参政党は10月27日、日本国旗を破いたり、燃やしたりすると罪になる「日本国国章損壊罪」を新たに盛り込んだ刑法改正案を参院に提出した。自民党と日本維新の会の連立政権合意書で、同様の罪を来年の通常国会で制定することを目指すとしている。過去にも廃案となっている高市早苗首相肝いりの法案だが、なぜいま復活したのか。その必要性は?(中川紘希、福岡範行)
◆自民・維新も刑事罰創設に前向き
参政党案の条文には「日本国に対して侮辱を加える目的で、日本国の国旗を損壊などした者は、2年以下の拘禁刑か20万円以下の罰金に処する」とある。刑法では外国の国旗の損壊などを処罰する「外国国章損壊罪」が規定されているが、日本国旗は対象とされていないため、バランスを是正するという。
法案提出に際し、神谷宗幣代表は、7月の参院選で党の街頭演説で市民らが「バツ」印を付けた日の丸を掲げて抗議した事例を挙げ「国家に対する冒涜(ぼうとく)にもなり、早めに法制化しようと選挙中から準備を始めていた」と理由を説明した。
自民党と日本維新の会も同様の刑事罰創設に前向きだ。10月20日に署名した連立政権合意書では「来年の通常国会で日本国国章損壊罪を制定する」と記している。高市早苗首相は今月4日の衆院本会議での代表質問でも維新の藤田文武共同代表の質問に対し、「合意書の内容の実現に向けて具体的な検討を進めていく」と意欲を見せた。この3党がまとまれば衆参で過半数に達する可能性がある。
一方で、自民党内からも慎重論が出る。3日に大分放送が報じたインタビューで、岩屋毅前外相は「日本で誰かが日章旗を焼いたようなニュースを見たことがない。(処罰の必要性の根拠となる)立法事実がないのに法律をつくることは国民を過度に規制することにつながる。必要ないのでは」との見解を示した。
◆自民の狙いは「抗議の取り締まり」?
振り返ると、自民党は野党時代の2012年、同様の刑法改正案を国会に提出した。日弁連が「国家の威信や尊厳は本来国民の自由で自然な感情によって維持されるべきだ。刑罰で国民に強制することは国家主義を助長しかねない」などとする声明を発表するなど反発。結局、廃案となった。
与党復帰後の2021年には高市氏が顧問を務める自民党の保守系議員グループ「保守団結の会」が法案提出を目指したが実現しなかった。大分放送のインタビューで、当時、法案提出に反対したと明かした岩屋氏。5日の「こちら特報部」の取材にも「立法事実はない。議論の場があれば自分の意見を言う」と話した。
また総裁選で高市氏を支援した西田昌司参院議員も2021年のブログで、立法事実がないことに触れ「法律があるからではなく、日本人の慣習や常識として日本国旗を大切にしていくことが重要なのでは」と持論を展開していた。
参政党の動きを注視する小口幸人弁護士は同党の狙いを「演説への抗議など気に入らない行為を警察に取り締まらせようとしているように見える」。また「自民や維新と協議せず単独で法案を提出したことは支持者向けパフォーマンスでは」とも指摘した。
小口氏は「神谷氏が例示した行為は、日本国の侮辱ではなく極右的な主張をする参政党への抗議にしか見えない」として刑事罰ができたとしても適用の対象外との見解を示す。その上で「問題が起きないように何らかの行為を禁止するのが刑法だ。それなのに問題を防げない法案になっており理屈が通っていない」と話した。
◆国旗損壊は今の刑事罰でも対象になる可能性
国旗の損壊は、既存の刑事罰でも対象になり得る。他人の所有物を損壊すれば、...
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