「みんなで大家さん」の造成工事と用地の賃貸借契約、今月末で期限…成田市と空港会社が延長に応じるか
成田空港周辺の開発用地に出資すれば利益を得られるとする不動産投資商品「みんなで大家さん シリーズ成田」の配当が遅れている問題で、千葉県成田市が事業者に許可した造成工事の期限が30日に迫っている。事業者が成田国際空港会社(NAA)から借りた用地の賃貸借契約も同日に期限を迎える。事業者は「継続に向けて協議中」としている。市が期限延長に応じるか、NAAが契約を更新するかは開発事業の存続に関わるため、判断が注目される。
「大家さん」は不動産会社「共生バンク」(東京都)のグループが手がける投資商品だ。シリーズ成田では約1560億円の出資金を集め、出資者に年利7%の配当を支払ってきた。だが、支払いは7月以降、4か月連続で遅延している。
同社は約45万6000平方メートルの用地にホテルや展示場などの建設を計画し、2019年10月に市から都市計画法に基づく造成工事の許可を受けた。20年9月には、用地全体の約4割に当たる約19万平方メートルをNAAから年1800万円の賃料で借りる契約を結んだ。
開発登録簿によると、造成工事は21年3月末に完了する予定だったが、3度延期され、現在の完了予定期日は今月末。NAAとの契約も当初から2度延長されて今月末までだが、工事は終わっていない。
造成を続けるためには、市が期限の延長に応じ、NAAが契約を継続する必要がある。
市は工期の度重なる延期を踏まえ、今後の期限延長ではNAAとの土地賃貸借契約が続いていることなどを確認すると共生バンクに伝えている。一方のNAAは「成田市などの法令許可が継続されていることが必要だ」とする。NAAと市が互いの動向を注視している状況だ。
500万円を出資した40歳代男性は「成田市や成田空港が関連した大規模な開発プロジェクトなので信用して投資した。市とNAAにも責任があるのではないか」と憤っている。