高校物理で使う公式を列挙してみました。しかし丸暗記しようとするのはおやめください。物理の問題は公式を覚えておけば解けるというものではありません。本稿は試験前の総チェック、頭の整理、気休めとしてご利用ください。
力学
力の合成・分解
力は平行四辺形の法則によって合成したり分解したりすることができます。物体の運動を考える際は『運動方向』と『運動方向と垂直な方向』に分解することが多いです。
力のつり合い
力がつり合っているとき、物体のスピードは 0 か等速です。逆に、0 か等速のとき、力はつり合っています。
作用・反作用の法則
押すと同じ力で押し返され、引くと同じ力で引き返されます。
張力
ピンと張ったロープには、どこもかしこも同じ大きさの力がはたらいています。
静止摩擦力は変化し、最大静止摩擦力は変化せず、動摩擦力も変化しません。
水圧
水圧の大きさは深さのみによります。
浮き沈みに関しては浮力だけでは決まらないことに注意してください。
作用線の定理
剛体の力のつり合いを考えるとき、力をその作用線上で移動させてもその効果は変わりません。
特に2番目の式を使って問題を解くことが多いです。そのとき、回転の中心を計算がしやすい位置に自分で勝手に設定します。
相対速度
「Aに対するBの相対速度」といったら「Aを基準としたBの相対速度」です。相対速度は (対象物)-(基準) です。平面上の相対速度であればベクトルの減法を使います。
軌道の式はそのままを覚えるのは大変なので導出方法を覚えてください。また、斜方投射の式をこねくり回すと最高点の高さや時間、あるいは水平到達距離が求められます。これらも式を暗記するのではなく導出方法を覚えてください。
物体に外部から力がはたらかないとき、または、はたらいていてもその合力が 0 であるとき、静止している物体は静止し続け、運動している物体はそのまま等速度運動(等速直線運動)を続ける。
(保存力のみがはたらく場合)
運動エネルギー
あらい水平面を進む物体のエネルギー
あらい斜面をすべり下りる物体のエネルギー
弾性衝突(完全弾性衝突) 非弾性衝突 完全非弾性衝突
等速円運動の角速度
惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く。
惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である。
惑星の公転周期
∴
第1宇宙速度(地表すれすれを飛び続けるための速度)
第2宇宙速度(脱出速度)
電磁気
- 電気力線は正電荷から出て負電荷に入る。
- 電気力線は途切れたり急に始まったりしない。
- 電気力線は交わったり枝分かれしたりしない。
- 電場の強さが
[N/C] の場所に 1m2 当たり 本の密度で電気力線を描くことにすると、電場の強さを電気力線の密度で表現できる。
総量
電位差(電圧)
- 等電位面に沿って電荷を動かしても仕事は 0 。
- 等電位面と電気力線は常に直交する。
- 等電位面が密なところは電場が強い。
- 導体内部に電場は存在しない。
- 導体はどの部分も等電位である。
- 導体表面の電場の方向は導体表面に垂直である。
コンデンサーの並列接続の合成容量
コンデンサーの直列接続の合成容量
コンデンサーは
- 横方向に分割できる。
- 縦方向に分割できる。
- 順序を変えられる。
- 導体を挟んだ場合は、導体部分が圧縮されて無くなったとみなすことができる。
- 誘電体を挟んだ場合は、2つのコンデンサーを直列に接続したとみなすことができる。
電気回路の任意の分岐点について、そこに流れ込む電流の和は、そこから流れ出る電流の和に等しい。
電気回路の任意の一回りの閉じた経路について、電位差の和は 0 である。
- 磁力線はN極から出てS極に入る。
- 磁力線は途切れたり急に始まったりしない。
- 磁力線は交わったり枝分かれしたりしない。
- 磁場の強さが
[N/Wb] の場所に 1m2 当たり 本の密度で磁力線を描くことにすると、磁場の強さを磁力線の密度で表現できる。
磁場の向きは右ねじの法則に従う。
行っちゃーいやよ来ちゃいやよの法則
磁石を速く動かすほど、
磁石の磁力が強いほど、
コイルの巻き数が多いほど、
発生する誘導起電力が大きくなる。
波動
波に関するグラフを読み取るときは、横軸が
屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ進むときは臨界角は存在しない。全反射は起こらない。
光の分散
<波長が長い>赤→橙→黄→緑→青→藍→紫<波長が短い>
(凸レンズ)
(1)光軸に平行な光線は、凸レンズを通った後、焦点を通る。
(2)凸レンズの中心を通る光線は、そのまま真っ直ぐ進む。
(3)焦点を通る光線は、凸レンズを通った後、光軸に平行に進む。
(凹レンズ)
(1)光軸に平行な光線は、凹レンズを通った後、レンズ手前にある焦点から出たように進む。
(2)凹レンズの中心を通る光線は、そのまま真っ直ぐ進む。
(3)レンズ後方の焦点に向かう光線は、凹レンズを通った後、光軸に平行に進む。
レンズの一部が汚れていても像は映ります。若干うすくなりますが。
凹面鏡で反射する光
(1)
光軸に平行な光線は、反射し、焦点Fを通る。
また、光の逆行により、焦点Fを通る光線は、反射し、光軸に平行に進む。
(2)
球の中心Oを通る光線は、反射し、再びOを通る。
凸面鏡で反射する光
(1)
光軸に平行な光線は、反射し、焦点Fから出たように進む。
また、光の逆行により、焦点Fに向かう光線は、反射し、光軸に平行に進む。
(2)
球の中心Oに向かう光線は、反射し、再び同じ経路を戻る。
熱力学
高温物体が失った熱量 = 低温物体が得た熱量
熱力学第1法則(外力の仕事を
熱力学第1法則(気体の仕事を
仕事と圧力と体積変化の関係
外部から加えた熱量を
定積変化
定圧変化
等温変化
断熱変化
エネルギーの変換において、それに関わったエネルギーの総量は一定である。
原子
物質波(ド・ブロイ波)
α崩壊:α線(
β崩壊:β線(
γ崩壊:γ線(電磁波)を放出する放射性崩壊。質量数も原子番号も変わらない。
| 実体 | 電荷 | 電離作用 | 透過力 | 電場中の方向 | 磁場中の方向 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| α線 | 高速の | 大 | 小 | 負極へ | 電流と同じ | |
| β線 | 高速の電子 | 中 | 中 | 正極へ | 電流と逆 | |
| γ線 | 短波長の電磁波 | 0 | 小 | 大 | 直進 | 直進 |