「仕掛けたのは創価学会に近い人物」 自民党“造反議員26人リスト”が「公明党からのメッセージ」だと言われるワケ
“公明票”への依存度が高い議員
自民党の高市早苗総裁が公明党との連立政権を解消した10月中旬、永田町から〈首班指名時の自民「造反議員」リスト〉を含む文書がSNS上で拡散された。 【実際の写真】「コメ買ったことない」元農水相の名前も… 自民党の「造反26人リスト」
政治部デスクが言う。 「石破茂前首相の後継を選ぶ首班指名選挙を巡り、高市氏や国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の斉藤鉄夫代表が選ばれる場合と、複数のシナリオが書かれていました。SNSでバラまいたのは、立憲民主党の有田芳生衆院議員らです」 この文書の最後の部分で、 「首班指名選挙の際に造反する自民党衆院議員のリストとして、江藤拓元農水相ら26人の名前と選挙区が明記されていたのです」 いずれも選挙で公明票への依存度が高い議員とされるが、記載された当人たちは猛反発。江藤氏はSNSで“このような事実は一切ございません”と否定した。
「その気になれば落選させられる」というメッセージ
「その後、21日の首班指名選挙ですべての自民党議員が高市氏に投票した。高市首相の誕生で関係者たちはこの文書を“とんだガセネタだった”と片付けましたが、一部では“リストはまだ生きている”とのうわさが。官邸が文書の出所を調べる過程で浮上した、不穏な情勢が理由とされています」 どういうことか……。 「仕掛けたのは、公明党の支持母体・創価学会に近い人物とか。立民の有田氏は、以前にジャーナリストとして日本会議などを取材した経験があり、彼らと対立する創価学会にパイプがある。その点でも、リストに書かれた26人に対する“公明党がその気になれば次期衆院選で落選させられる”とのメッセージとも読めるんです」
「リストが生きてくるのは会期末」
26人という数にも意味があるという。とある政府関係者が後を引き取る。 「このリストが本当に生きてくるのは会期末だろう。衆院の過半数は233議席で、会派で見ると立民、国民民主、公明、れいわ新選組、共産、こどもという野党6会派に立民を離脱中の玄葉光一郎副議長を加えれば合計220議席。野党がまとまって高市内閣への不信任案を出した際、自民から13人が賛成するか26人が欠席すれば、賛成多数で可決されることになる」 会期末、野党は衆院で内閣不信任案を提出することを半ば恒例としてきた。 「あれは26人に限らず、すべての自民党議員への“内閣不信任案に欠席か賛成せよ”とのメッセージだ。不信任案が可決されれば、高市首相が衆院を解散して総選挙に踏み切るのは確実だからね。自民党には公明票が野党候補に流れると当選が危うい議員が少なくない。“ウチの票がどうなるかは不信任案への対応次第だ”との脅しとも取れ、多くの議員はいまから震え上がっているよ」 野党幹部も証言する。 「最近も立民の安住淳幹事長は“まだ政局は始まったばかりだ”と余裕シャクシャクでね。与野党の議席数は拮抗していて、野党が連合政権を成立させても早晩行き詰まる。それなら高市首相の下で総選挙に持ち込み、自民と維新の議席を減らしてから政権を取った方がいいんだよ」 政権の行方は“紙”のみぞ知る、のか。
「週刊新潮」2025年11月6日号 掲載
新潮社