向精神薬を知人に譲渡容疑 クリニック勤務の看護師ら書類送検 福岡

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写真はイメージ=ゲッティ

 勤務先の医療機関名義で購入した向精神薬を知人に譲り渡したとして、九州厚生局麻薬取締部が、福岡県筑豊地区の医療クリニックに勤める30~60代の看護師と准看護師の女性計3人を麻薬取締法違反(譲渡)容疑で書類送検していたことが同部への取材で判明した。10月20日付。医師法により薬の処方は医師のみに限られるが、業者への発注業務は看護師らも可能。この仕組みが悪用された薬の不正譲渡事件の立件は異例だといい、同部は医療機関に注意喚起する方針。

 書類送検容疑は2024年12月~25年6月ごろ、クリニックの元同僚や学生時代の同級生の女性ら3人に、向精神薬である睡眠導入剤計870錠を総額8951円で譲り渡したとしている。同部は認否を明らかにしていない。

 同部が薬の入手ルートを追跡したところ、看護師らがクリニックのIDを使って医療機関向けの医薬品販売業者に発注していたことが判明。代引きで発送させて自費で購入後、自ら使用したり、購入額と同額で譲り渡したりしていたとみられる。看護師らは購入理由について「受診が面倒だった。卸値で安く購入できた」と説明。譲り受けた人から更に別の人物への販売や譲渡は確認されていないという。

 今春、別の薬物事件の捜査の過程で疑惑が浮上。このクリニックでは少なくとも20年12月以降、計8500錠(85箱)の向精神薬が看護師らの発注で購入されていた形跡があり、そのうち不正譲渡が裏付けられた分を立件したという。

 同部は「医師が処方していない薬が市中に広まれば、オーバードーズ(薬の過剰摂取)や薬物を悪用した犯罪につながる危険性もある」と話し、医療関係者に法令順守の徹底を促す。【栗栖由喜】

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