日銀による早期の利上げ再開が視野に入ってきているのか。10月の利上げは、日米交渉の合意もあり、米関税政策が国内外の経済に与える懸念が後退したことを背景に見送られた。ただ、利上げは積極財政の高市早苗政権が誕生した期待が膨らむ株式市場に冷や水を浴びせる恐れもある。果たして日銀は利上げに踏み切るのか。
ほとんど、全てのマスコミ論調は、日銀の利上げは既定路線だ。報じているマスコミ自身も日銀からのリークに踊らされているだけで、根拠を知らないようだが、以前の本コラムでは書いている。
植田和男総裁は、任期中に政策金利を中立金利とされる2%程度まで引き上げたい。任期は2028年4月まで。植田総裁は金利の正常化を自分のレガシーにするためには、任期中に2年に1回の割合で0・25%利上げとなる。25年は2回くらいとなり、1月に利上げしたので、あと1回あるというわけだ。
つまり12月18、19日の日銀金融政策決定会合で利上げするかどうかが注目されているのだ。
そもそも論をいえば、日銀の金融政策はインフレ目標2%で、安倍政権ができる時の13年1月から行われている。
このインフレ目標は世界中の中央銀行で採用されているので、運営方針も確立している。その一つにビハインド・ザ・カーブがあり、インフレ率が2%を超えたら利上げではなく、2~4%では動かない。
直近9月の前年同月比インフレ率は、総合指数は2・9%の上昇、生鮮食品を除く総合指数も2・9%の上昇、物価基調を表す欧米コアの食品及びエネルギーを除く総合指数は1・3%の上昇。どれをとっても利上げする環境ではない。特に欧米コアが1・3%というのは、今の日本ではインフレでないと言えるだろう。
植田総裁が中立金利まで上げたいと思うのはそうだとしても、インフレ目標の下、自分の任期中の実現には現時点では無理がある。
高市政権では、ガソリン税減税が26年1月から実施される。これはさらに各物価指数を低下させる。そうした政府の政策を考慮せず、日銀が勝手に想定したスケジュールで利上げしたら、政府と日銀で齟齬(そご)はないのか。
日銀法第4条には、日銀は「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」とされている。果たして日銀は政府と連絡するのだろうか。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)