奈良市が2024年10月、市内2駅に設置した「図書受け取りロッカー」が人気だ。市立図書館から借りる予約をした本が入っており、帰宅途中などに受け取れ、返却もできる。図書館に行く手間が省け、借りる回数も増やせるとあって、多忙な現役世代に受けている。「設置駅を増やしてほしい」との要望が市民から寄せられ、18日には新たに3駅に設ける。
利用の手順は、ホームページで希望の本を予約し、受け取る駅を選ぶ▽受け付け完了の通知がメールで届く▽準備完了の通知が届く▽ロッカーで受け取る――という流れ。併設するポストに返却もできる。インターネット登録で「電子貸し出し券」も作れるため、予約から返却までの一連の流れが図書館に行かずに完結する。
1年前に先行で運用を始めたのは近鉄大和西大寺、学園前両駅。市によると、約1年間(25年9月末時点)で想定を上回る延べ約7500人が利用し、約1万5000冊を貸し出した。大和西大寺駅では利用が1カ月待ちの時もある。ロッカー関連業務について当初、週2日程度とみていたが、予想以上に利用者が多く、現在は職員3人が毎日対応している。
図書館へ足が遠のいていた人が再び図書を借りたり、利用したことがない人が新たに登録したりするなど、図書館の本に触れる機会の創出につながっている。奈良市の取り組みは全国的に早い方で、他の自治体の視察もあるという。
要望を受け、18日に新設するのはJR奈良、近鉄富雄の両駅内と、近鉄学研奈良登美ケ丘駅前のイオンモール内。市は原則として駅利用者が多い順に設置しているが、市立中央図書館が徒歩圏内にある近鉄奈良駅(市内で駅利用者数が最多)のように、最寄りに図書館がある駅は今のところ見送っている。
奈良市在住、在学、在勤者が利用可能。無料。仲川げん市長は「利用者は20~60代の割合が高い。通勤や通学で1時間以上、電車に乗る人も多いので、車内で図書館の本に親しんでもらいたい」と話した。【山口起儀】