韓国大統領は高市首相について、「懸念することもあった」という前置きをした上で、「自分も一政治家としてはリベラル陣営で闘ってきたが、今は一国を背負う責任を持っている者として、一政治家の時とは立場が違う。それを高市首相にも感じた」という評価をした。さらに高市首相が韓国の国旗に敬意を示す「異例」な態度を取ったことも、韓国人は好意的に受けとめているのだ、と店主は語り出したのだった。

 実際、韓国の世論では高市首相は好意的な戸惑いと共に受けとめられているようだ。SNSでも韓国のフェミニストたちには評価されている。夫に自分の姓を名乗らせているとか、児童ポルノに反対しているとか、大型バイクに乗っていたとか、パンク好きだったとか、そういう「従来の従順な女らしくない」という面がクローズアップされているという。そういう好意的な評価は日本のフェミニストからは一切聞かない声でもある。

 高市首相の、恐らく長年習慣になってしまったのであろう、顔に張り付いてしまったかのような“鉄の笑顔”に、私は女性政治家としての苦労を見るが、それを「媚」と見る人もいるのだろう。そしてああいうふうに「鉄の笑顔」をしなければ、そこまでしなければこの社会は女性を評価しないのか……と傷つく女性がいる現実への傷つきは、私のものでもある。だからこそ……。

 子供の頃、なぜエライ人はみんな男の人ばかりなのだろう、と不思議だった。そういう「歪さの連続」が私をフェミニストにしたのだと思う。今の女の子には、世界はどう見えるだろう。自分の国の一番エライ人が女性、という世界は、今の女の子たちの未来を少しでも変える可能性はないのだろうか。そしてそのトップに立つ女性が、性と関連づける言葉で貶められていたら、子供の世界からはどう見えるのだろうか。一国を背負う立場として、「一政治家時代とは違う」、極右に「振り切ることはできない」という韓国大統領の感想は甘い見通しかもしれないが、そういう期待と監視を少なくともしていかなくてはいけないということなのではないか。

 その上で、言わせていただければ、米軍基地で楽しそうにしている姿を見せられたのは、私は女への裏切りではなく、沖縄への何重もの暴力だと思う。そこには強く抗議したい。

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