報道各社の10月の世論調査で、発足直後の高市早苗内閣の支持率は60~70%台となった。

 細かくひもとけば、朝日新聞が68%(25、26日実施)毎日新聞が65%(同)、読売新聞が71%(21、22日)、産経新聞75・4%(25、26日)、日経新聞が74%(24~26日)、共同通信が64・4%(21、22日)だった。

 同時に調査された自民党支持率は、朝日30%、毎日26%、読売32%、産経28・1%、日経36%、共同31・4%となった。

 内閣支持率は歴代でもトップクラスの高さである。少なくとも岸田文雄、石破茂政権のほぼ倍という高水準である。自民党支持率も高くなり、その反面、国民民主党や参政党が低下している。日本維新の会は高くなっていることが多い。

 こうした結果をみると、高市政権は、自民支持者から失われていた保守層の回復に一定の役割を果たしているだろう。また、公明党の離脱、維新との連立にも高評価が多い。

 ここまで世論の評価が高いと、自民関係者から、衆院での少数与党を打開するために解散・総選挙の声も聞こえてくる。

 もっとも、高市首相の性格は、与えられた仕事をきっちり行うというものである。ガソリン税減税、補正予算の成立が優先となるだろう。

 国会は21日に召集され、12月17日までとなる。自民党は今年度補正予算案を12月上旬ごろに提出し、立憲民主党はガソリン税の暫定税率廃止法案を10月下旬にも成立させることを主張していた。こうした国会日程が少しでも早まると、会期末に、高市政権による解散が理屈上は可能になる。

 思いがけず、国会で議論紛糾し、野党から内閣不信任案がでるかもしれない。もっとも、その場合、高市首相は衆院での首相指名において、1回目の投票で過半数を上回っているため、不信任案は否決される可能性が大きい。むしろ、高い支持率を背景として、自ら解散を決断するかもしれない。その場合、総選挙の投票日は解散から40日以内となる。

 気の早い話だが、政界には「青木率」といわれる数字がある。内閣支持率と自民党支持率を合わせたものだ。50を切ると政権運営が危ないというが、この数字は国政選挙の勝ち方にも関係している。朝日98、毎日91、読売103、産経103・5、日経110、共同95・8。いずれもご祝儀の分が含まれているものの、高い数字だ。もし総選挙をすると、自民は公明の助けなしで衆院過半数になる勢いである。とはいえ解散するかどうかはつまるところ、高市首相の専権事項である。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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