- 2025/11/06 掲載
否定派を黙らせた…3~6年で「AGI革命」到来、教科書に載りそうな「AIの新常識」とは(2/2)
コンセンサスが「教科書に載る」かもしれないワケ
米フォーブス誌は、「シリコンバレーのエリートたちの集団的な信念(サンフランシスコ・コンセンサス)は、自己実現予言であり、いつの日か教科書に記されることになるかも知れない」と予測する。その最大の理由は、「予言が実現するかしないかにかかわらず、サンフランシスコ・コンセンサスが資本の流れと(テック大手の)経営戦略の優先順位を変えてしまった」からである。また「現実にAI向け半導体の奪い合いや相次ぐAIデータセンターの建設は、さながらインフラ整備におけるゴールドラッシュの様相を呈し、とんでもないスピードで進んでいる」と分析している。
おそらくこれが、「サンフランシスコ・コンセンサス」の最も重要な意義である。AGIが必然であり、必ず実現するとの信念がシリコンバレーで共有されているからこそ、過去2年ほどの巨額AIインフラ投資が可能になっているのだ。
逆に言えば、この合意なしに数千億ドル規模の投資を正当化することは困難ではないかと思われる。いずれ儲けを出せると信じられているからこそ、投資が雪だるま式に膨れ上がるわけだ。
たとえばOpenAIは2030年か、あるいはそれよりも早期にAGIを達成した暁に、OpenAIに対して130億ドル(約2兆円)を投資してきたマイクロソフトが、OpenAIのLLMにアクセスすることを中止できる。この文脈におけるAGIの達成の定義は極めて曖昧なのだが、1つの具体的な財務指標として挙げられるのが、「OpenAIが少なくとも1,000億ドル(約15兆円)の累積的な利益を投資家のために生み出せば、AGI開発を達成したものとする」という規定だ。
もちろん、現在のOpenAIの事業は利益どころか純損益を累積させている状況で、15兆円の利益を出すにはほど遠い状況にある。同社の2024年の売上37億ドル(約5,637億円)に対して純損益は50億ドル(約7,617億円)、2025年上半期のみの売上43億ドル(約6,550億円)に対する純損益はさらに135億ドル(約2兆円)まで拡大している。
マイクロソフトとの契約が終了する2030年までに、この累積赤字を解消してさらに15兆円の利益を出すことは、さすがのアルトマン氏にとっても至難の業であろう。
コンセンサスがもたらす「3つの革命」
だが一方で、OpenAIの現役および元従業員が保有する約66億ドル分(約1兆円)の株式をソフトバンクグループなど複数の投資家へ売却したことで、同社の企業価値は5,000億ドル(約75兆円)に達した。これは、2025年初頭の3,000億ドル(約45兆円)よりも2,000億ドルも増えた計算だ。この評価額の急伸の裏で、「サンフランシスコ・コンセンサス」が大きな役割を果たしたであろうことは、想像に難くない。そしてこの合意が、AIに対してとどまることを知らない投資意欲をかき立てているのだ。
つまり、「サンフランシスコ・コンセンサス」は投資家たちに「2030年までのAGI達成」という1つの目安を提供しており、OpenAIとマイクロソフトの関係がその達成評価の中心に据えられている。米Wired誌が、「OpenAIとマイクロソフトの間で結ばれたAGI条項こそが、AIの進化を計測する上で、すべてだ」と看破した通りだ。
シュミット氏によれば、「サンフランシスコ・コンセンサス」がもたらす革命には3つの大きな要素がある。
すなわち、(1)機械が人間の言葉を理解するようになる言語革命、(2)AIが自主的にタスクをこなすエージェント革命、そして(3)AIが自ら推論を行う推論革命だ。もしこれが本当に実現すれば、人間の労働価値は大きく揺り動かされ、経済のあり方そのものが変わる。
そうした「AGI後の新しい社会」に対する新たな投資機会を提供できるからこそ、「サンフランシスコ・コンセンサス」は、これからもAIに対する投資意欲を伸ばし続けると思われる。
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