ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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 サイサリス 重装備仕様
 従来のビームバズーカ、Iフィールド大型シールドに加え
 
 ジャイアント・バズ:2丁
 ロケット・バズーカ:3丁
 対艦ライフル:1丁
 MLRS:4基 
 シュツルム・ファウスト:4丁
 3連装ミサイル・ポッド:2基
 予備ビームバズーカ1丁
を装備した重装備仕様。




軌道エレベーター攻略作戦(後編)

 

 シンデレラ相手に遠距離戦は愚策と言うべきだ。

 特にビーム兵器はシンデレラの独壇場と言っても良い。付かず離れず、ビームサーベルでの接近戦を主軸に戦うしかない。

 

「シンデレラ…聞こえるか!シンデレラ!」

 

 美しいアイスブルーの瞳は炎のような真っ赤な瞳になってしまっていた。

 ガラスの靴が高速回転しソーンを吹き飛ばすとビームの雨を降らせる。

 シールドのIフィールドで防ぎながらミサイルを発射、本来なら跳ね返されるがそのミサイルは近接信管だ。

 ガラスの靴で受け止められた瞬間、爆発しガラスの靴ごと吹き飛ばされ体勢を崩すシンデレラ。

 

「……」

 

「シンデレラ!」

 

 EXAMシステムによる爆発的な加速力で接近するがシンデレラも腕輪からビームサーベルを形成し受け止められる。

 ガラスの靴がこちらに来るのと同時にシュツルムファウストを豪華に二発使って靴の1つを破壊し墜落していく。

 

 おかしい、シンデレラの滞空性能はそんなに高くなかった筈だ。なのに高度が落ちる気配すらない、それにガラスの靴のビームはあんなに連発できる兵装じゃなかった筈だ。

 

(性能が想定より遥かに上がっている。エイブが改良したにしてもおかしい…まさか)

 

 頭に浮かんだのはラプチャーとニケが融合している姿。

 

「思ったよりヤバイな…」

 

 Iフィールドも使うごとにオーバーヒートをする。盾のラジエーター機能で冷却を加速させているが頻度が短くなれば危ない。

 ゴッデスは軌道エレベーターに侵入している、危なくなれば逃げれば良いかもしれないがコイツが後ろから追いかけるなんて事があれば前門にクイーン、後門にシンデレラなんて笑えない状況になる。

 

「ここでやるしかないのか…」

 

ーー

 

 軌道エレベーター貨物室

 

「ソーン、大丈夫でしょうか?」

 

「今は彼女を信じるしかない」

 

 宇宙服に着替え終わった指揮官、それと全員がソーンの用意したバリュートパックを着け終わる。 

 若干動きにくいが見た感じより動ける、これで戦闘ができるように配慮された結果だろう。

 もしもの時のためにフライングアーマーも積んでおいた。

 

「予測はしていたがまさかシンデレラが侵食されているとは…」

 

「ソーンが居なかったら今頃撤退を余儀なくされていたでじしょう」

 

「元々、彼女は長い期間、ラプチャーの群れの中で生活していたのです。しぶとさはゴッデスでも随一でしょう」

 

「そうですね。シンデレラの開発にも携わっていましたし、勝ち目がないわけではない筈です」

 

「ソーン…」

 

「元気出せっておちびちゃん」

 

 落ち込むスノーホワイトにレッドフードがヘッドロックをかける。

 

「アイツが作ってくれたチャンス。無駄にするな」

 

「…はい!」

 

 本来、貨物用エレベーターでは人間である指揮官は耐えられない。だがそれを宇宙服に備えられた様々な機能を使って無理やり耐えているのが現状、指揮官自身も体調万全と言う訳には行かなかった。

 

「指揮官…大丈夫ですか…」

 

「あぁ…。思ったより楽だよ…二日酔いよりマシかな」

 

 冷や汗を流す指揮官を心配するリリーバイスであったが何か違和感を感じる。

 

「なんか熱いな?」

 

「貨物用なので当然なのでは?」

 

 レッドフードは手のひらで顔を扇ぎながらドロシーに言うとドロシーも同じように感じているもののこんなものだろうと割りきっていた。

 

「そうか、俺はあまり感じないが」

 

「いや、おかしい...。この熱さは尋常ではないぞ!」

 

 紅蓮が警戒するように剣を取り出した瞬間、リリーバイスと指揮官の眼前が真っ赤に染まる。

 突然の出来事に思考が止まるが、すぐに周囲を見渡すと紅蓮、ラプンツェル、ドロシーが消えていた。

 

「3人はどうした!」

 

「吹っ飛ばされた!」

 

 ビームに焼かれた訳ではなく、吹き飛んできたエレベーターの壁に激突し、避けきれず外に放り投げられてしまった3人は無事であるがもう復帰は不可能だ。

 

「保険が本当に役に立つとはな!」

 

「バリュートパックが壊れていないことを祈るだけですね」

 

「二人とも捕まってください。出来るだけ近くに居ましょう」

 

 3人とも幸い、軌道エレベーターに沿って降下しているため知らない土地に落ちると言うことは無さそうだ。

 

「みんなが!」

 

「落ち着いてスノーホワイト。3人は無事よ、こういう時のために準備はしているわ、それよりも」

 

 間髪いれずの第2射が貨物用エレベーターに突き刺さるのだった。

 

ーー

 

 ソーンの対艦ライフル、シンデレラのガラスの靴の1つが爆散する。爆炎に包まれながら突撃しサーベルを振るうが後退し避けられる。

 

(取った!)

