評価を背景とした需要増から、アニメの市場規模自体は過去最高を更新しています。にもかかわらず制作会社の倒産・休廃業解散が増えている現状について、帝国データバンクは「制作現場ではコスト増を価格へ転嫁できない『利益なき繁忙』状態へ陥りつつある」と指摘しています。 制作コストの高騰や、人件費の増加が増収ペースに追いついておらず、IP(版権)収入など安定した収益基盤を持たない中小規模の制作会社ほど苦境に立たされやすくなっているというのです。 帝国データバンクは、「アニメ制作産業の持続的な成長に向けた適正な取引環境の構築や、アニメーターなどの人材育成といった支援策が急務」だという形で調査を結んでいます。
BuzzFeed Japan