漁場の海面にいけす設置 越喜来のサーモン試験養殖 稚魚投入は今月中旬見込む(別写真あり)
令和7年11月5日付 1面
大船渡市三陸町越喜来の越喜来湾で3日、水産大手㈱ニッスイ(田中輝代表取締役社長執行役員、本社・東京都)と大船渡市の越喜来漁業協同組合(舩砥秀市代表理事組合長)が共同で取り組むサーモンの試験養殖に使用する海面いけすの設置作業が行われた。陸上で組み立てた円形のいけす1基を海に浮かべ、養殖漁場まで漁船でけん引。今後は稚魚を投入し、今月中に本格的に養殖がスタートする見込み。
同日は、早朝から海面養殖の飼育、管理を担うニッスイグループや漁網メーカーの担当者が越喜来漁港で作業。事前に組み立てていた直径25㍍の円形海面いけす1基の型枠を大型クレーン2台でつり上げ、海面に浮かべた。
いけすはその後、同漁協の定置網船とつながれ、けん引される形で自動給餌遠隔管理システム装置とともに漁場へと移動。4日には丈10㍍の網が入り、本格スタートに向けて準備が着々と進められている。稚魚の投入は今月中旬の予定。
作業を見守った地域住民からは「昔と比べて海などの自然環境が変わってしまった。事業が良い方向に進んでいくことを願う」との声も聞かれた。
ニッスイと同漁協による試験養殖は、近年の世界的なサーモン需要の高まりや、秋サケ等の主要魚種の不漁が続いている状況を踏まえてのもの。国内外で幅広い魚種の養殖を手がける同社では、県沿岸南部でサーモンの試験養殖に乗りだし、令和2年から大槌町の新おおつち漁協、同5年から陸前高田市の広田湾漁協と共同で、ギンザケやトラウトサーモンを養殖している。2030年までの長期ビジョンで、持続可能な養殖事業を目指す中、国内サーモン養殖事業においても、高品質な養殖サーモンを効率的かつ安定的に生産し、同年に1万㌧の生産体制の実現に向けた事業規模の拡大に取り組む。
試験場所は、越喜来漁港(浪板地区)と崎浜漁港の中間に位置し、現在は空き漁場となっている越喜来湾の旧大平定置網漁場。静穏な漁場環境下で、円形の海面いけす1基を使ってトラウトサーモンを飼育する。
種苗生産は、盛川漁協(佐藤由也組合長)が有するサケふ化場の遊休期間を活用して行い、運搬コストの低減にもつなげる。飼育、管理はニッスイグループの企業が担い、1期目(令和7年11月~8年7月)は2~4万匹(水揚げ目標60㌧)、2期目(8年11月~9年7月)は5~7万匹(同120㌧)の生産を見込んでいる。
県や市などの関連機関と連携のうえ、生産性や採算性を検証し、周辺環境や既存漁業への影響も確認しながら事業化を目指す。同漁協では、2年間の試験期間を経て、区画漁業権の免許を取得し、新たな養殖種としての本格導入につなげたい考え。