【上海=三塚聖平】中国税関総署が7日発表した10月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比1・1%減の3053億ドル(約47兆円)だった。マイナスは8カ月ぶり。中国は貿易先の多角化で輸出拡大を続けてきたが、米国との貿易戦争激化の影響を完全には補うことができなかった。
米国向けの輸出は約25%減の349億ドル。7カ月連続のマイナスとなった。米国からの輸入も約23%減と大幅なマイナスが続く。
米中両政府は10月に入り、中国のレアアース(希土類)輸出規制などを巡り対立が激化していた。しかし、10月30日に韓国で行われた米中首脳会談で貿易戦争の1年休戦に至っており、今後、中国の対米貿易が改善する可能性もある。
10月の輸入全体は1・0%増の2152億ドル。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は900億ドルだった。
1~10月期の輸出は前年同期比5・3%増で、輸入は0・9%減だった。
同時期の国・地域別の輸出は、米国向けが17・8%減だったのに対し、東南アジア諸国連合(ASEAN)が14・3%増、欧州連合(EU)が7・5%増だった。中国は、米中対立の長期化も視野に入れて米国以外の国・地域への輸出拡大を急いでいる。
輸入は、米国からが12・6%減と下落幅が大きいが、ASEANからも0・8%減、EUも2・5%減とさえない。中国では不動産不況を背景とした内需低迷が続いており、輸入に影響が出ているとみられる。
日本とは輸出が3・3%増、輸入が5・7%増。
人口14億人を抱える巨大市場に対し、各国企業は販売拡大を狙っている。中国・上海で開催中の総合見本市「中国国際輸入博覧会」では、紅茶を中国に輸出しているスリランカ企業の男性スタッフが「中国市場は大きく、販路が拡大できれば利益も大きくなる」と期待した。米国産の食品や農産物を扱うブースでも、貿易戦争の一時休戦による商機拡大を見越してカリフォルニア産ワインなどを中国のバイヤーにアピールしていた。