長崎大病院 3年連続赤字か 構造的な問題…診療報酬の改定と制度見直しを訴え

長崎新聞 2025/11/03 [11:01] 公開

物価高などの影響で赤字が続く長崎大学病院=長崎市坂本1丁目

物価高などの影響で赤字が続く長崎大学病院=長崎市坂本1丁目

大きい写真を見る
長崎大学病院(長崎市)の2025年度決算が3年連続で赤字となる可能性があることが、病院関係者への取材で分かった。物価高や人件費上昇で経費が膨らんだのが要因。関係者は、国が診療の対価として2年に1度定める現行の診療報酬では賄いきれない「構造的な問題」としており、物価高などを適切に反映した診療報酬の改定と制度見直しを訴えている。

 同病院の業務損益は22年度決算は5億3800万円の黒字だったが、23年度は7億1500万円の赤字に転落。赤字は16年度以来だった。23年5月の新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に伴い、国からのコロナ関連の補助金が終了。新入院患者数や初診患者数もコロナ禍前の水準に戻らず、病院収入が伸び悩んだことが影響した。

 24年度は診療報酬の改定があり、医師や看護師らの人件費などに相当する「本体」部分が0・88%増加。ただ物価高騰や人件費の上昇分を補うには至らず、赤字額は前年度より約2億6千万円増え9億7100万円に膨らんだ。

 国立大学病院の財務状況はどこも厳しく、国立大学病院長会議は今年10月、全国42病院の4~6月の収支を基にした試算で、33の病院が25年度決算で赤字見込みと発表。長崎大学病院は見込み額は明らかにしなかったが、同病院もこれに含まれるという。同病院を運営する国立大学法人長崎大の田頭𠮷一理事(財務・施設担当)によれば、同法人が24年度に試算した25年度の財政見通しでは、同病院は12億円程度の赤字との結果が出ていた。

 同病院は現在、経費節減に取り組みつつ、医療機器など必要なものは購入して医療レベルを保つ努力を続けているが、赤字が長期化すれば、影響が出てくる可能性もあるという。

 田頭理事は「診療報酬は公定価格のため、医療機関は物価高で経費が増えても診察料などを自由に引き上げられない。これに加え、高度医療や人材教育を担う大学病院は、高額な医療機器などを購入する必要があるため赤字が膨らむ構造的な問題がある」と説明。26年度の診療報酬改定について「地域医療の中核となる大学病院の経営が困難になれば、地域全体の医療の衰退につながる。医療機関が置かれた深刻な状況について理解をお願いしたい」と話した。