カナダ人の64%が「米国は好ましくない」
ところが近年、米国とカナダとの間では貿易摩擦が深まっており、特にドナルド・トランプ米大統領がカナダに対して「51番目の州にしたらどうか」などの発言したことからカナダ人の反米感情が悪化してきた。
現に、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が今年7月24日に公表したカナダ人を対象とした世論調査では、米国に「好意的だ」と答えた人は約34%と、同調査開始以来最低だった。
(「好ましくない」は64%、「非常に好ましくない」は39%だった)
(Canadian opinions of US and Trump are at or near historic lows | Pew Research Center)
また、調査機関のリガー(Leger)が実施した世論調査では、米国を「同盟国」と答えた人は27%、「中立国」と答えた人が30%、「敵対国」とした人はなんと26%もいた。
(Tariffs: Court Rulings Diminish Canadians' Confidence in U.S. Trade Relations - Leger)
こうしたカナダ人の対米観は、外交問題評議会=Council on Foreign Relations(CFR)の分析によれば、トランプ氏による第51州発言や関税政策など複数の要因が絡んでいることは間違いないという。
カナダ人の米国嫌いはリサーチ・コムの世論調査でも出ている。
G7(先進7か国)の中でカナダ人が一番好感を持っているのは日本(71%)、次いで英国(70%)、イタリア(68%)、ドイツ(67%)、フランス(65%)、米国は54%と最下位だ。
(Release_Countries_CAN_24Jul2024.pdf)
米国への不満・反米的な感情は、「自国チーム=カナダ」「米国チーム=相手」というスポーツにも反映している。
ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、ワールドシリーズはトロント・ブルージェイズ対ロサンゼルス・ドジャースではなく、「カナダ対米国」と考えるブルージェイズ・ファンの声もあるという。
(How Trump's antagonism of Canada is affecting the World Series - Los Angeles Times)
カナダ人の対米感情悪化を反映してか、カナダ人が米国旅行を控える動きや米国製品の購入を控えるという動きも出ている。
例えば、トロント・ブルージェイズとリーグ優勝を争ったシアトル・マリナーズの本拠地がある米ワシントン州シアトル市。ワシントン州は、カナダのブリティッシュコロンビア州と国境を接している。
州の中心都市であるシアトル市を含むキング郡では今年、観光客数が昨年比で26%も減りそうだという。
その主な原因がカナダからの観光客数減で、とりわけカナダ人観光客は支出額が多い(2024年に同郡を訪れた観光客が支出した額の6割がカナダ人観光客によるものだった)ため、シアトル市やキング郡経済への大きなダメージが懸念されている。
(Canadians swore off visiting the US over Trump. Blue Jays’ MLB playoffs brought them back | AP News)
ただ、対立構造は視聴率を稼ぎやすいためかメディアが好んで記事にするが、筆者の友人であるカナダ人ジャーナリストのR氏は、記事による印象はやや実態から離れているのではないかと指摘する。
「米メディア報道では、カナダの反米感情が明確に上がり、カナダ国民の不安・反発が強まっている・・・という表現が頻繁に使われているが、すべてのカナダ人が反米なわけではない」
では、カナダではどのように報道されているのだろうか。ワールドシリーズや反米感情などについての報道を、米国やカナダのメディアなどで調べてみた。