 

「……っ!」

 

 その瞬間、ソーンはビームサーベルの出力を上げて 刀身を伸ばすとシンデレラの右腕を切り飛ばす。

 決定的なダメージだったがその瞬間、左の腕輪からビームが放たれソーンの腹に直撃する。

 

「っ…まだまだぁ!」

 

 狙うは頭部、シンデレラの頭に向けてサーベルを振るうが脳裏にキラキラした目で見つめてくる彼女の姿が映るがそれを振り払うように大声を出しながら攻撃をするが避けられてしまう。

 

「ケホッ…ケホッ…」

 

 血反吐を吐きながらも対峙するソーンはさらに加速させるのだった。

 

ーー

 

 奇襲から立ち直れない、反撃の余地がない攻撃に耐えるしかないリリーバイスたちは第2射をなんとか耐え抜いていた。一番心配だった指揮官はリリーバイスの手によって救いだされ最悪の事態は避けることができた。

 

「超長距離の高出力ビーム攻撃です。おそらく宇宙ステーションから!」

 

「発射地点が分からねぇ。遠すぎる」

 

「貨物エレベーターは粉々にならない限り稼働し続ける。到着するまで耐えるしかない」

 

「次が来ないのを見ると出力の問題なのか射角の問題なのか…3人が脱落したのは大きいですね」

 

「リリスがいればまだ勝機はある。このまま…」

 

 指揮官が話していると宇宙空間を移動する光がそのままこちらへと向かって来ていた。

 

「全員、ハイド!」

 

 突撃してくる光を避けるとそのままエレベーター内に着地する。

 

「ひっ!?」

 

 ゆっくりと立ち上がりこちらを睨み付けてくるその姿を見てスノーホワイトが怯える。

 昆虫のような下半身はラプチャーの特徴であるがその上部にニケが繋がっていた。だが頭部が存在せず、その接続部はグチャグチャであり、研究所で見た融合体を連想させるものであった。

 

 ソーンが居たら言ったであろう《ゲルズゲー》と。

 

 ビームライフルが火を吹くが全員が躱し、スノーホワイトはライフルで、レッドフードは対艦ライフルで反撃するが下半身の装甲は分厚く弾かれる。

 

「堅いな!」

 

 リリーバイスが動く、彼女の一撃は上部のニケごと真っ二つに切り裂こうと手を振るうが展開されたエネルギーシールドによって防がれる。

 

「っ!?」

 

 リリーバイスの一撃が防がれた。その真実は全員を驚愕させるが衝撃は殺しきれず、安定している筈の下半身が浮かび上がる程であった。

 

「一発で終わるかよ!」

 

 レッドフードと対艦ライフルに持ち変えたスノーホワイトは同じ箇所に攻撃を集中、装甲に穴が空き爆炎が起きる。

 

「今だ!」

 

 指揮官の声と共にリリーバイスはゲルズゲーを真っ二つに両断する。

 撃破したと同時に爆発するゲルズゲーであったがその爆発は予想を遥かに上回る爆発と衝撃波によりレッドフードとスノーホワイトもエレベーター外に吹き飛ばされる。

 

「リリス!」

 

「指揮官!」

 

 ニケが耐えられない衝撃波に指揮官が耐えられる筈もなく投げ出される指揮官を追いかけようとするも直近に居たリリーバイスのバリュートパックは目に見えて損傷してしまっていた。

 

(なにか!)

 

 周囲を見渡すと念のために積んでいたフライングアーマーがあった。

 

ーー

 

 ゴッデスの作戦失敗を知り得ないソーンは窮地に陥っていた。Iフィールド冷却中に集中砲火を受け、シールドを投棄、武器も全て使い尽くし、EXAMも切ったがあと数秒しか使えない、血を吐きながらサーベル2本だけで戦っていた。

 

「くっ!」

 

 残り2機のガラスの靴による攻撃で肝であるフレシキブル・スラスター・バインダーも損傷。

 高度を維持できずに墜落していくソーンを見て勝利を確信したシンデレラは左の腕輪からサーベルを出力させトドメとばかりに突進してくる。

 

(…驕ったな!)

 

 最後のEXAMシステムを再起動し、シンデレラの後ろに回り込む。ワンセコンドトランザムならぬワンセコンドEXAMだ。

 左手でシンデレラの頭を掴み、ビームサーベルを突き立てんと振るうが阻止される。

 シンデレラの右腕がソーンの首を掴み絞めはじめたのだ。

 

「なんで…右腕が……」

 

 確かに右腕は切断したはずだが完全に再生している。あえて再生しなかったのか、この時に備えて。

 右腕を引きちぎられ、ビームによってスラスターを完全に破壊されたソーンはシンデレラに捨てられ落下する。

 

「シンデレラ…すまない」

 

 降り注ぐビームの雨を避けることも出来ずに浴び、身体中、穴だらけになったソーン、それは頭部も例外ではなく大きな穴が空いてしまう。

 

「ソーン!」

 

 勝ち誇ったシンデレラの横を掠め、ベースジャバーを操って現れたのは先に戻ってきていた紅蓮であり、彼女は穴だらけの体を回収すると脇目もふらずに戦域を離脱。

 迷いのない、見事な回収であった。

 

 シンデレラは特に追撃をせず、そのまま静かに浮いているのだった。

 

 

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