農林水産省が10月末、2026年産の主食用米の需給見通しを発表した。生産量の目安は、711万トンで、25年産の収穫見込みと比べて減産となった。石破茂前政権が掲げたコメ増産を事実上撤回し、従来の「需要に応じた生産」に戻した格好だ。コメ政策はどこへ向かうべきなのか。

 26年産の需要量は694万~711万トンとしている。ちなみに、小泉進次郎前農相の時代の25年産は、生産量728万~745万トン、需要量697万~711万トンとしていた。需要量はほぼ同じであるが、生産量は17万~34万トン下方に修正された。

 現在の鈴木憲和農相は需要量に自信を持っているようで、下方修正された生産量でも「余裕を持って設定した」とし、「需要に応じた生産」という。その背景として、生産が需要を上回り、米価が下落することに強い警戒感があるようだ。

 しかし、24年産でも、生産量679万トンは当然のことながら減反政策により外れていないものの、需要量は当初の政府見通しでは674万トンとしながら、9月時点では711万トンという見通しになっており、当初は過小需要見通しだった。

 このように政府による需要見通しは当たらない。というか、当てることはかなり困難だろう。というのは、政府の需給見通しがうまく当たるのであれば、それを使ってコメ先物市場でもうけることができるが、そんな話は聞いたことがない。

 かつては需要量の過大見通しが多かったが、最近数年では過小見通しが多く、例えばここ3年間では、需要が生産を上回る超過需要は20万~40万トンになり、それが結果としてコメ価格の10~60%の上昇につながっている。

 小泉前農相と鈴木農相の違いは、ともにコメの需給見通しを掲げながら、需要量は同じで、生産量が違うだけだ。需要を過小見通しする最近の傾向から、小泉前農相のほうがより需要に見合った生産になる公算は多少あるものの、需要見通し自体が当てにならない以上、どちらも同じ穴のむじなだ。

 農水省は当たらない需要見通しをやめるべきだ。と同時に、当たらない需要に見合う生産という考え方もやめるべきだ。需給見通しをやめて、米農家に一定の所得補償をして、価格が下落しても上昇しても一定の所得が確保できるようにしたらいい。市場価格の上昇や下落による効果は最終消費者に帰属するようにしたらいい。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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